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やっぱり小説が好き。(前編)


最近、小説熱が再燃している。

小学生の時から図書室が好きで、読まなくなった時期もあったけれど、大学生の頃に再び読み始めてからは、波はあるけど定期的に読んでいる。

前に読んだ本を改めて読んでみると、違った感覚が味わえて面白かったり、たまたま手に取ってみた本に救われた時もあった。

読んでいるうちに、だんだん自分の好きな作家さんや文章の雰囲気が分かってきて、気に入った本は何度も読み返している。これからも、どんな素敵な本に出会えるが楽しみだ。

ということで今日は、私のお気に入りの作家さん&おすすめ小説を紹介したいと思います。あらすじはざっくりで、私の感想メインですが。よかったらどうぞ。

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①植物図鑑/有川浩

これに出会ったのは、大学生の頃。何かのおすすめで見つけて読み始めた小説で、確か映画化にもなったはず。

OLの女の子が、たまたま道端で拾った男の子と一緒に季節の植物を楽しみながら、仲を深めていく物語なんだけれど、めっちゃキュンキュンする。樹(相手の男の子)がいいんだよね。

それと、色んな草花が出てくるのも好きで。ちょうどその頃、自然に興味を持ち始めてたから、色んな植物を知れるのがすごく楽しかったな。

カーテンコール『午後三時』も好き。春の陽だまりの中で読みたい小説です。

有川さんのお話は、まるで少女漫画みたいなテンポで話が進んで読みやすい。『県庁おもてなし課』『阪急電車』『図書館戦争』もおすすめ。

②島はぼくらと/辻村深月

辻村さんの作品も好きで、初めて読んだ『ツナグ』も感動して映画も見たし、最近だと『かがみの孤城』も世界に入り込んですごく心を揺さぶられた。人の心情を繊細に表現してて、リアルすぎて心にザクザク来るときもあるぐらい。あと伏線の回収もすごい。ミステリーとしても楽しめる。

その中で『島はぼくらと』は、ちょっと色合いが違うかもしれない。瀬戸内海の島に住む高校生のお話。もうすぐ卒業を控えた男女4人が、それぞれの道に進むまでの青春と日常を描いている。

まず瀬戸内海の風景が美しい。訪れたことがあれば絶対懐かしくなる。そして、地域おこしの話も含まれているんだけど、それまたリアルで。当時学んでたこともあり、そうだよなぁとかうなずきながら読んでいた記憶が。

瀬戸内海を思い浮かべながら、夏の日差しの中読みたい小説です。

③終末のフール/伊坂幸太郎

伊坂さんは多分、最初に好きになった作家さん。その頃はミステリーが好きで、初めて伊坂さんの小説を読んだときは衝撃を受けた。何てったって伏線がすごい。えー!ここに繋がってたの!?ってことが度々ある。あと文章のリズムが良くて、オチがあるのも好き。

私は殺し屋シリーズが好きで、最近だと『AX』を読んで久々に痺れた。やっぱり毎回驚きがあるから、伊坂さんはやめられない。

そんな中で私のお気に入りは、『週末のフール』。確か伊坂さんが好きな友達に勧められて読んだんだっけかな。8年後に地球に小惑星が激突して地球が滅亡する、と分かってから5年が過ぎた頃のとある町の人々のお話。

この設定がありえないんだけど、妙にリアルで。全世界の寿命があと僅か。そう分かった時、人々はどんな思いを抱えて生きていくのか。登場人物たちの様々な生き方をみて、私も思わずこの世界で生きる自分を考えた。

視点やとらえ方によって生き方は変わる。そう気づけた一冊。個人的には、『冬眠のガール』と『演劇のオール』が好き。

④蜜蜂と遠雷/恩田陸

この小説は、本屋大賞になったと聞いて手に取った。国際音楽コンクールで競う4人のピアニストのお話。

読んで、衝撃を受けた。なんていうんだろう、文章から音楽が聴こえてくる感じ。それぐらい素晴らしい表現で、音楽が小説の中で鳴らされていた。文章をこんなに美しいと感じたのは初めてかもしれない。シンプルだけど、洗練された言葉たち。これほどの演奏の臨場感と感動を表現できるのは本当にすごいと思う。

気持ちが高まって揺さぶられて、そして心が洗われるような美しい小説。長編だけど、ぜひまた再読したい。

ちなみに『夜のピクニック』もおすすめ。ザ・青春小説。夜のまちをみんなで歩いてみたくなる。

⑤思い出のとき修理します/谷瑞恵

この作家さんは、このシリーズしか読んでないんだけれど、すごく好きで。古びた商店街に引っ越してきた美容師の女性とその街で暮らす時計屋の男性が、「時」や「過去」にまつわる悩みを抱えた人たちに寄り添い、ときどき不思議な出来事に遭遇しながら解決していく物語。

過去や記憶にまつわる話だからか、物語全体がなんとなくセピア色で、懐かしい気持ちになる。それとこの商店街が好き。少し古びたレトロな雰囲気が素敵だし、そこに住む人たちもあったかい。そして、時計屋さんがいい!こんな素敵な人はなかなかいないはず。

「過去に起こったことは変えられないけれど、気持ちが変われば過去への思いは変えられる」前にそんなnoteを書いたことがあったけれど、それはこの小説と出会ったから、気づくことができた。私の大切な物語です。

⑥ツバキ文具店/小川糸

この物語は、鎌倉にある代筆屋さんのお話。文具店を営みながら、おばあさんから引き継いだ代筆のお仕事をしている女性の日常を描いた物語だ。

日常、と書いたけれど、この物語では暮らしがすごく丁寧に描かれている。毎朝起きて、お茶を入れてゆっくり飲む。廊下をきれいに拭き掃除する。近くの神社にお参りに行ってみる。そんな丁寧な暮らしの中でポッポちゃん豊かな感性が育って、代筆の仕事にも生きている気がする。

そして、登場人物も個性的でいい人ばかり。人とのつながりの温かさをじんわり感じることができる。続編の『キラキラ共和国』を読むと、結婚っていいななんて思ってしまう。大変なことも多いけれど、喜びもきっとたくさんあるんだろうな。

そして何より手紙が書きたくなる。メールもラインもいいけれど、手で書くと温かみがあるよね。手紙、書いてみようかな。

⑦羊と鋼の森/宮下奈都

「森の匂いがした。」そんな一文から始まる物語。まるで深い森の中に入っていくように、静かな世界へと入り込んでいく。

映画を見た影響もあるかもしれないけれど、雰囲気はまさにそんな感じで。重厚で深く、静かな物語だなと思う。読んでいると、心が落ち着く。

内容は、調律師を目指す男の子の話なんだけれど、仕事のお話としてもすごく深くて、向き合い方とか学ぶ姿勢は本当に勉強になる。私もこんなに何かに打ち込んでみたいと思う。

音楽と自然は混ざり合っていて、自然の中で感じる感覚というのは、音楽の世界にも通ずるものがあるんじゃないか、そんなふうに感じた。

『蜜蜂と遠雷』の時も思ったけれど、ピアノっていいな。昔習っていたけれど、もう全然弾けなくて。でも、あんなに自由に表現できるものがを手にしたら、きっと毎日が楽しいはず。もう一度習おうかなぁ。

⑧西の魔女が死んだ/梨木香歩

多分、私の本棚の中で一番古い小説かもしれない。この物語を読んだとき、初めて小説で泣いた気がする。

当時学生だった私には、不登校になってしまった主人公のまいの気持ちは痛いほど分かったし、まいがひと夏を一緒に過ごした西の魔女(おばあちゃん)の言葉も深く刺さった。

美しい自然の中で毎日をしっかりとそして自由に過ごしながら、「何でも自分で決めること」を学ぶ魔女修行を通して自分を取り戻していくまい。おばあちゃんとのやり取りの中で、私も学ぶことはたくさんあった。

「人は死んだらどうなるの」

これは小さいころ私もずっと考えていたことで、前にnoteにも書いたけれど、この答えは西の魔女が教えてくれた。そして、ラストシーンでもこのことは描かれて、毎回この場面を読むたびに目頭が熱くなる。

生きる道しるべを教えてくれる、私の大切な一冊です。

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いかがでしたでしょうか。なんだかつらつらと、かなり長く書いてしまいました。

がしかし、私の大好きな作家さんの紹介がまだできていないのです。でもさすがに長くなりすぎたので、この続きは後編で。

お読みいただいた皆さん、どうもありがとうございました。






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