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ロンドン日記 第3章 <2020年3月〜2020年9月>

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ロックダウン直前から本帰国まで、難民チャリティのことなど
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ブルーオーシャンに漕ぎ出る、小さな変わった舟でありたい

最近、精神科医・医療人類学者の宮地先生の「傷を愛せるか」という本を日本から取り寄せて読んだ。密かに尊敬している方がFBで大切な本だと紹介されてたのを見て、ピンときて速攻注文したものだ。 実は、宮地先生は私の修士論文(日本)の審査の副査でもあった。「博士行けばいいのに」と言って、修論を高く評価して下さったのが心底嬉しかったのを思い出す。 宮地先生は、DVや性暴力の被害者を数多く診ている。 私の尊敬する方も、DV被害者のフィリピン人移民や、いろんな傷ついている人を数多くサポー

寿司屋バイトを続けた理由

(2020/05/30) 明日、日曜日昼のシフトをもって、寿司屋のウェイターのバイトを辞める。1年3ヶ月余り働いた。 小金が欲しくて、NGOが終わった後の夜の時間だったら働けるだろうと思って始めたバイトだったが、初めの数ヶ月は、夜終わったあとの”飲み”なんてイベントもあった。断れず、白湯を飲んでごまかして、深夜1時過ぎ(酷い時は2時)に帰って翌日朝起きてNGOの事務所にいく日なんて日はもう、オフィスワークの比じゃないほど疲労が体にきていることを実感した。 最低賃金レベルで

「何者かになりたいって、みんな思っているのよ」

(2020/05/13) コロナで色んなものがこれまで以上にオンラインに集中しているから、定職と何か名乗れるような肩書きがあるわけでもない私は、「オンライン上で何か価値あることを発信したり作り上げたりしないといけないのではないか」という謎のプレッシャーみたいなものを時々感じる。 とは言え、毎日ボーッとみているインスタや、すっごい時々見るYoutubeで自分メディアを作り上げている人々を見ても、「そんな誇らしく売り込むもの何もないし、そもそも私の場合発信する暇があったらインプ

コロナ禍の今、ロンドンで思ってること

ロンドンで本格的な外出規制が始まった3/23から数えて今日が22日目だ。イースターの4連休は昨日終わり、またワークフロムホームな日々が始まった。この三週間は、火・金の週二回のzoomでのチームミーティングでNGOの面々と顔を合わせ、難民メンバーのケースワークサポートをする日々だった。そして、おっさんが外食できなくなったことで、結婚して一番ご飯作りを真面目にした三週間だった。 ロックダウンになって私が思っていることは3つだろうか。 1. 社会が危機に陥った時に、一番被害を被るの

BBCドラマ ”Years and Years”

(2020/03/14) NGOのLiに勧められてみたBBCドラマ、”Years and Years”が秀逸だったため、最近私は初めてBBCiplayerからダウンロードして、歩いている時も電車の中でもみている。 いわゆる社会派のドラマというのだろうか、2019ー2034年の15年をLyons一家の目線から、彼らがどのように時代に翻弄されるのかを描いている。一家の物語なのだけどそれが社会的な縮図にもなっていて、近未来予想図が、さもありなんという感じである。 長男ステファン

奇妙な金曜日

(2020/03/13) スージーと二人だけの穏やかな木曜日を終えて、翌日オフィスに行ってスタッフミーティングに参加すると青天の霹靂な出来事が起きた。 英国内のコロナウイルスの蔓延により、しばらくの間火曜日と金曜日のコミュニティ、そして対面のカウンセリングやケースワークサポートもお休みが決定したのであった。 昨日エリーは終日トレーニングを受けている最中や、その後夜の英国のコロナ対策のニュースを見て、免疫力が低下しているような脆弱なメンバーも抱えているRがコミュニティを継続

ある晴れた日のNGO

(2020/03/12) イギリスの長い冬がいよいよ終わるのかと確実に感じられる、快晴で気持ちのいい日だった。 私にとって先週は忙しかったけれど、今週はのんびりしており、今日はディレクターのエリーも外部トレーニングで出かけていていないからと遅く事務所に行ったら、スージー1人がぽつんと事務所で作業していた。 先週は、一年に一度実施する難民のメンバーのアニュアルエバリュエーションの集計、そして18:00-21:00という遅い時間に開催された二日間連続の”Fundraising&