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#くらしきで暮らす ことが当たり前になった日のわたしに読んでほしい備忘録|2024.小満・麦秋至

麦秋至(むぎのときいたる)

6月。暦の上でもれっきとした夏がやってきたので、ようやっと衣替えをした。

実際、ゴールデンウィークくらいから汗ばむ陽気が続いていたので小出しに夏服を出してはニット類の冬物と入れ替えてはいたのだけれども。でも「いや、また寒くなるかもしれないし」と思うわたしもどこかにいて。

わたしは、真面目というか、頑固というか、一度「こうだろう」と思ったものを簡単に曲げるのがそんなに得意ではない。だから、いくらあたたかい日が続いても「まだ夏じゃないしな」と衣替えさえできない。

けれど、6月になれば学校だって正式に夏服に着替えるでしょう?そういう指標があって初めて「よし、夏だ!」と思えて。えいやっとクローゼットを整理して、今とっても清々しい気持ち。

窮屈だし融通の利かないところをもっているのに、公務員を辞めて関東から倉敷へ。地域おこし協力隊として移住できちゃうんだから、わたしは柔軟なのか真面目なのかよく分からない。

ん-。融通が利かないというより、まだちょっぴり怖気づいているところもあるのかもしれない。

2023年12月、冬の始まりに倉敷へ移住してきて、はじめての夏を迎える。クローゼットの中身を総入れ替えしてしまったら、お客さまだったわたしが本当に「くらしきで暮らす」人になってしまうんじゃないかと。

自分から望んで移住してきたくせに、自分から望んで転職したくせに、ふとした瞬間に「この選択は本当に正しかったのかしら」と不安に駆られる。特に大きな問題にぶつかったわけでもなければ、むしろ周りにも仕事にも恵まれている日々なのに、不思議よねぇ。

でも、中身を総入れ替えしたクローゼットを見てこんなにも清々しい気持ちになれたのだから、たぶんきっと、次の季節もワクワクする日々が過ごせるんじゃないかと、今あわい期待を抱いている。

また次、秋の終わりにクローゼットの中身を整理するとき、わたしはどんな気持ちになるんだろう。季節を重ねることを、もっともっとおもしろがれるわたしがそこにいてくれるのかしら。不安なわたしも包み込んでくれるようなひとまわり大きくなったわたしに出会えたらいいな。

【小満】あらゆる生命が満ち満ちていく時期
初侯:蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ) 5月20日~5月25日
次侯:紅花栄(べにばなさかう)5月26日~5月30日
末侯:麦秋至(むぎのときいたる)5月31日~6月4日

茶道手帳2024

#くらしきで暮らす ことが当たり前になった日のわたしへの備忘録

・前職で「税金のおかげでお仕事をする」経験を積んできてよかったと思う

そうそう。先日、岡山市で開催された地域おこし協力隊の初任者研修に参加してきた。

こういう自治体や総務省が関わる研修は、できる限り参加したいと思っている。なぜなら、地域おこし協力隊は国の事業であり、地方自治体に委嘱されている立場だから。

個人事業主だったりただの「移住者」だったら「そんなのめんどくさい」と一蹴することもできるだろうけれども、わたしたちのお給料や活動費は主に税金から支払われている。なんなら、国から地方自治体へは活動後に後払いでお金が払われるものなので、わたしたちのお給料や活動費は地方自治体が常に立て替えてくれているもので。

税金によって活動させていただいている以上は、その自治体が推奨する研修に参加して、自治体であったり国が今どんなことを考えていて、わたしたちに何を求めているのかに対しては、敏感でいるべきだと思っているから。

それらを体現できるような活動ができているかどうかはまだまだ分からないけれども、わたしの活動を支えてくれる人がわたしのことを知ろうとしてくれている以上は、わたしだって相手のことを知りたい。

こういうところ、根っからの公務員気質で真面目。だけれども、そういうわたしがいるからこそ、地域おこし協力隊という制度に身を委ねられているのかもしれない。

・わたしの発信は「移住」に繋がっているのかしら、と問い返す日々

そんなわたしは、倉敷市の移住定住推進室という部署から地域おこし協力隊として「生活者目線での情報発信」をミッションに課せられているわけだけれども。実はその、わたしのInstagramだったりnoteだったりの情報発信が「移住」や「定住」に繋がっているのかと問われると「よく分からない」というのが本音だった。

ここが人口100人程度の山奥だったら、出ていく人も入っていく人も、村民も観光客も、一目でわかる。わたしが情報発信をしたことで移住してきた人の数だって把握できるだろう。

でも、倉敷市って50万人近い人口がいる、いわゆる中核市。いっちょ前に保健所だって市のモノをもっているような、まぁまぁ大きな街。正直、今住んでいるお家の隣のお部屋にどんな人が住んでいるのかもよく分かっていない。

わたしが日々のあれこれを発信したところで本当に誰かに届いているのかしら、と半信半疑な気持ちで活動半年を迎えたところ。

だから、初任者研修の会場で初めてお会いした初任者の方に

「はじめまして。倉敷市の高石真梨子です!」

と自己紹介をしたときに

「あ、note読んでます!」

と言われたときには嬉しくて飛び跳ねそうになったし、続けて

「真梨子さんのnoteを読んでから、採用面接に臨みました」

と言われたときには、ちょっぴり泣きそうになった。本当に、わたしの発信を見て移住した人がこの街にいるのかと。

・「地域」を主語に倉敷とことこでの活動を、「行政」を主語にSNSを、「わたし」を主語にそのすべてを

ここ最近ようやっと、同じイベントの参加した方やイベントの主催者の方がわたしの書いた記事にコメントをしてくれたり、その記事をシェアしてくれるようになってきて「倉敷市民に読んでもらっている」という感覚や「市民の想いを文章にする」という点についてやりがいを感じ始めたところ。

地域おこし協力隊は「地域」に受け入れてもらって初めて成立する制度だから。やっぱり、地域の人たちに「この子に書いてもらってよかった」とフィードバックをしてもらえるのは嬉しい。

でも、移住定住推進室という部署から委嘱されている以上は「移住」に繋がっているのかという指標をもちながら発信することが求められていて。だから今、地方に移住すると決めるちょっと前の「一年前のわたし」に想いを馳せながら続けていた発信にちゃんと意味があったのだと。そう思えたことはとっても大きな自信になった。

これからもっと #くらしきで暮らす ことが当たり前になっていくなかで「移住前のわたし」を見失ってしまう瞬間はきっと何度も訪れると思う。そのたびに、衣替えをした日のワクワク感と「真梨子さんの発信を見て移住に踏み切りました」と言ってもらった瞬間の高揚感を絶対に思い出そう。

noteを書き続けているわたし、ぐっじょぶですよ。

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