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アムステルダムでスタジオを立ち上げました。コロナ禍でひっそりとオランダに移住した経緯と今後の予定。

日本でも緊急事態宣言の延長が決定され、希望を持って迎えた2021年も結局歯痒いニュースに埋もれる昨今。

FacebookやPodcastなどで少しずつ近況報告はさせて頂いていたが、オランダに移住して早いもので半年経ち、無事滞在申請やビジネス登録も済んだので、改めてこれまでの経緯と現状、今度の予定をここでもシェアしておこうと思う。

筆者:都市・建築・まちづくり専門編集者、リサーチャー、キュレーター杉田真理子(Instagram / Twitter

なぜオランダに来たのか

元々、ベルリンに半年間研究滞在する予定だった2020年。言わずもがなコロナウイルスの影響で滞在は延期となり、ドイツが日本からの入国を制限していたこともあったので、どうしたものかと立ち往生した挙句、昔からビザが取りやすいことで興味を持っていたオランダが頭に浮かんだ。

オランダは、EU圏外の場合、日本・アメリカ・スイス国籍の者は比較的簡単にフリーランス登録ができる(2021年現在)。リモートワークの推進により、エストニアやポルトガル、チェコなどのヨーロッパ諸国も、デジタルノマドへの滞在許可を出しているようなので検討したが、ソーシャルビジネスやデザインで有名なアムステルダムに一度は住んでみたかったという安易な理由と、ドイツの研究滞在がまた開始できるようになれば、ベルリンまで移動すればよいだろうという考えがあった(事態が悪化する前だったので考えが甘かった)。

ただ、何よりも一番の理由にあったのは、今年から本格的に、日本・アメリカ・ヨーロッパの多拠点居住のためのインフラを整えたかったということ。アメリカへのグリーンカード申請を現在私はペンディングさせているのだが、将来的に京都、アメリカ、ヨーロッパはアムステルダムかベルリンで、数ヶ月単位で行ったり来たりを繰り返しながら活動を拡張させていきたい、というライフプランがあった。

こんな時期に...という想いもあったが、なんだかこれから数年はこんな状況が続くのではという予感があった。渡航できずにヤキモキしながら数年待つくらいならと、コロナの陰性証明をゲットし出来る限りのコロナ対策をしての移住に踏み切った。

3ヶ月間の集中合宿

まずは9月から、元同僚であり都市好きバディーの石川由佳子と一緒に同じアパートで暮らしながら、2021年初頭に向けた一般社団法人の立ち上げに向けて、3ヶ月間の集中合宿を行った。家をプロジェクトルーム化し、壁にポストイットをバンバン貼り付けたり、毎朝短時間のスタンドアップミーティングを設けたりしながら、一緒にできる活動内容の整理やコンセプトまとめ、オランダでの先行事例のヒアリングなどをぎっしり詰め込んだ。

この間、オランダ在住20年以上の建築家・根津幸子さんには、現地のプレイヤーをご紹介頂いたり、スタディグループにご招待頂いたりと、多大なるサポートを頂いた(根津さんとお話したポッドキャストのエピソードはこちら)。

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写真左:Cascoland共同代表のFiona de Bell、写真右:サーキュラーエコノミーをテーマに活動を展開する建築家の根津幸子さん。

同時に、アムステルダムを拠点にアートを通した都市介入を行う「Cascoland」とコラボレーションする機会も得て、アムステルダムの都市系の団体やプレイヤーとのコネクションをつくるべく、かなり積極的にあちこち訪ね歩いた。

この時期の活動報告はぜひPodcastHPでチェック頂きたい。Youtubeでもいくつか動画でオリジナルエピソードを公開している。

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写真:Cascolandと共に行ったゲリラインタビューとマッピングプロジェクトの風景

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左:アムステルダムで知り合ったデザイナーの木原共さん、真ん中:我がバディの石川由佳子、右:旦那のジャスパー

オランダにも本格的に活動を拡張すべく、事業主登録

観光ビザが切れる3ヶ月のタイミングで石川は帰国し、私もこのまま京都に戻るか悩んだが、せっかくできた縁なので今後もオランダに何かしらの形で拠点をおけるよう、事業主登録をして長期滞在ビザを取得することにした。12月には無事事業主登録をすませ、ロックダウン中のオランダで、新しくスタートを切ることになった。

12月からのロックダウン生活のハイライトは、ボートハウスでの生活を始めたこと。といっても「居住型の船」ではなく、「水上に浮かぶ住宅」という感じで、2ベッドルームで日本の通常のアパートに比べるとかなり広々としている。運河で有名なアムステルダムには、1652年からハウスボートがあるらしく、街のあちこちで見かけるけれど、なかなか人気で競争力の高い住居形態だ。

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写真:ボートハウスのリビングからの眺め

普段は自宅からリモートで仕事をしつつ、Zoom会議や、定期的に外での少人数でのミーティングやハングアウトなど、予想していたよりも忙しい日々を過ごしている。知人の紹介で知り合ったクリエイティブ関係のプレイヤーとの顔合わせや、石川と一緒に準備を進めているZINEプロジェクトのデザインディレクション、建築家・根津さんが家族で建設中のサマーハウス解体のお手伝いも定期的にしていて、刺激的な毎日だ。

オランダでのプロジェクト予定 / 今後の予定

今後しばらくは京都とアムステルダムの2拠点生活を続けながら、

・オランダにおけるリサーチプロジェクトの企画・実施・補佐
・オランダと日本を繋ぐ文化プロジェクトのディレクション、マネジメント
・Cascolandとのコラボレーションの継続と彼らのメソッドの発信

などの活動を行っていく予定だ。パンデミック収束後は、オランダからよりスケールを広げ、ヨーロッパ全域でも活動を展開していきたいと思っている。それに伴い、スペイン語とオランダ語、ドイツ語学習を強化中。

ここ数ヶ月で面白いと思ったアムステルダムのプロジェクト事例は、自身のWebサイト「Traveling Circus of Urbanism」でまとめている(英語のみ)。

特に最近、オランダの「食」と植民地の歴史に関するプロジェクトがCascolandと共に始動しているいるので、こちらも近々ご紹介したい。また、オランダでの取材やさまざまなトピックでの執筆も受け付けているので、お気軽にご連絡いただけると嬉しい。

引き続き、どうぞよろしくお願い致します。

都市・建築分野専門編集者・リサーチャー / 杉田真理子
デンマークオーフス大学で都市社会学専攻、その後ブリュッセル自由大学大学院にて、Urban Studies修士号取得。ブリュッセル、ウィーン、コペンハーゲン、マドリードの4拠点を移動しながら、エリアブランディング、都市人口学、まちづくりの計画理論などを学ぶ。欧州を中心に、現在まで多くの都市・街づくり関連団体を訪れ、参加型調査やワークショップを重ねてきた経験から、参加型街づくりの仕組みづくりやその情報発信を得意とする。株式会社ロフトワークで空間デザイン・まちづくり系プロジェクトのプロデュースとマーケティングを務めたのち、2018年5月から北米へ拠点を移動し、フリーへ。都市に関する取材執筆、調査、翻訳、調査成果物やアーカイブシステムの構築など、編集を軸にした活動を行う。都市に関する世界の事例をキュレーション ・アーカイブするバイリンガルWebメディア「Traveling Circus of Urbanism」、アーバニスト・イン・レジデンスの拠点「Bridge To」を運営。一般社団法人「for Cities」共同代表・理事。

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