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【CPA】働きながらゼロから1年で合格してみる 〜#4 で、CPAは役に立つのか?〜

「結局、CPA取って何が変わるの?」
というのは、私が受験前に一番知りたかった問いであり、
誰も答えてくれなかった問いだった。

同じことで悩んでいる方もいるかと思うので、
個人の興味やバックグラウンドによって大きく変わることは重々承知しつつ、自分の周りで起きた実体験をもとに少しお話ししてみたい。

1. キャリア・アップ〜会計の専門Path〜

あんまり個人に絞った話をしても参考にならないと思うので、
一般的なところが始めると、
スクールの一部は、USCPA試験合格後に転職のサポートをしてくれる。具体的には、企業から合格者に、スクールを通じて会計ポジションお誘いのメールやセミナーなどが送られてくる。

ざっと目を通すと、BIG 4の会計事務所とか、M&Aのアドバイザリー業務とかのお誘いが来るようだ(もちろん応募の際には個々人の経験も問われる)

実際にスクールの合格体験談をみると、どういったキャリアを歩んでいるかの想像もつきやすい。未経験での大手監査法人もけっこういる。
(参考:プロアクティブの体験記アビタスの体験記

私自身は、会計系に転職する目的でCPAを受験したわけではなかったので、こういったサービスを利用しなかったが、
CPA合格者にしぼった採用であれば、ある程度のスクリーニングがすんだところから採用を始められるし、
キャリア上、常に会計系のPathに行ける可能性をもっているというのは、人によってはキャリアの重要な切り札だと思う。

(もちろんケースバイケースだが、肌感覚では大体 年収600万〜1200万くらいのイメージ。参照

2. キャリア・アップ〜コーポレートPath〜

「ビジネスマンとしてCPAは取ったけど、別に会計の専門家になりたいわけではない」という方に相性が良さそうな部署が、コーポレート部門だ。
財務に限らず、経営上の重要な「数字」を読み解けるCPAは、社長の右腕的な「経営企画」とか「経営管理本部」にもフィットがあると思う。

これは本当に個々人の話になってくるので詳しくは割愛するが、
私自身は、新卒からFP&Aとして事業側の仕事(←事業の投資戦略を考えたりする人)をしていたのだが、CPAを取ってから転職エージェンシーやWantedlyからの問合せは増えた。
具体的には、20代でも事業会社のコーポレート/ファイナンスのマネージャー以上のポジションのお誘いが増えた。おそらく事業よりのファイナンスも、コーポレートよりのファイナンスもできる人だと思われたのだろう(後述するが、後半は半分間違いである)。

たぶん、今 事業会社で経営企画をやっている方や戦略コンサルの方も上のようなことが起きると思う。

ただ1つ付け加えると、CPAを取ったからすぐコーポレートの中の専門性の高い仕事ができるかというと、そんなに甘くない。
ご存知の方も多いと思うが、CPAは「薄く広く」のビジネス知識の集大成のような試験である。
だから、いきなり「資本政策」とか「内部監査」「税金」といった実務ができるかというと、
「勉強すればできるようになる(かも)な基盤はあるけど、まだまだ」
な状態から始まる。

だから、事業会社のコーポレート部門は目指したい人は、
また新たにはじまる勉強の可能性も鑑みて、キャリアパスと自分の年齢も考えてみた方がいいと思う。

3. ビジネスマンとしての素養

これは実益を定量化することが難しく、ザックリしているのだが、
実はこれが一番大きな収穫という人が多いのではないだろうか。
私はこのパターンだった。

USCPAは、会計、監査、ITや経済、税法といった幅広い分野を網羅する。

幅広い分野を学ぶからこそ、勉強を進めると ”Connecting the dots” 的に
自分が普段している仕事が、どういった大きな流れ・原理原則に紐づいているか分かってくる。

例えば、事業側にいる人間だと、普段、多少PL(損益計算書)は意識することはあれど、CF(キャッシュフロー)やBS(バランスシート)を意識することはあまりない。それが、今自分たちがここでコストを使うということや売り上げを回収するという1つ1つの行動が、どう会社全体の財務状況に影響しているのか、線となって見えてくる。

他には、私自身、会社で内部監査に立ち会うことはあったが、
「監査部がこんな質問してくれるのは、この原理を確認したいからか」→「じゃぁこういった証査を出せば相手の意図に添って回答できるな」
とか、考えられるようになる。

1つ1つは、日々の小さな進歩かもしれないが、
前提となる基盤をもっていることで得られるこの経験の積み重ねは大きい。

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結論

CPAで何が得られるかは人によってもちろん違うが、
特に上の(1)と(3)は、CPA合格者には一般的にあてはまる話だと思う。

以前「あなたにとって、CPAの資格とは?」と聞かれて
「運転免許みたいなもの」と答えている人がいて、なるほど、と思った。
正直、この資格があるから、それだけで何かができるということはあまりない(監査法人への転職はできるかも)。

でも、取った後に振り返ると、
「あれまー、自分はこの知識を持たずして走ってたのか」と思う。
ビジネス界のある種の「この人は最低限の知識はもってますよ(あと、勉強するガッツありますよ)」という通行許可証みたいなものなのかな。しかも、グローバルに通用するやつである。

私自身は、CPA取ってよかったなぁと心から思っている。
自分が取れるキャリア上の選択肢が増えたし、
ビジネスマンとしての自分の基盤が強くなったからだ。

みなさんもCPA受験を悩まれているならば、
まずはスクールの説明会の門を叩いてみたら良いと思う。
あと可能であれば、いくつか講義を無料で受けてみることをおすすめする(Webで公開していたりする。Abitusはこれ)。
CPAというネームバリューだけではなくて、自分が本当に興味がある分野なのか精査した方がいい、なんせこの後1000時間も勉強するんだから。

もうCPA勉強を始めている方は、ひとえに前進あるのみだ。
勉強しきった、四科目合格しきったという体験が、何よりの自分への自信と経験になる。一回諦めてしまった人でも、大丈夫。一年以内に立て直せる。

以上、この投稿をもって、もともと予定していたUSCPAシリーズは終わる。
もし何かご質問やご要望があればお応えしていきたい所存ではあるが、
1つの区切りとして、
ここまで読んでくだった皆さまにお礼をお伝えしたい。

私自身、CPA受験は、いろいろと悩みながらも、すごく自分にとってターニングポイントになる経験だったので、すこしでもどなたかのお役に立てていれば幸いである。

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