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偉大な幼稚園

娘が14年前に卒園した幼稚園で成人礼拝をしていただけるということで久しぶりに足を向けました。25人の卒園生のうち、都合がついた5人とその保護者が出席して、無事成人の日を迎えられたことを喜び合うことができました。

その幼稚園はバスもなく、給食もなく、春休み夏休み冬休みも長く、その前後は半日保育が続き、バザーでは手作り品の販売のために集まることも多い、今の時代に流行らないスタイルでした。でも住まいから一番近いということでご縁がありました。

小学校に上がると地域のいろんな家庭から入学してきますが幼稚園は親の好みが似た人が集まります。絵本の読み聞かせもたくさんしてくださり図書活動が盛んだったので当時借りた本には今も貸出カードに自分の名前を見つけることもできました。

昨今は保育園が主流で園児集めにご苦労されていると当時の園長先生から伺いました。

あの、子どもたちと過ごした時間を表現する言葉を私は持っていません。お母さんみんなが子どもたちみんなのお母さんだったような関係でした。

信仰を持っていない私ですが、卒園してからこの日までを見えない何かの力で守られていたような厳かな気持ちで感謝の祈りを捧げました。

「ここに集えない20人のクラスメイトにも豊かな祝福がありますように」

という牧師さんの言葉に親しかったお母さんや子どもたちのお顔が瞼に浮かんで思わず涙ぐみそうになったのでした。

主任だった先生も駆けつけてくださり、娘は名前を憶えていてくださったことに感激しています。保育のお仕事は体力も必要で愛情がなくてはやっていけません。私と同い年の先生は今も3歳から5歳のかわいい人たちと別の場所で毎日過ごされているということ。お体を大切に、とお声をかけてしまいました。

当時いらした若い男の先生は希望に燃えて保育の道に来られたのにお給料が少なくてこのままじゃ家庭を持てないということでタクシーの運転手として転職して行かれました。ちいさな園庭で植えたトマトやキューリが育つのを園児と楽しみながら、

「ぼく、トマトとキューリが苦手で食べられないんですよね~」

と笑っておられたお迎えの時間が思い出されます。今、どこかで家庭をもって幸せにしておられることを願います。そして保育のお仕事の待遇が上がってほしいです。

入園当初はお母さんと離れるのを泣いて嫌がった子が20歳を迎えて今世界に飛び立とうとしています。この時間は長かったような短かったような気がします。コロナで思うような青春を過ごせていない若者たちですが、私たちの知らない未来に向けて力強く歩んで行ってくれそうな笑顔でした。再会の場を与えてくれた園がこれからも小さなお友達とお母さんの出会いの場であり続けることを願います。

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今日も冬晴れ、良い一日をお過ごしください。

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