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『読書の技法』(佐藤優著)のトリビア
noteの中には読書が趣味の人が大勢いらっしゃると思いますが、月平均300冊読むとはそれだけでも驚きではないでしょうか。この超人的な読書法、気にならないはずもなくさっそく読んでみました。
なんと献本月100冊ほど全ページ目を通し、新刊70から80冊。そして古本は120冊から130冊を全部読まれるそうです。そのうちの熟読は4,5冊で、あとは速読。どんな本が栄えある熟読に選ばれるのか気になるところです。
著者に最初に読書の面白さを教えたのは中学の時の塾の先生とのこと、国語を教える身として責任をずしっと感じました。中学では太宰や藤村、漱石を読まれ、高校では哲学書に目覚め、大学は神学部という異色と言ってよい進路です。外交官としてモスクワにいらしたのでロシア語も英語はもちろんですが、朝鮮語も中世ラテン語まで原書で読まれているとはやっぱりトリビアです。
読むときに必要なものはシャーペン、消しゴム、ノート、定規、付箋。ふむふむ、どこにでもあるものです。まず、本を超速読、速読、熟読に分類することから。超速読はタイマーを五分に設定して序文と目次をみてから字を読まずにページをめくる。太字やゴシック体だけを追う。大事と思った個所に付箋。これらの処理で何らかの発見があるらしい。
速読に分類された本は30分かける。ここで登場するのが定規。同じ行を繰り返さないために定規を当てて読むと最初は1ページ1分、慣れたら15秒で読めるようになるそう。この集中力が肝ですね。大事なところはシャーペンで囲んだり付箋を貼って一冊30分から1時間で読むのがこの速読。完璧を目指さず目的をもって読む。
これに対して熟読に選ばれた本は扱いが違う。三度読む。一度目は線を引きながら通読、二度目は重要なところをノートに抜き書き、三度目はまた通読。例として民族問題の基本書『定本 創造の共同体 ナショナリズムの起源と流行』などが挙げられていました。ごきげんママ♡には一生縁のなさそうな本です。
何しろ難解な本を読むのに欠かせないのが基礎知識。佐藤さんのおすすめは高校生の教科書と参考書です。詰め込むのではなく理解するのがポイント。これは今からでもできそう。
では一体どのような毎日を送っていらっしゃるのでしょう。朝5時半から執筆を始めて13時までがアウトプット。月に原稿用紙千枚超。読書は13時半から19時と24時から26時!短眠ですねーお肌の大敵。絶対まねできません。もちろん音楽を聴きながらなどはNG。電車の中もおすすめではなさそうです。
もっとも印象に残ったのは53ページにある
八重洲ブックセンター本店、丸善丸の内本店、ジュンク堂書店池袋本店、紀伊國屋書店新宿本店などの書店において、専門書売り場の書店員の取扱商品に関する知識は、月並みな大学教授を凌駕することが多い。
という箇所と、
222ページの
社会や人間を理解するには2つの道があるということだ。ひとつは「学術」的な道であり、これは社会科学や人文科学によって獲得する。それに対して「心情」を通じた道もある。これは小説を読むことによって獲得することができる。
という箇所です。
本書には世界史・日本史・政治・経済・国語・数学の学び方や小説・漫画の読み方なども詳しく書かれていますのでご興味のある方は手に取ってください。
冒頭で書かれていた、月10冊熟読しても30年で3600冊しか読めないから読むべき本をいかに絞り込むかが重要、と言う箇所はこれからの本選びの際に肝に銘じます。
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