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ファツオリのピアノと陳健一の麻婆豆腐
半年ぶりに同級生とのピアノ演奏会をした。前回は2人でスタインウェイを借りて弾いて、今回は3人で名器ファツオリとしゃれこんだ。レンタルピアノの集いがどんどん熱くなっている。
この日のために用意した曲は、ショパンのノクターン1番とベートーベン ソナタ10番の1楽章で、楽譜はそれぞれ5ページと7ページもある。暗譜など遠い夢なのでコピーしてマスキングテープで貼り合わせて捲る手間を最少に抑える涙ぐましい舞台裏がある。
ノクターンは2年前の秋に教わったスローな曲で、この日のためにおさらいをして挑む。先生からは左手をとにかく静かにね!とバランスについてアドバイスをいただき、仕上げた後もずっと練習してきたの?と努力を誉めてくださった。まずはこの曲で演奏会はオープニング。家では止まらなかった意外なところでもつれるが及第点。美しい響きを聴く余裕があった。
次は友人がこの日披露しようと取り組んだバッハインベンション6番を聴かせてもらう。彼女もピアノ再開組だが基礎がしっかりしている音大並みのピアニスト。しかも全曲暗譜なのは前回同様。半音ずつ右手と左手が下がっていくところを美しく仕上げていた。ペダルなしでこんなに表情のある演奏ができるんだ!
さらに新しく参加した同級生。彼女は再開2ヶ月目で、「エリーゼのために」を練習したという。小学生の頃の厳しいピアノの先生の指導が生きていて手の形がきれいで、そのためファツオリのピアノの音色がホール全体に響く。ああなぜにピアノの音とはこんなにも癒されるのか。母にリクエストされるこの曲を私も練習してみようかしら。
2人の曲が短いのにまた長い、しかも練習中のベートーベン を聴いてもらうことにお詫びしつつ再びステージへ。エリーゼがゆっくりだったので私も焦らず落ち着いたペースで曲に入ることができた。友に感謝。中学生だった娘がコンクールで入賞したこの愛らしいソナタを私が弾く日が来るなんてその頃は想像だにしていなかった。
昨年10月に譜読みを始めてリズムの難しい左手フォルテのスタッカートのところに苦戦し、三週間前からペダルをつけ始めたばかりの赤ちゃん演奏だというのに心地よくファツオリで弾けるなんて我ながら頑張ったものだ。優しい友人たちはずっと聴いていたい演奏だと言ってくれた。涙。
さあここからはリラックス。2人の、「乙女の祈り」ショパンのワルツ、モーツァルトのソナタ、「人形の夢と目覚め」「幻想即興曲」をとくと楽しんだ。鍵盤を踊る指、トリルの細やかさ、体全体から醸し出されるフォルテ…途中で立ち止まるのもご愛嬌。2人はピアノを習うわけでもなく家の電子ピアノで独学しているという。生のピアノに夢中のようだった。
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たった1時間の夢の時間に胸がいっぱい、でもお腹は空いたね〜というわけでホールを去って美味しいものを食べようと向かったのが先ごろ惜しまれて世を去った陳健一さんのお店。
オマージュの麻婆豆腐は辛さ控えめでお願いしたものの胡椒が効いていて十分なインパクト。おしゃべりに忙しくて写真を撮り忘れるのはあるあるですね…言わずもがなの名店でした。お互いどんなふうに練習しているのかピアノの話を心ゆくまでしてから近況報告もしあえて40年来の旧交はその当時では想像し得ない形に発展して続く。
次回のピアノ予約は7月。気の早い私は弾く曲をすでに決めていて明日からレッスン開始。友達はまた次何を聴かせてくれるのだろう。桜ヶ丘の桜を見て別れた。
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毎日が新しい日。今日も皆様も良い一日をお過ごしください。
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