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『天然生活』とふるさとの母

本棚を整理していたら古い雑誌が出てきました。(上の写真はほんの一部です) 整理するはずが読み耽ってはかどらないのは世の常。早々に整理はやめて隅々読むことに!

『天然生活』は住まい、ごはん、時々お洋服のことを扱う、のんびりした暮らしの中にセンスが光る雑誌です。引っ張り出してみるとちっとも古びることなく却って今のおうち時間に生かせることばかりです。お料理やお菓子のレシピはもちろん、お台所の整え方、四季折々の楽しみなどすぐに取り入れられる小さなヒントがぎっしり詰まっています。

写真も紙自体もとても綺麗なところも気に入っています。買っていた頃は憧れつつもじっくり読む時間がなかったのでやっと今、丁寧に読み返すことができるのは至福です。この温もりを求めていました。たとえば見出しは

「家しごと、ていねいに、かんたんに」

「暮らしの中の布と糸」

「台所、私のルーティンワーク」

という風。どの記事もほのぼのしつつもしっかり作り込まれています。


60冊ほどもあったので、半分実家の母に小包で送ってみました。昭和10年に建った家で山野草などを育てる事を楽しみながら住む母には年末以来ご無沙汰しています。顔を見に行きたくともこのコロナの流行で行けません。行動が制限されている中、『天然生活』は思ったよりも何倍も喜んでもらえました。「段取り」「支度」「装い」などという言葉もしっくりきたのでしょう。

古いものを長く大切にする、手間暇かけた暮らしは都会に住む私にとっては憧れでも母には毎日の生活そのものであり、うまく楽しんでいる雑誌の中の人たちは良いお手本。何度も何度も読み返してくれているそうで、家で過ごす時間を楽しむのにぴったりだったようです。

昨日もラインで

「玄関にお香をたくのはどう?誰もこなくても自分のためだけでも。家に似合いそう」

と言ってみたら

「いただいたお香があったのを忘れてたわ。いいこと言ってくれたわね。早速やってみる」

と明るい返事。子どもの受験がやっと終わって温泉にでも一緒に行けると楽しみにしていたのに移動が難しい今日この頃です。前回帰省した時は冷蔵庫に下ごしらえした人参やブロッコリーがきちんと容器に入れてあり、体に気をつけて行き届いた暮らしをしていたので安心したのですが、その後半年自粛生活が続いています。ちょうど父を亡くしたのは今の私くらいの年の頃、それから四半世紀を一人で頑張ってきた母。私とは二回りしか違わず若いのが自慢だった母もずいぶん小さくなっています。

『天然生活』を通して共通の話題もできて、母の生活にもはりと潤いができて思わぬ親孝行ができました。離れていても心は寄り添っていること、伝わったようです。

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