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大坂なおみ選手に学ぶ

日曜日のテレビは大坂なおみ選手の全米優勝の話題で持ちきりでした。無観客試合ではありましたが、見事な逆転優勝、沸き立たないはずはありません。コロナ禍でもモチベーションを保ってトレーニングを積んできたことはさすが世界的なプレーヤー。胸がすくようなショットの連発です。攻められた時の粘りもこのところ強みになりました。気短でガタガタ崩れるということがなくなりつつあります。三度目の大きな優勝、不動の地位と言って間違いありません。

大坂なおみさんは実力もさることながらその性格の素直さから人気も抜群です。日本だけでなくアメリカでもファンが沢山います。勝者のインタビューもいつも楽しみです。コマーシャルも多数出られて稼ぐ稼ぐ!!22歳にして堂々の風格です。ごきげんママ♡の半分も生きていないというのに。

今回テニスだけでなく存在感を発揮したのは黒人差別問題に立ち向かう姿でした。ごきげんパパ♡の仕事の関係で西海岸と東海岸合わせて9年くらい住んだ時のことを考えてみました。

子どもは幼稚園や小学校の頃は肌の色や人種に関係なく性格や興味の合う友達と遊びます。だんだんその違いを意識し始めるのは11〜12歳ごろと言われています。自然と交友関係が変わってきます。

もとよりアメリカは移民でできている国です。アメリカ人と一括りに言っても元々はヨーロッパやアフリカやアジアや南米あるいはメキシコから来た人がほとんどです。私たち日本人が一般的にイメージするアメリカ人は金髪で青い目白い肌というところでしょうか。そういう人たちは実はそんなに多くありませんでした。統計によると我が家が西海岸で住んでいた町は59%がアジア人、白人32%、アフリカンアメリカン1%となっています。アメリカ人からみたアジア人は中国人とインド人ということが多く、中国人韓国人日本人の違いがわかる人はほとんどいません。それはともかく、白人よりアジア人が多いことがカリフォルニアでは珍しくありません。逆に田舎ではアジア人は珍しがられるようです。

子どもが通っていた公立の学校は、家でも英語を話すという家庭ばかりではありません。スペイン語、中国語、タガログ語などなどざっくりいうと100近い言語を母国語としている生徒たちが集まっています。子どもたちは学習言語として英語を習得し、場合によっては母国語を忘れていくこともあります。そのような多様性のあるのがアメリカの特徴です。毎朝学校で星条旗に向かって君が代のようなものを斉唱してアメリカ人としてのアイデンティティを確認しているように見えました。それくらいさまざまです。

アメリカにいた頃、ペルーとボリビアを旅行して帰ってきた時はアメリカがなんと住みやすい国かと思ったことがあります。どの国から来ても民族色を極力排除してなじみやすいのがアメリカの良いところと感じました。

ですが、数十年前までは黒人差別が顕著でお手洗いやプールやレストランですら人種によって分けられていたというのは紛れもない事実です。『パラサイト』の一つ前のアカデミー賞は『グリーンブック』という人種差別を扱った映画でした。私たちが住んでいたエリアには黒人はそんなに多くなかったので間近で黒人に対する人種差別を感じることはありませんでしたが、たとえ英語がアメリカ人と同じように話せても「ガラスの天井」といわれるものが有色人種にはあるのだと友人が教えてくれました。

コロナがまだまだ収まっていないのに全米各地で人種差別反対を訴えるデモ行進が繰り広げられているのをニュースで見て、私たちは危険だと感じます。それでも尚、自分の考えを主張する人たちで行進は続きます。

スポーツ選手によるイデオロギー的な発信はオリンピックでは禁じられているようですが、今回の大坂選手の行動は今のところ勇気あるものとして好意的にとらえられているようです。一人の若者の力が世界を変えるかもしれない、そんな風が吹いています。日本人はおとなしくて主張ができない人が多いですが、大坂選手は日本人としての謙虚さや奥ゆかしさを持ちつつ大胆にしたたかに当事者として自分を貫こうとしています。私たちは本当に自分の信じている道を力強く歩んでいるのか、彼女から学ぶことはとても大きいです。いつかノーベル平和賞取る?凄い若者が出てきました。未来は明るい。

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