「もうええでしょ」オランダ版ガチ地面師疑惑なう②
前回の話を振り返ると、まずあまりにも条件の揃ったクラブ開催場所があって、レンタル料が無料でドリンクのノルマもないという、奇跡の場所(=地面)に対する、ルームメイトの客観的な視点
「それ、地面師じゃないですか?」
に、ハッとさせられ、振り返ってみた時のいくつかの違和感を反芻する…というもの。
地面師疑惑①
「君に2回メール送ったよ」〜存在しない2通のメール〜
まず、最初に私はこのクラブの公式ホームページに2回問い合わせメールを送っている。しかし一向に返事が来ないので電話をかけた。すると担当者と名乗る男がでて、「君に2回もメールを送ったのに!見てないのかい?」と言ってきた。
「え?本当ですか??」
すかさず迷惑メールを電話しながらチェックする。しかし、そんなメールは何度探してもどこにもきていない。
私のメールアドレスあってる?xxxの、、、と口頭で再度伝えるも、うんそれだよ。という。
「まぁ今電話で話せてるし、いいや」そう思い、電話越しで、レンタル料いくらですか?と聞くと「無料だよ」といわれる。
え?????まじ???
しかし、なぜ???
「どうして?」と聞くと、
まさかの
「知らないよ笑」
という謎の回答。
いや、お前誰だよ。
この時点で十分怪しかったはずだが、まあこの土地を所有していた人がもう家代を払い終えてドリンク代だけで賄えるほど稼ぎきった、富豪か何かなのだと、何も言われてないのに勝手な想像力を働かせて都合よく自己解釈して終わった。(私はとにかく場所選びに苦労していた→地面師詐欺にもっと遭いやすい人の条件)
地面師疑惑②
去年はダメだったのに今年急にOKになった点
前回の記事でも述べたが、私はこのクラブに去年イベント開催をしたいとお願いした時、断れている。理由は「そもそもこの会場は非営利じゃないとダメなんだ。だからチケットを売ったりして君が利益を得ることはできない」と言われ、しかも「ここは学生のためのクラブだからオーガナイズするのも学生じゃなきゃダメなんだ」と言われた。
それなのに今年は何故か「チケットをいくら売って利益を出しても全く問題ない」「オーガナイザーが学生でなくても全く問題ない」と言われた。むしろお客さんでさえも別に学生テーマではあるけど必ずしも学生である必要はない。と。つまりここは天国ということでおk?
地面師疑惑③
無料と言われたものの、実際行ったら300€と言われる
電話やメールでやり取りした時は、「完全に無料」と言われたのに、当日行ってみると「スタッフ代、セキュリティ費がかかる」と言われた。いくら?と具体的にきくと、「わかんないけど300ユーロくらい」と言われた。わかんないけどってなに。なんでわかんないの? お前は誰なの? 一体だれ。なぜここにいるの。いろんな疑問が頭をよぎる。だけど、300ユーロはそもそも安い。。。安すぎる。電話の時は散々タダだと言ったのに、ここへきてしかもアバウトな金額提示してくるあたり、怪しい。でも、にしたって結局安い。ま、いっか。(→地面師詐欺被害へのカウントダウン)
地面師疑惑④
「支払いはキャッシュで」
極め付けはこれだ。そーだ。キャッシュじゃなきゃダメと言われた点だ。
しかもはっきり明言せずに話の間にちょいちょい織り交ぜてきやがる。
「〜キャッシュ〜」と、会話の文章の真ん中らへんに空耳アワーのようなさりげなさで、このキャッシュというワードを織り交ぜて話してくる。
ん?今なんかキャッシュって言った?
そのくらいのニュアンスで、ちょっと後ろめたそうにキャッシュって言ってきてる気がするぞ、こいつ。
これが今振り返ると最も怪しい。ちゃんとしたクラブ会場でキャッシュでいいとこなんてない。キャッシュ(現金)でいいということはつまり足跡がつかない、つまり脱税している、もしくはそもそもこの土地の持ち主ではない(=地面師)である可能性があるとことだ。
どういうことなんだ…。
謎は深まるばかりである。
けど、一応なんかあった時のために担当者の姿かたち、顔面をビデオ録画した。だから何かあったらこれをもとに、、、。と思ったのだが、しかし。
ここへきて、ネトフリで見たあの地面師の様子が思い浮かぶ。
そもそも奴らは素の顔を晒していた。交渉の場にそもそも偽のIDカードまで持ち込んでその場に自分の素顔を晒していたではないか。
そうか。地面師にとって素顔を晒すことなど問題ではないのだ。どうせあとで跡形もなくバックれるのだから。そして名前もIDもすべて嘘なのだから。調べたってなんの証拠も出てくるわけがない。
ということは、この動画は大した意味をなさないのか…。
むぅ….。
そうなると何があったら安心できるんだ?
私はもう一度深夜まで何も食べずに目を充血させながらどっぷりとハマってしまった全7話ある地面師のストーリーに想いを馳せてみた。
まて。このままいくと最悪の事態はなんだ?
イベント前に金を支払い、いざ当日イベント会場に到着してみる。
ガチャガチャ。え….
「鍵が開かない」
そしてセキュリティっぽいデカい男に「お前は誰だ」と言われ、「今日ここでイベントするオーガナイザーです」と言ったものなら「そんな予約はない。帰れ。今すぐここを立ち去らないと警察を呼ぶぞ」
そう言い放たれる。
はぁ??
そこへ、ここのクラブの地主だという男が現れる。
どう見てもあの男と顔が違う。
あんた誰、、、?
「いやお前が誰だ、帰れ」と言われる。
あの男、誰だったん?
以前ルームメイトが私に言った「その人、地面師じゃないですか?」という忠告が走馬灯のように蘇り
「地面師….」
と乾いた声が夜の道路に小さく響き、
その場に崩れ落ち、かかってきた電話に「◯ねーーーー!!」と叫び、
自暴自棄になり(※そこまでの被害額ではない)、そこへ見知らぬ本物の地主が登場し、あいつマジ誰だった??てなる…。
しかし、地面師を見た人たちならわかると思うが、地面師被害に遭わないために決して飛ばしてはいけないステップがひとつだけある。
それは、そう。
近隣住民への聞き込みだ。
この男を見たことがあるか?と尋ね、
ああこの人はここのクラブの〜と言われたら勝ちだ。
そうだ。それをやるしかない。
本人にバレたら嫌な顔されるだろうがやるしかない。
そう思っていたところ、一通の電話が鳴った。
担当者の例の男だった。
(つづく)
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