Mariage.H(マリアージュ.アッシュ)

未知なるマリアージュの世界へようこそ!わたしの〝超おすすめワイン〟をご紹介します。(イ…

Mariage.H(マリアージュ.アッシュ)

未知なるマリアージュの世界へようこそ!わたしの〝超おすすめワイン〟をご紹介します。(インスタグラム → https://www.instagram.com/mariage_h/

最近の記事

今後のNFTの可能性

高級ワイン市場は、長い歴史と伝統を守りながらも、NFTという新たなデジタル技術の波に直面しています。NFT(Non-Fungible Token)とは、ブロックチェーン技術を活用して作成される唯一無二のデジタルデータであり、デジタルコンテンツに「証明書」のような価値を付与するものです。改ざんが困難で、所有権や真贋証明をデジタル上で行うことができ、偽装品問題に対して強力な対策を提供します。とくに、年々深刻化する偽装ワイン問題に対して、NFTの普及はおおきな可能性を秘めています。

    • エレガントで輪郭の美しい酸味

      1812年、ヨーロッパはナポレオン戦争の混乱に揺れていましたが、その一方でシャンパーニュ地方では静かに新たなシャンパーニュ・メゾンが誕生しました。それがローランペリエです。当時、モエ・エ・シャンドンやヴーヴ・クリコなど、20を超えるメゾンがアッサンブラージュと大量生産に注力し、商業的成功を目指していました。そのなかで、ローランペリエはシャルドネの優雅さと繊細さを追求し、独自のシャンパーニュづくりに専念しました。この姿勢が、後にローランペリエを象徴的な存在へと成長させた要因のひ

      • 秀作年の3つの条件

        「秀作年のみ」と聞くと、多くのワイン愛好家がヴィンテージ・シャンパーニュを思い浮かべる人も少なくないでしょう。しかし、赤ワインにも、秀作年は存在します。それが、今夜抜栓したブシャールのプレミアム・キュヴェ〝コトードモワンヌ〟です。このブルゴーニュのワインは、豊かな果実味と複雑さを備えた特別な一本で、2021年という特異な年を象徴しています。 では、秀作年とはどのような条件が満たされるべきなのでしょうか?ヴィンテージは単なる気候の結果ではなく、複数の要素が組み合わさることで生

        • 香りのレイヤードを楽しむ

          最近、フレグランスの重ねづけ、いわゆる“レイヤード”が流行しています。異なる香りを重ね合わせ、その日の気分や好みに応じたオリジナルの香りを楽しむという手法です。この発想は、実はワインと料理のペアリングでも活かすことができます。 たとえば、「シャンパーニュ キュヴェ・レテルニテ ブリュット エルネスティーヌ・ドゥソー」と「松茸の土瓶蒸し」。土瓶蒸しに添えられたスダチは、香りのバランスを崩さないように絞らず、まずは出汁の奥深い旨味をゆっくりと味わいます。その後、ひと口シャンパー

          シーンに応じた選択

          今日は、友人が経営する焼き鳥屋で、鳥刺しを楽しみました。合わせたのは、モダン派ボルドーの「シャトー・モンペラ2021」です。メルロー主体のこのワインは、濃厚な果実味とほのかなスパイシーさが特徴で、鉄分を含む独特の「ずり」の風味や鶏の新鮮な刺身と見事に調和しました。 ところで、ワインには大きく分けてクラシック派とモダン派のスタイルがあります。クラシック派は、長年の伝統に基づき、大樽や長期熟成を重視します。クラシック派のワインは、強靭なタンニンと複雑さが特徴で、飲み頃になるまで

          隠しと飾りの技術

          鮨職人の技には、表には見えないが味わいに大きな影響を与える「隠し包丁」と、目で楽しむための「飾り包丁」という二つの側面があります。この技術がもっとも顕著にあらわれるのが、剣先イカという鮨ダネです。剣先イカの弾力ある身には、見えないほど細かな切れ目が施されており、食したときにその柔らかな甘みが自然に広がります。これが「隠し包丁」の力です。視覚的にも美しく整えられたその姿は、「飾り包丁」による華やかさで、口にする前の期待感をいっそう高めてくれます。 この鮨の芸術ともいえる包丁さ

          ブリュットナチュールVSエクストラ・ブリュット

          ブリュットナチュールとエクストラ・ブリュットの違いは、とくにワイン初心者にとっては少しわかりにくいかもしれません。その違いを深く理解するには、ジャン・ルイ・ヴェルニョンのシャンパーニュを比較しながら味わうことをオススメします。レコルタン・マニピュラン(自社畑でぶどうを栽培・収穫し、醸造、瓶詰めまで一貫して行う小規模生産者)であるこのメゾンは、ロゼを除くすべての銘柄において、ドサージュが5g/ℓ以下という、非常に稀有なスタイルを採用しています。 ドサージュは、シャンパーニュに

          ブリュットナチュールVSエクストラ・ブリュット

          侘びと寂びとシャンパーニュ

          侘び寂びという言葉は、日本人が大切にする美意識の一つで、静寂の中にも深い情感を秘めた美しさを表現します。時の経過によって生じる風化や、目立たない静けさの中に潜む深遠な美、それは派手さや物質的な価値観とは対極にあります。しかし、この概念をワイン、とくにシャンパーニュと結びつけると、新たな気づきが得られます。 たとえば、先日「ピエール トリシェ ブラン ド ノワール」を抜栓し、枯山水をイメージしたイノベーティブ・フュージョンのコースを楽しんだとき、シャンパーニュを通じて『侘び寂

          侘びと寂びとシャンパーニュ

          シャンパーニュと美術に共通する「アッサンブラージュ」

          「アッサンブラージュ」とは、シャンパーニュの製造過程で異なる品種や畑、収穫年のワインをブレンドする工程を指します。しかし、この「アッサンブラージュ」は単なる混合ではなく、熟練の技によって構築される「作品」です。そして、美術の世界にも同名の「アッサンブラージュ」が存在し、シャンパーニュと美術の双方が持つ創造性と複雑さが興味深く重なります。 美術における「アッサンブラージュ」とは、異素材を組み合わせて立体的な作品を生み出す技法です。「パピエ・コレ」や「コラージュ」も異なる素材を

          シャンパーニュと美術に共通する「アッサンブラージュ」

          ワインとポテトの起源

          土からコンクリート、木からステンレス。これらはワインの発酵熟成槽の進化を象徴しています。現在は木樽やステンレスタンクが主流ですが、かつては粘土でつくられた素焼きの壺が用いられていたようです。 ワインの発祥地「ジョージア」では、いまでも〝クヴェブリ〟と呼ばれる土製の壺を使い、伝統的な製法でワインがつくられています。とくに特徴的なのは、この壺を地中に埋めること。土のなかで、果皮や果肉、果梗(かこう)、種子、果汁を一緒に発酵熟成させることで、低温でゆっくりと時間をかけて進行する発

          シンプルさに潜む本質的な価値

          「焼き鳥」は、一見シンプルに見える料理ですが、実際には素材の良さを最大限に引き出すための職人技が随所に凝縮されています。炭火の香りが漂う中、焼き鳥の串を握る職人の手には、長年の経験が宿っています。鶏肉の下処理ひとつとっても、その丁寧さが肉の柔らかさと旨味に大きく影響し、串の打ち方も肉の火の通り方を左右します。火入れの具合が絶妙であれば、外は香ばしく、中はジューシーに仕上がります。このように、シンプルであるがゆえに、食材と技術の本質が問われる料理といえます。シンプルな料理ほど、

          シンプルさに潜む本質的な価値

          日本が誇る発酵調味料

          味噌や醤油とならび、日本が誇る発酵調味料に「魚醤(ぎょしょう)」があります。魚醤とは、魚に塩を加えて発酵させたもので、その深い風味は、日本料理のなかでもとりわけ独特で、他の調味料にはない力強さを持っています。この力強さは、たとえばシンプルな和食の一品に、奥行きと深みを加えることで際立ちます。 この魚醤は、タイの「ナンプラー」に類似していますが、ナンプラーは魚特有の香りが際立つ一方で、魚醤はまろやかな風味をもつ点で異なります。この風味の違いを生みだす最大の要因は、発酵・熟成期

          フェルメールとサッシカイア

          サッシカイアのエチケットを眺めるたびに、『真珠の耳飾りの少女』が思い浮かびます。ヨハネス・フェルメールの代表作。サッシカイアのブルーのキャップシールとロゴ、そしてエチケットの風合いが、〝青いターバンの少女〟の世界観と重なってしまうからかもしれません。 わたしのなかでは、高貴で優雅、洗練されたシンプルさ、時代を超えた美、そして神秘的な魅力を持つ世界観が共通しています。今夜はそんなサッシカイアの「1982ヴィンテージ」を抜栓。カベルネ・ソーヴィニヨンの渋みと酸が、42年の歳月を

          フェルメールとサッシカイア

          「カステヨン」の評価がここ20年で上がった理由

          かつて「カステヨン」は、ボルドー地方の他の著名なワインの産地に比べて、影の薄い存在でした。サン・テミリオンやポムロールなどの名高いワイン地区が注目を集める一方で、カステヨンはその真価を十分に認められていなかったのです。 しかし、この20年でカステヨン・コトー・ド・ボルドーの評価は大きく変わっています。その理由は、地元の生産者たちが伝統を守りつつ、モダンな醸造技術を積極的に取り入れ、ワインの品質向上に取り組んだことにあります。彼らは土壌の特性を深く理解し、それを最大限に活かし

          「カステヨン」の評価がここ20年で上がった理由

          神は細部に宿る

          「神は細部に宿る」とは、ドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエの言葉です。細部にまで妥協せずに仕上げることで、全体の完成度が高まるという意味であり、この考え方は建築にとどまらず、ワインや飲食の世界においても重要です。 たとえば、グラスでオーダーが入ったワインでも、「ボトルを見せて」と依頼されることを想定して、美しく抜栓するのが一流の飲食店の共通点です。とくに、シャンパーニュなどのスパークリングワインの場合、ボトルの先端を覆うシールの切断部分がきれいな直線を描いているかど

          居心地の良い店とは

          家族や友人に紹介したくなるような、居心地の良い店とはどのようなお店でしょうか? わたしはその店が醸し出す雰囲気だと思っています。元気になったり、やさしい気持ちになれたり、いつまでもその場にい続けたくなるような雰囲気。 では、その雰囲気とは、どこからつくりだされるのでしょうか。店舗デザインでしょうか。店内の内装でしょうか。照明でしょうか。料理の器でしょうか。それとも清潔感でしょうか。わたしは、その店で働くスタッフからにじみでてくるものだと思っています。 気持ちの良い挨拶、テキ