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エレガントで輪郭の美しい酸味

1812年、ヨーロッパはナポレオン戦争の混乱に揺れていましたが、その一方でシャンパーニュ地方では静かに新たなシャンパーニュ・メゾンが誕生しました。それがローランペリエです。当時、モエ・エ・シャンドンやヴーヴ・クリコなど、20を超えるメゾンがアッサンブラージュと大量生産に注力し、商業的成功を目指していました。そのなかで、ローランペリエはシャルドネの優雅さと繊細さを追求し、独自のシャンパーニュづくりに専念しました。この姿勢が、後にローランペリエを象徴的な存在へと成長させた要因のひとつです。

たとえば、シャルドネ100%でつくられたローランペリエ ブラン・ド・ブラン ブリュット ナチュールは、そのエレガントさとシャープな酸味が際立つ逸品です。このシャンパーニュは、雑味のないピュアな果実の味わいと、美しく洗練された酸味が特徴です。ブリュット・ナチュールとして、糖分の添加が最小限に抑えられ、シャルドネのもつ自然な酸味が引き立てられています。フレッシュさと繊細さ、そして力強さが見事に融合しています。

ローランペリエのこの方針は、他のメゾンとは一線を画しています。品質に対する徹底したこだわりが、彼らのシャンパーニュにあらわれています。シャルドネを主体に据えたシャンパーニュづくりを通じて、常に洗練された味わいとエレガントなスタイルを追求してきました。「ブラン・ド・ブラン ブリュット ナチュール」は、まさにその姿勢を体現するシャンパーニュといえます。

ローランペリエのシャンパーニュは、シンプルでありながら極めて精緻で、輪郭の美しい酸味が特徴です。楽しむたびにその底しれぬ奥深さに引き込まれ、変わらぬぶどうのポテンシャルの高さと造り手の一貫した姿勢、そして妥協のないかっこよすぎる思想を感じさせてくれます。

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