見出し画像

フェルメールとサッシカイア

サッシカイアのエチケットを眺めるたびに、『真珠の耳飾りの少女』が思い浮かびます。ヨハネス・フェルメールの代表作。サッシカイアのブルーのキャップシールとロゴ、そしてエチケットの風合いが、〝青いターバンの少女〟の世界観と重なってしまうからかもしれません。

わたしのなかでは、高貴で優雅、洗練されたシンプルさ、時代を超えた美、そして神秘的な魅力を持つ世界観が共通しています。今夜はそんなサッシカイアの「1982ヴィンテージ」を抜栓。カベルネ・ソーヴィニヨンの渋みと酸が、42年の歳月を経て、極めてエレガントで優雅に進化し、獣、スパイス、ハーブといった複雑な芳香と完璧なバランスで調和しています。それはまるでフェルメールの〝色〟と〝光〟のよう。凝縮感ある旨みの但馬牛を繊細にエスコートし引き立て、泉州の水茄子とともに、清涼感を感じる余韻を楽しませてくれます。

サッシカイアは〝スーパータスカン〟の先駆者。スーパータスカンとは、トスカーナ州におけるカベルネ・ソーヴィニヨン主体、いわゆる〝ボルドースタイル〟のワインです。当時、法律で認められていない醸造方法だったにもかかわらず、この「サッシカイア」が非常に優れたスーパータスカンであったことから、このスタイルのワインが法律で認可されました。

バロック時代の絵画に革新をもたらしたのがフェルメールなら、イタリアワインに革新をもたらしたのはサッシカイア。フェルメールもサッシカイアも、それぞれ重要な転換点となる存在であり、その革新性こそが、ワインや絵画の発展に大きな役割を果たしたといえますね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?