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大丈夫

この記事を読んでいる貴方は今電車の中だろうか。

私は電車が怖い。

一駅乗るのも想像するだけで恐ろしく怯んでしまう。

電車の中でスマホを見るなんて余裕もなくなる。

昔はこんな私ではなかった。

だけどある日突然電車の中でパニック発作を起こしてからというもの

それまで地球の裏側まで普通に楽しく旅をしていた私が

近所のコンビニへ行く事すら怖くて躊躇うようになった。

例えばエレベーター、美容院、歯科、乗り物

閉鎖空間、逃げ出せない、拘束される感じのする場所は一切NGとなり

元々苦手ではあった人混みも全くNGになり

外出自体怖くなり、誰とも電話で話す事すらできなくなり

ただ家に引きこもるようになった。

自分が自分ではなくなってしまったようだ。

そんな自分に腹が立ち

何度も外へ出よう、電車でどこかへ行こう、と思い立つものの

やっとの思いで地下鉄の駅に到着し

改札口に辿り着くと、途端体が凍りつき動かなくなってしまう。

ヘトヘトになり家に戻り、口惜し泣きする繰り返し。

だけど何としても、電車に乗りたい、以前のように普通に外へ出かけたいという気持ちが勝り

ある日とうとう私は駅のプラットフォームに立っていた。

電車がやって来た。

その電車に乗った。

もう後戻りはできない。

電車が私を閉じ込め動き出した。

心臓は壊れそうな程バクバクし始め、このまま死んでしまうのではないかと思う程の強烈な不安に襲われ苦しくなる。

ただ電車に乗っているだけなのに、私の体は何故こんなおかしな反応をするのだ?

一駅がこんなにも長い時間だと思ったのは初めてだ。

もうダメだ、苦しくて倒れてしまう、乗らなければ良かった、と、その場に蹲み込んだ時

「大丈夫ですか?」

と、女性の声がし、振り向くと、若い女性が心配そうに私を見ていた。

「パニック症の発作で・・・」

どうせこの苦しみなどわかって貰える筈がないと思いながら小声で伝えると

「やっぱり・・・ 私も同じだからそうかなって。でも大丈夫、ほらもうすぐ降りられるわ。」

私はその女性に抱えられ、次の駅で降り、ベンチで休み、暫くして発作が落ち着くと、どうして私がこんな事に、口惜しい、と、その見知らぬ女性の横で大声で泣いてしまった。

「私も貴方と同じ。だから貴方の気持ちは痛い程わかる。でもね、泣かないで、練習すれば少しずつ慣れて来るから。大丈夫、少しずつ、少しずつ、例えば電車に乗った=酷い発作が起きた=電車や乗り物は怖い場所、というような、間違って覚えてしまった記憶をね、正して行くの。
記憶はとても頑固だから正すのは根気が必要になるし、電車に乗っても怖くない、大丈夫って、少しずつ、少しずつ間違って覚えてしまった情報を正して行くの。
最初は怖いかもしれないけど何度も電車に乗って慣れると少しずつ、怖かったものが怖くなくなってくるの。パブロフの犬と同じ。私もこうして普通に電車に乗れるようになるまで3年かかった。パニック症は発作で死ぬ事はないの。発作が起きても必ず落ち着く。今回は頑張ったわね。その勇気、一歩が大事。苦手なものを練習する事が大事なの。だけど無理はしないでね。焦らないで、少しずつ、少しずつ。大丈夫って、自分に覚えさせるの。(^^)」

誰もわかってくれない、と思っていた私にとって、その女性は神様のように思えた。いや、本当に神様だったのかもしれない。

これはもう、10年以上昔の話。

今、私は神様のようなあの女性のように、美容院にも歯科にも行けるようになり、電車にも乗れるようになっている。飛行機にも再び乗れるようになった。これは治った、というより、自分の体質と上手に付き合えるようになった、という感じかもしれない。元々、子供の頃から自律神経が弱いので、その時の体調によって、辛い日は無理をしない事にしている。

この記事を読んでいるパニック障害の方へ。
体調(自律神経等)の波があると思います。調子の良い時悪い時があると思います。苦しいと思います。でも、私の経験上、そして見知らぬ女性の経験上、三歩進んで二歩下がりながら、調子の良い時に少しずつ少しずつ一歩踏み出しながら、少しずつ少しずつ良くなるもののようです。達成感が自信に繋がります。そうすれば恐怖心が少しずつ消えて行きます。
希望を持ってくださいね。

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