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本をはじめとした子どもたちをとりまくあれこれのことを綴ります☺︎ インスタに書いていた書…

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本をはじめとした子どもたちをとりまくあれこれのことを綴ります☺︎ インスタに書いていた書評も少しずつ手直ししながら、こちらに移行していきます。

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両手にトカレフ

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の作者、ブレイディみかこの小説。 本当は「ぼくはイエローでホワイトで…」のことを書いてからこのnoteを書くつもりだったけど、読後の衝撃が凄まじいので先に書くことにする。 本当に、なんて痛い、なんて悲しい、だけどなんて温かい物語を書くのだ、この人は。 あらすじ 主人公のミアは、今でいうところのヤングケアラーで、アル中でドラッグ中の母親の代わりに9歳の弟チャーリーの面倒をみている14歳の中学生。 ある日ミアは図書館でホームレス

    • 教育とは

      今回は本の話ではないのですが、ちょっと書き留めておきたいので。 「教育とは」などとでっかいタイトルにしてしまいましたが、もうちょっと砕いて「子どもを育てるとは」というくらいにしておきます。(これでもでっかいですけど) ここでいう「子どもを育てる」場は学校です。 それも小学校です。 わたしは20年間教師をしていますが、今はっきり言えることは、「子どもを育てる」ことはとてつもなく地味で誰にも気づかれない営みの上に立つことだということです。 これを読んでくれる方は、どんな立

      • そもそもこういうことを始めたのは、20年くらい前。学校司書を辞めて今の仕事に転職できてすぐくらいに書いていた「せんせー、本よんで」というブログがきっかけです。あれからずっとちゃんと書きたいという思いをもっているのだけどなかなか進まない。今年は少し書けたらいいな。よろしくです。

        • 歯いしゃのチュー先生

          ウイリアム・スタイグ 作 とあるかわいい女優さんが、イタリアのワインの産地を巡る旅番組を見ました。 彼女が行く先々のワイナリーでは、必ず「辛口の白ワイン」という言葉が出てきます。 (そりゃそうだ。ワインの番組なのだから。) それを聞いて、どこかで聞いたなぁと考えて思い出したのがこの絵本です。 腕利きの歯科医、チュー先生に麻酔をかけられて、夢見ごこちになってしまったキツネが、あろうことか治療をしてくれるチュー先生をこの後食べてやろうか、と考える場面で言うセリフです。 実

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        両手にトカレフ

        • そもそもこういうことを始めたのは、20年くらい前。学校司書を辞めて今の仕事に転職できてすぐくらいに書いていた「せんせー、本よんで」というブログがきっかけです。あれからずっとちゃんと書きたいという思いをもっているのだけどなかなか進まない。今年は少し書けたらいいな。よろしくです。

        • 歯いしゃのチュー先生

          だいちゃんとうみ

          太田大八作 太田大八さんが、97歳で亡くなったというニュースが届きました。(この記事を書いたのは2016年です。) 日本の絵本界の巨匠中の巨匠で、絵本学の提唱者としても有名です。 描かれた絵本は本当にたくさんありますが、一冊選ぶならやはりこの本かな。 いとこのこうちゃんのうちにあそびに来た、だいちゃんの夏休みの一日。 おそらく自伝である物語は、子どもたちの穏やかで楽しい夏の時間が描かれています。 なかでもやっぱり気になるのが、海で釣ったたくさんの魚や、海岸で採った「み

          だいちゃんとうみ

          愛について

          作者はワジム・フロロフ。 1966年刊行のロシアの児童文学。 当時はソビエトだった。 「ゲド戦記」を翻訳した、清水眞砂子さんの書評「そして、ねずみ女房は夢を見た」に載っていて、ずっと気になっていた本。 一昨年古書店で見つけて、手に入れたものの、なぜか読めずにいた本。 お利口さんな児童文学に反抗するために書いた、と作者が言うとおり、これを勧めるのは人を選ぶかもしれない。 でも、子どもだって大人だって、みんな誰しもどうしようもない世界に生きているのだ。 「何に、どんなわけ

          愛について

          さかなのこ

          話題の映画。 ずーっと観に行きたかったけどなかなか出かけられなくてようやく観てきました。 さかなクンという、とにかく個性の塊みたいな人の半生を、これまた個性というワードでは負けてないよな、と思うのんちゃんが演じる。 しかも監督は沖田修一さん。 これはもう、面白いしかないのではないかという作品です。 大好きな脚本家、宮藤官九郎さんが8月の終わりに「今年の下半期、始まったばかりだけどこの映画がナンバーワンだから!」と興奮して話していた。 そんな宮藤さんのコメント。 このコメ

          さかなのこ

          走れ、走って逃げろ

          イスラエルの作家、ウーリー・オルレブの作品(岩波少年文庫) ナチスの迫害から独りで逃げのびた、ユダヤ人の少年の物語。 もちろん実話だけど、ちょっと信じられないくらい壮絶な物語です。 森の中で暮らす方法、村に下りて雇ってもらうためのやり方、身の危険を感じたらどのタイミングで逃げればよいか、小さなユレクが危機を迎えるたびに胸が痛む。 けれども、困難な時代を生きながら、それでも負けないユレクの魅力に、どんどん惹きこまれてあっという間に読んでしまいました。 2015年に「ふたつ

          走れ、走って逃げろ

          かいじゅうたちのいるところ

          思い立って、絵本のアカウントを立ち上げてみることにした。 第一回は、モーリス・センダックの「かいじゅうたちのいるところ」 この絵本は、現代絵本の古典的存在(変な言い方だけど)といっていい、センダックの名作。 マックスといういたずらっこが、お母さんに叱られた後、夢の中を冒険する物語。 大暴れするマックスがいる現実世界から、夢の世界に入り込んでいくシーンは、夢の中だというテクストでの明確な説明はないが、その画面構成で読者は誰でもわかるようになっている。 こういうテクニック的な

          かいじゅうたちのいるところ