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走れ、走って逃げろ

イスラエルの作家、ウーリー・オルレブの作品(岩波少年文庫)

ナチスの迫害から独りで逃げのびた、ユダヤ人の少年の物語。
もちろん実話だけど、ちょっと信じられないくらい壮絶な物語です。

森の中で暮らす方法、村に下りて雇ってもらうためのやり方、身の危険を感じたらどのタイミングで逃げればよいか、小さなユレクが危機を迎えるたびに胸が痛む。
けれども、困難な時代を生きながら、それでも負けないユレクの魅力に、どんどん惹きこまれてあっという間に読んでしまいました。

2015年に「ふたつの名前を持つ少年」というタイトルで映画も公開されました。
こちらも素晴らしかったです。
機会があればぜひ観て欲しいです。

ところで、作者のウーリー・オルレブの名前。
どこかで聞いたことがあったなと、読みながらずっと考えていてわかりました!
国語の教科書に載っていた「のどがかわいた」の著者だでした。

「のどがかわいた」は、イスラエルの寄宿学校に暮らす少年たちの友情物語です。
イスラエルの少年の穏やかな日常が目に浮かぶ秀作で、わたしはとても好きな物語です。

しかし、こんな爽やかな作品を描いたオルレブ自身が、ユダヤ人として強制収容所に収容された過去を持つ人だったということは「走れ、走って逃げろ」を読むまでは知らなかったです。

その歩んできた人生の重みを考えながら、「のどがかわいた」ももう一度読んでみることにしようと思います。

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