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2巻より更にレベルアップ~『黄金の烏 八咫烏シリーズ』(阿部智里)~

*この記事は2020年4月のブログの記事を再構成したものです。


「八咫烏シリーズ」の第3巻です。『烏に単は似合わない』、『烏は主を選ばない』と、不思議だけど最後に意味の分かる題名が続いてきたのに、突然普通の題名になってしまいました。

↑kindle版


どうでも良いけど、現在窓の外の電線に黄金の烏ならぬ漆黒のカラスが約20羽とまってカーカー鳴いており、非常にうるさいです。


2巻は1巻より格段に良かったですが、今巻は2巻より更にうまくなっていました。文章力も話の構成力も、けた違い。相変わらず、謎解きの際にそれまで明かされていなかった情報を出してくるという禁じ手を使っていますが、一応あまり上手とは言えないものの伏線は張られていたので、仕方ないかな。


どうしても気になってしまうのは、「山寺」に「神官」が仕えるという記述。舞台となっている山内の世界で信仰されているのは仏教でも神道でもないとはいえ、やはり違和感を感じます


そのような瑕疵があちこち見受けられつつも、何はともあれ作家として急速に成長する力を持っていること自体、驚異的だと思います。4巻が楽しみです。


ちなみに今巻では、物語世界の山内が大きな危機に見舞われるのですが、なぜこの状況の中で私はこのシリーズを読み始めることになったのかと思うと、例のごとくシンクロニシティを感じました。


見出し画像には、カラスの写真を使わせていただきました。


↑文庫版



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