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ハマっ子心をくすぐる意欲作~『横浜大戦争』(蜂須賀敬明)~

*この記事は、2019年12月のブログの記事を再構成したものです。


小野不由美の『白銀の墟 玄の月』の一・二巻を有隣堂横浜駅西口ジョイナス店に買いにいった時、そのすぐそばに、『白銀の墟~』ほどではないものの、結構な分量で平積みになっていた本がありました。それがこの、『横横浜大戦争』です。

↑kindle版


裏表紙によれば、こんな感じの話。

横浜の〝中心〟を決めるべく、それぞれの区を司る〝 土地神〟たちが、くんずほぐれつの激しい戦いを繰り広げる。

『横浜大戦争』裏表紙

いや、ハマっ子心をくすぐるじゃないですか。というわけで、読んでみました。


正直ラノベ的で、よくこれを文春文庫で出したなぁという感じでした。文法的におかしい表現も多いのですが、それこそラノベ的な有無を言わせぬ強引さで話が進みます。でも途中から、家族や戦争の問題などが絡みだし、ちょっと考えさせられるところもありました。


ま、でももちろん基本的には軽いです。やけに人間的で、欠点も多い土地神たちのキャラ設計が、横浜市民なら、にやっとする感じによくできています。表紙裏の著者紹介の欄によれば、「有隣堂横浜駅西口ジョイナス店で週間売り上げ総合1位を獲得」だそうです。やっぱハマっ子心をくすぐるらしい。


ただハマっ子以外にこれを読もうとするのは、横浜市内の学校に通うか、市内の企業に勤めるなど、横浜と何らかの縁がある人に限られるような……。それぞれの区の説明とかも、注記で結構丁寧にしてはありますが、横浜と縁もゆかりもない人が手に取る可能性は、いささか低いかと。読者層がだいぶ絞られるという意味で、意欲作でしょうね。


見出し画像は、横浜市の旧市庁舎前にあったマンホール蓋です。現在、旧市庁舎周辺は再開発中ですが、このマンホール蓋が残るのか、非常に不安です。




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