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【読書】拡大しないと、もったいない~『プリニウス 第6巻』(ヤマザキマリ、とり・みき)~

*この記事は、2019年4月のブログの記事を再構成したものです。


『プリニウス』の第6巻です。

↑kindle版


『プリニウス」でつくづく感心するのは、絵の細かさです。私はキンドルで読んでいるのですが、拡大して初めて分かる細かいところまで描き込まれています。逆に言えば、拡大して丁寧に見ないともったいないのだとは思いますが、さすがに1コマずつ、いちいち拡大する暇はありません。


今回個人的にツボだったのは、キャベツを栽培するウェスパシアヌス。当時は食物であると同時に薬だったそうですが、後の皇帝ディオクレティアヌスも、引退後にキャベツを作っているんですよね。


ディオクレティアヌスは初の自分の意志で退位した皇帝なのですが、復位を望む声があったにもかかわらず、それを断ります。彼の言い分は、「もしこのサロナで私が作ったキャベツをあなたに見せることができれば、いくらあなたでも、私にこの幸福を捨てて、再び権力を求めよなどと勧めることはできなくなるだろう」というもの。

……そんなに立派なキャベツができたのかい。そして、そんなにキャベツ栽培って楽しいのかい(^-^;


ちなみに、「自分の意志で退位した」というと、もうじき退位される天皇陛下が思い浮かびますね(注:この記事の元は、2019年4月のブログの記事です)。でも柔和な今上天皇と違い、ディオクレティアヌスはキリスト教徒への大迫害を行った、おっかない皇帝です。


なお巻末の「とりマリ対談」でのマリさんの言葉は印象的。

たぶん人間がすることは、二千年経っても進化しない。結局、歴史は繰り返すのでしょう。

「繰り返さない」ために歴史を学び、それを教訓としなければいけないはずなのに、それが出来ない人間は、愚かです。でも「三歩進んで二歩下がる」精神で、少しずつは良い方向に向かっているはずだと、信じたいものです。


見出し画像には、ウェシパニアヌスとディオクレティアヌスにちなみ、キャベツ畑の画像を使わせていただきました。


↑コミック版


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