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水田はすごい~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.417 2021.10.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事第20弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「土と微生物と」です。


スペシャル企画が「デヴィッド・ボウイ」となっていますが、表紙がデヴィッド・ボウイで、映画「スターダスト」でボウイ役を演じたジョニー・フリンのインタビューが載っているだけなんですよ。ボウイファンの人が期待して今号を手にとったら、ちょっと肩透かしの思いをするのではないかと心配になりました。「スペシャルインタビュー ジョニー・フリン」とするべきではなかったのかなと、ちょっと気になりました。


ともあれ、特集の「土と微生物と」は、とても興味深かったです。


土の色は世界各地で違います。土の色を聞いたら、日本の子どもは茶色や黒、ノルウェーの子どもは白、アフリカ中部の子どもは赤、インドネシアの子どもは黄色と答えます。

これは土の研究者の藤井一至さんの言葉。土の色1つでも、固定観念を持ってはいけないということですね。


「土壌には現在、大気中にある二酸化炭素の2倍、植物が固定している二酸化炭素の3倍にあたる量が貯蔵されている」と言われている。2015年のパリ協定で提唱された「4パーミル・イニシアチブ」はこれを根拠にしている。土壌が貯留する二酸化炭素由来の炭素の量を毎年0.4%ずつ増やすことができれば、工業セクターで排出される二酸化炭素をすべて土壌で吸収でき、大気中の増加量をゼロにできるという考え方だ。

せめて、たい肥は土に返すべきだというのが、よく分かります。


農学博士の染谷孝さんの言葉も印象的でした。

「水田では春から夏に水を入れるので、水田土壌は水によって大気と遮断されて酸素のない状態になります。連作障害を起こす植物病原菌の多くは菌類(糸状菌)で酸素がないと生きられないため、この湛水期にほとんど死んでしまう。これが2000年以上前から同じ場所で稲を栽培しても連作障害が起きない理由のひとつです」 ほかにも、連作障害を起こす原因として、イオウ、鉄、銅、コバルトなどの微量栄養素の不足があるが、山からの水を毎年入れることで微量栄養素も供給されるという。

水田、すごいですね。藤井一至さんも述べている通り、「安定的・持続的に収穫できる田んぼに背を向けつつあるのは悲しいこと」です。


「米国 コロナ禍で銃の売上急増、600万人の母親たちの願い」も衝撃的でした。2020年には推計で前年より64%多い、2200万丁の銃が購入されたとみられるそうです。以下は「Moms Demand Action」のオレゴン支部代表のウーリグさんの言葉です。

人口よりも銃の数が多いとは、恐ろしいことです。銃を扱う店の数は、マクドナルドの店舗数より、郵便局の数よりも多い。

1人でも多くのアメリカ人が、その異常さに気づくようになってほしいものです。


「池内了の市民科学メガネ」は今回は別腹の話でしたが、一番印象に残ったのはこの部分。

肉や魚が中心の洋食では糖分が比較的少ないため、デザートで甘いものを見ると脳が欲しがってオレキシン(注:細胞間の神経伝達物質の1つで、胃の働きを活発化させ、意に溜まっていた食べ物を小腸に押し出す役割を果たす)の分泌がいっそう活発になるようです。分厚いビフテキを食べても、デザートで果物やケーキがすらすらと食べられるのはこのためです。

結構こってりの食事だったのに、かえってあっさりめの食事よりデザートが欲しくなることがあり、不思議だったのですが、これで説明が付きました。炭水化物はやはり、適度に取るようにした方が良いなと思いました。


いつもながら、いろいろ勉強になります。これで1冊450円とは安いです。


「ビッグイシュー日本版」のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。



もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。



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