先日読んだ『シンプリスト生活』に出てきたので、読んでみました。
↑kindleユーザー以外の方は、青空文庫のものをどうぞ。
実は『陰翳礼讃』は、中学校だったか高校だったかの現代文の授業で、一部を読んでいます。当時は何せ女子中学生(女子高生)なので、同級生たちが異常に嫌がっていたのを覚えています。谷崎が良しとする物の、どこが良いんだか分からなかったわけですね。感性とか言われても、意味不明というか。
でも実は当時、私自身は「そこまで嫌がらなくても」と思っていました。別に私に谷崎の文章の良さが分かっていたわけではないでしょうが、毛嫌いせずに、谷崎の世界にちょっと近づいてみても良いのにという気がしていました。でもそんなことは言えず、皆と一緒に嫌がるふりをしていましたが。
多分、当時読んだのはこの辺でしょう。
羊羹だの漆器だの言われても、どこが良いんだか分からないよ、ケーキのほうが良いよ、という、同級生たちの気持ちも分かります。
そんな経緯もあり、一度は全文読んでみたかったので、良い機会だと思い、読んでみた次第です。完読してどうかというと、もちろん当時よりは谷崎の言いたいことは分かりますが、おいおいと思うところも、もちろんありました。
今となっては、日本座敷に扇風機がある風景は、むしろしっくりくる気がしますね。もちろん昭和から変わらない「あの形」でなければいけませんが。令和のサーキュレーターでは調和しにくいです。……うん? これってプチ谷崎的?
厠の良さに目をつけるというか、絶賛してしまうとは、谷崎先生、マニアックです。
おお、シンプリスト的!
これはさすがにあり得ないとは思いますが、谷崎先生がおっしゃりたいのは、「我等の思想や文学さえも、或はこうまで西洋を模倣せず、もっと独創的な新天地へ突き進んでいたかも知れない」ということですね。
うーむ、やはりこの方、変わっています。そもそも壁が砂壁って、衛生的にどうなの?
「床うつり」という言葉は初耳でした。覚えておこうっと。
同じ俳優さんでも、時代劇の方がかっこよかったり綺麗だったりしますものね。
これもシンプリスト的です。
ちなみに柿の葉寿司の作り方が載っているのですが、何だかすごく美味しそうでなのです。もともと柿の葉寿司は好きなので、なお。
いーえ、空中や地下へ移っても、ますます町の路面はうるさいですよ。
最後まで読んで、あっとなりました。なぜ谷崎先生が陰翳を礼賛するのかが、明らかになります。
やはり読んでみて良かったです。
見出し画像には、「みんなのフォトギャラリー」から漆器の写真をお借りいたしました。