第一の覚書

そうだな、あれははるか昔の記憶-。
今から書くことは、いくらか物語であって、いくらか真実である。
読者諸氏は、どんなふうに読み取ってもらってもよい。

僕の心が壊された日。
突然として踏み入れることになる「そこ」は、文字通りこの社会から隔絶された、閉鎖的な空間だった。

その日の記憶は、あまり鮮明ではない。
昼過ぎに踏み入れた記憶はあるが、夕方までどう過ごしたのかも。

夕食は各自で食べると思っていたのに、朝昼夕の食事はデイルームでみんなで食べるから、お前も来いという。

その日の晩御飯がどんなメニューだったかも覚えていない。
まるで食事が喉を通らない。

ただ途方にくれる僕に、隣人が話しかけてきた。

「とんでもないところに来ちゃったって、思ってるでしょう」。

まさに「とんでもないところ」に来てしまったという絶望感にある僕を気遣い、向こうのほうから話しかけてくれたのは僕よりも5歳以上若いTさんだった。

Tさんとはその後、この世の地獄にも似ている空間で、ともに戦いともに歩んでいく為の戦友になってくれた人でもある。

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