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あなたの猫になりたい。 ※詩の朗読台本です。

私は猫です。
昔は人間でしたが、あなたに出会ってから猫になってしまったようです。

女の子として、女性として、社会人として
頭からつま先を整えて、
誰からも爪弾き(つまはじき)されないように息を殺し、
上からの指示にはそれが思いつきだと思いつつも頭を空っぽにして『はい』と答えてきました。
それがこの世界の生き方なのだと、思っていました。
真っ当な普通の人生を送るのは、とても辛かった…

あなたと出会った時、
この人の傍(そば)なら、寝られると思いました。
優しい声で頭を撫でてくれるような、感覚で。
人間という被り物を付けなくても私は、
この人は私を愛してくれていると知り、
少しのワガママは私の本当の気持ちとして受け入れてくれる事で何かの執着を捨てることが出来ました。

あなたという家があるからこそ、この世界に居場所があります。
あなたの温もりがあるからこそ、私は今日も安心して寝られます。
あなたの家に帰ればすぐにあなたの猫になる。

猫は気まぐれだとか、家に居着くだとか、そんな言われ方していますが、
あなたの傍(かたわら)でずっとそこに居ます。
名前を呼ばれたらしっぽで返事しますし、
猫は意外と、義理堅いのです。

だから、私はあなたの猫でいさせてください。
終生ずっとそばに。ずっとあなたのパートナーとして、生きていきます。

(【完】)

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