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#創作大賞2023
小説(SS) 「楽園」@毎週ショートショートnote #ほんの一部スイカ
お題// ほんの一部スイカ
もしかすると、あの池に落ちてたスイカを食ったせいかもしれない。でも、美味かったんだ。食欲を抑えきれなかったんだ。きっとヤバいものが入っていたんだろう。そうでなければ、こんなことが起こるはずがない。
お尻の一部が、スイカになっていた。
あるいは単純に、これまでに多くの盗みを働いてきた天罰なのかもしれない。しかしだとするならば中途半端すぎる仕打ちではないか。全
小説(SS) 「蕎麦の出前」@毎週ショートショートnote #スナイパーの意外な使い方
お題// スナイパーの意外な使い方
なんてことだい。うちのじいさまときたら、もう二十分も前に注文のあった出前の蕎麦を茹で忘れていたらしい。いまようやく鍋の湯が沸騰したところだけど、こりゃ大惨事だよ。お客様が離れちまう。こんなときに限って、あのバカ息子は早めに上がってパチンコに行ってやがる。電話をしたところで、ぎゃーのぎゃーの言われるか、気づかないかのオチだよ。まったくどうするんだい、出前
小説(SS) 「Who is this battle for?」@毎週ショートショートnote #生き写しバトル
お題// 生き写しバトル
目の前のバターナイフはなんのためにあるか。
そう考えたとき、漠然と感じていた相手への殺意を後押しされたような気がした。自分よりきれいな女はこの世に必要ない。
わたしは、故マリー・アントワネットの生き写しと言われてきた。この美貌は、わたしだけのもの。同じような人間は二人もいらない。気づけばそれを手に取っていた。
目の前の女が、バターナイフを持って襲いかかって
小説(SS) 「メガネの行方」@毎週ショートショートnote #メガネ朝帰り
お題// メガネ朝帰り
大切なメガネだった。
ばあちゃんが誕生日にプレゼントで買ってくれたやつだったから、いつも大事に扱っていた。
けれど現実は、残酷で非情だ。
身体中がちくちくする感覚で目を覚ましたとき、おれは路上の植え込みでイチョウの木を抱きかかえながら頬擦りをしていた。朝になっていた。
二十歳になって、初めて参加する飲み会だった。数種類のカクテルを飲んだあたりから、なにも覚え
小説(SS) 「火星の別件逮捕」@毎週ショートショートnote #火星の別件逮捕
お題// 火星の別件逮捕
スコップがなにか硬いものに当たり、デマルクはその周辺からていねいに土を掘り起こした。
出てきたのは、鈍い金色をした小型の金属だった。その形はどこか飛行機のように見え、ロケットのようでもあった。
「これはまさか、オーパーツか?」
デマルクは、火星の開拓用プラントで掘削作業員として働いていた。いわゆる出稼ぎ労働である。プラント内は酸素で満たされているとはいえ、
小説(SS) 「みんなの手紙」@毎週ショートショートnote #伝書鳩パーティー
お題// 伝書鳩パーティー
人間から手紙を託された伝書鳩たちは、旅の途中なにをしているのでしょうか。まったく休まずに、目的地に向かっている? 夜くらいは寝ている?
いえいえ、とんでもございません。
呑んだくれているのです。
ここは、多くの伝書鳩たちが集まる道の駅。
今日はその様子を覗いてみましょう。
「やっべえ! 手紙なくしちまったよ!」
「わたしもよ! 大統領から同盟国に送る