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[日本語訳] "faith in love" (ELLE Korea 誌面インタビュー | 2024.5月号) + 卜孝根(복효근) 『木蓮後記』

ヒョンジンが決して忘れないこと、
表現したいことに内在する信頼、共にする人々への友情と愛。

エディター:LEE HA YAN, LEE MA ROO


ー 長時間に渡る撮影だったにも関わらず、1カット、1カット、集中力が途切れませんね。驚きました。
 今、ファンミーティングをしている真っ只中なんです。ファンであるSTAYのためのステージなので、準備している間も、終始気分が良かったんですけど、その気運を今日の撮影にも繋げてきた感じです。一人じゃなくて、STAYが一緒にいてくれるような感じというか。

ー とてつもない愛ですね(笑)。先日の3月20日、24回目の誕生日には全世界からのお祝いで溢れていましたよね。こんなに沢山愛される気分は?
 身に余ります。自分自身は長い間関係がある少数の人にだけ、深まった心情を表現するタイプの人間なので、誕生日が近づいてくるとあれこれ考えてしまい緊張したりもします。だけど、ファンたちからのお祝いは100%の純粋な真心じゃないですか。だからなのか、ファンたちから祝われる時が一番幸せで、心地よいです。

ー 3年半前の<ELLE>との撮影時は'Back Door'が<TIME>誌が選ぶ、2020年の今年の曲にK-POPでは唯一選定され、世間を驚かせていた時期でした。数多くの記録を立てた今、そのことはもう微かな記憶になりましたかね
 そんなことありません。前回のミニアルバムが初めてビルボード 'Hot 100'のチャートにランクインしたり、嬉しい出来事が沢山できましたが、ステージに立った時を除くと、なかなか実感が湧かないんですよ。どんな成果を成し遂げたとしても、そこで満足する性格でもなくて。僕達が立っている位置で認められたと感じられる時が、一番幸せなように思います。その時はその時期にできることを成し遂げたのであり、今はまた、今だからこそ達成できることがありますよね。

ー 昨年、MTV Video Music Awardsで、ベスト K-POP賞を受賞したことのように、ということですよね
 普段から好きで、尊敬してきた海外のポップスターの方々と同じ舞台に立つということが未だに夢のようです。なので、より一層雰囲気やステージを楽しむために努力します。

ー 今年初めにパリで開かれたチャリティーコンサートでのビハインド動画を見ると、好きなアーティストにサインをお願いするのをかなり躊躇っている様子でしたが
 すごく緊張したんですよ(笑)!ぐずぐずしていたら、ヨンボク(フィリックス)が僕を直接連れて行ってくれて、サインを貰ってくれました。

ー 最新のアルバムである<樂-STAR>の収録曲「BLIND SPOT」の歌詞の中で "They only look at the results and success (人々は結果と成功だけを見る)"というのは、ストレイキッズの話のようだと思えました。2018年のデビュー以来、様々なことを経験しながら、歩んできて今の位置まで来てますからね
 本当に少しずつ登ってきました。チームに対するメンバーたちの愛情が一際大きいのも、孤軍奮闘しながら一段ずつ登ってきた過程を全てリアルに覚えているからだと思います。今、振り返ってみると跳躍するための準備期間のように感じられるような時間たちですね。

ー 過程も大切ですが、ある程度の成果が出てこそ、チームの将来を穏やかな心で描けるようになるじゃないですか。デビュー7年目のストレイキッズにとって、そのようなタイミングとは
 今もまだ、その過程にいると思います。僕達が努力してきたことに満足したいとも思わなくて、より多くのことをやり遂げたいですね。依然として、見えない努力の過程が大切で、結果はついてくるものだと信じています。

ー 全然満足したり、安心したりしてないんですね(笑)
 僕だけじゃなく、メンバーみんながそうだと思います。K-POPシーンは本当に幅広いじゃないですか。新しくデビューするチームも多いので、取り残されたくない気持ち、今の位置で堂々としていたい気持ちになるしかないですね。ファンたちの愛のおかげで、ここまで来たのに、僕達のレベルがそこに満たないというなら、それ以上に恥ずかしいことはないですからね。

ー 今年のゴールデンディスクアワードで「Hall of Fame」のステージを披露することになったのを喜びながら練習する姿が不思議に思えました。数万席のスタジアムを埋めてフェスティバルのヘッドライナーとして舞台に立ちながらも、そんな風にできるというのが
 今もなお、新人みたいな意気込み、野望が映し出されたらと思います。僕も新人の頃、依然として情熱溢れる先輩アーティストのステージを見ながら、「これが本当のかっこよさなんだな、僕もこうならなきゃ」と思ったんです。色々こなしながら、余裕も多少出てきたけど、情熱ばかりは失いたくないです。

ー 18歳でデビューしたのちにも、ダンスをもっと学びたいとソウル公演芸術高校の実用舞踊科に進学し、現在も練習意欲が高いことで有名ですよね。そんなヒョンジンが振り返ってみても、本当に一生懸命やったと褒めたい期間とは
 2021年の秋、STUDIO CHOOMの'Artist of the Month'でダンス動画を準備していた時期です。出演のオファーをいただいて、悩んでいた瞬間から、練習、撮影までの全ての過程が大変でしたが、僕をもう一度成長させてくれる時間だったんです。特に、他の出演者たちも僕とデビューした時期が似ていたので、ストレイキッズを代表して僕が出演するというプレッシャーが一層大きかったです。

ー それでも、やり遂げた理由は?
 勝負欲です。自分に対する勝負欲。自分が考える姿に実際の自分が及ばなかった時は苦しいに決まってるじゃないですか。それに打ち勝ってみたかったんです。恐れるがばかりに、諦めてしまうことなく。あとは、ここ数ヶ月も本当に頑張って生きてます!変化したダンスのトレンドに合わせて、ダンスレッスンに勤しんでいるところです。

ー 観客が入場する前のがらんとした会場を見ると、どんな気分になりますか?インスタグラムに載せていたステージの花道を走っていく動画には「幸福」というコメントが付いていましたが
 正直、「わあ、こんなに大きい会場で失敗したらどうしよう?」ということを結構考えてしまいます。期待に応えなければならないというプレッシャーもありますし。それでも、リハーサルで曲が響き渡り始めると、胸がいっぱいになります。実は、全ての過程が幸せなんです。こうして大きなステージに立てるということ、僕達を見てくれる人たちが、こんなにも多いということ、全て。

ー 舞台上でのパフォーマンスに対する期待が高いメンバーとして負担はないですか
 僕は、「パンッ」とインパクトを与える役割なんです。ダンスはリノさん、ボーカルはスンミン、全体的なプロデューシングはバンチャンさんが重心を取ってくれています。なので、僕のパートについてを悩み、また楽しむだけなので、負担はないです。

ー ストレイキッズはアルバムとレコーディングに対するメンバーの関与が高い自主制作グループですよね。ヒョンジンの自作曲である「Cover Me」のレコーディングのディレクティングを直接行う姿は新鮮でした
 ディレクティングをするのは初めてではなかったのですが、メンバーたちが真剣に臨んでくれて楽しかったです。残念ながら、ファッションウィークへ出席していたり、色々なスケジュールがあって最後までは参加できなかったんですけどね。

ー 3月には'SKZ-Record'を通して「Hey you」と「Long for you」の二曲を続けて公開したりもしましたね。二曲とも映画<Closer>(2004)からインスピレーションを受けたそうですが
 <Closer>は愛の裏側を上手く表した映画じゃないですか。映画の中のストーリーが僕の中に自然と溶け込んだのか、書きたい曲を想像した時にこの映画が浮かんだんです。僕が考えていること、伝えたいことを歌で表出するというところに大きく意味づけをしています。

ー メンバーのチャンビンさんがヒョンジンの長所を「フィードバックを恐れずに求めてくること」だと話していました。そうして貰ったフィードバックはどのように受け止めていますか
 僕は全て受け入れます!相手が僕のために話してくれたことだと思って、謙虚に受け止めます。僕が持っているものが、僕だけの色になり得るとも思うけど、それが強すぎると枠に捉われる気がするんです。音楽であれ、ダンスであれ、まだ何事にも心を開いて学びたいので、より積極的に受け止めようとしています。プライドが高かったとしたら、最初からフィードバックを欲しがりもしないはずです。

ー その中でも力となったフィードバックがあるとすれば
 メンバーたちは僕のプライドを保たせてくれる存在たちなんです。時には自信のない僕をもどかしいと言ったりもするんですけどね、上手だと褒められても響かない瞬間もあったりしますね。

ー そうなんですか?なぜでしょう
 良い反応を貰えたと意気揚々として、僕自身に心酔していた時期があったんです。ですが、今その当時を振り返ると、本当に実力不足だったんですよ(笑)!やみくもに「上手い」というより、少し棘があったとしても足りないところまで話してくれるのが本当の賞賛だと思います。欠点が見えていても、良いところを探してくれることこそ、愛情ですからね。

ー 健全な批判は関係に対する信頼があるからこそできることではありますよね
 僕がフィードバックを求められる立場である時も同じです。 より向上したいがために、僕に聞いてくれるはずだから、正直に言わないとその人はずっと同じ位置から進展しないじゃないですか。

ー ツアーの時にも様々な種類の筆をケースに入れて持ち歩くほど、絵の作業に本気ですよね。どんなことを描いたらいいか、その対象を探すのは難しくないですか
 難しいですよ。最近は何を描こうかをずっと悩んでいたりしますね。一人でいる時には落書きをするのが日常になったけど、それでも僕という人を思い浮かべた時に連想される絵が一つでもあれば良いなと思うんです。とりあえず、最近は木蓮をずっと描いてはいます。

ー お、意外なテーマですね
 偶然、卜孝根(ボク・ヒョグン)さんの『木蓮後期』という詩を読んだんですけど、木蓮が咲き、散りゆくのも、僕達が生きていく世界も、そんなに変わらないようなんです。木蓮は桜のように人々から愛されることもなく、咲いている間は美しいけれど、茶色く変わり枯れ落ちた姿はあまり美しいとは言えないじゃないですか。それを憐れまないようにしようというのが、この詩の主題なんですけど、以来、木蓮を探求しています。
(※この記事の最後で『木蓮後記』を日本語に訳しています。参考にどうぞ! by.manna)

ー そんな「ふわふわ」した感受性とは、どのように向き合っていますか。アーティストとしては長所ですが、無難な方が時には楽だったりもしますから
 創作というには大袈裟ですけど、今みたいに踊って、曲も作って、絵も描いて、写真も撮るという、この全ての活動を少しやりたくなかったりもします。想像するのもやめて。ですが、それを思ったようにやめられない自分が少し疲れると思ったりもしますよ。だけど、結局この全ての過程を経て、結果を作り上げた時、そしてそれを世間に放つ時が一番楽しいです。

ー 依然として、一番楽しいんですね(笑)
 何はともあれ、やり遂げたから。そしてまた、それを一緒に聴いて、見て、共感してくれる人たちがいるじゃないですか。そこから幸せを感じます。

ー 今日一日、ヒョンジンの指に嵌められていたカルティエのトリニティーリングは愛、信頼、友情の三位一体を意味しています。この中で、今ヒョンジンにとって最も胸に響く価値とは
 友情!いつからか、どんな感情よりも友情が一番「濃い」ように思います。友情をよく磨いて、僕の人生において、それが丈夫な支えになってくれたなら、怖いものなんてなさそうです。どんなものであっても。




『木蓮後記』 卜孝根

木蓮の花が散る姿を汚いと言うな
純白の雪も溶けたらぬかるむものを
散りゆく姿まで美しさを求めるのか、

貴方へと向かう愛の終わりが
咲き誇る花のように美しいことを願うのか、
散る椿のように

一瞬で散ってしまう殉教を求めるのか、

さあ、振り返ってみろ!
なかったならば一層良かった記憶のふけが
燃え残った手紙のように飛ばされるというから
狂った愛の証拠がそこに残っているというから

怖いのか、

愛したから

愛してしまったから
貴方に向かって抱いた噴水のような情熱が

かさぶたのようにもつれあって
傷として記憶される、そんな愛であっても

治らなくてもいい
このまま十日間だけでも、もっと苦しんでいたい。



  • 번역자 후기 / 訳者後記

< 한국어 >
최근 중간시험을 때문에 공부를 하고 있다
그러다가 자꾸 니체의 사상이 접하게 되었다
니체가 남긴 말 중 너무나도 마음에 꽂힌 말을 만났다
"인간이 사랑스러울 수 있는 것은, 인간이 하나의 과정이며 몰락이라는 데 있다." (『차라투스트라는 이렇게 말했다』중)

현진이의 인터뷰 또 복효근 시인의 『목련 후기』를 번역하면서 이 말도 함께 생각이 나더라
결과, 그 뒤쪽에 절대적으로 존재하는 '과정'을 여전히 소중히 하는 현진
근데 사실 인생에는 피할 수 없이 정체나 내리막이 있잖아
우리는 무언가를 해내려 달려가면서도 꼭 만날지도 모르는 몰락과 같은 그런 공허함 그사이에 있는..난 일견 그런 것들이 너무나도 잔인하다고 느꼈었는데 니체의 말이나 "목련 후기"를 읽어보니
뭔가 그렇게 비관적이지 않게 되더라
몰락을 인간이 사랑스럽게 만드는 요소로 여긴다니, 참신하며 이해되고
목련이 지는 순간까지 아름다움을 원하지 말라며 사랑했던 만큼 추하게 괴로워하는 것이라니, 아아 공감이 간다.

좋지만은 않은 부분과도 열심히 맞대고 극복하고 왔으니, 지금의 그 유일한 너밖에 없는 분위기를 품기는 현진이가 된 거겠지?
자신이 부족했던 순간도 심취되어 있던 순간도, 늘 다 내놓고 우리에게 알려주는 네가 좋아
너무나도 매끄럽고 정돈된 붓 자국만 남아있는 그림은, 실은 유심히 보다 보면 재미가 없거든
몇 번이나 칠하고 지우고 물감을 쌓여보기도 한 흔적이 남아있는 화면에 나는 더 끌려, 마치 현진이 같은


< 日本語 >
ここ最近はずっと中間試験のために勉強し続けていた
そんな中、何度か登場したニーチェの思想に触れた
ニーチェのある言葉が、私の心を掴んだ
「人間が愛らしくなれるのは、人間が一つの過程であり没落であるというところにある」(『ツァラトゥストラかく語りき』より)

ヒョンジンのインタビューや卜孝根の『木蓮後記』を訳しながら
このニーチェの言葉を思い出した
結果、その裏側に絶対的に存在する '過程'を常に重んじるヒョンジン
だけど、実は人生には避けられない停滞や下り坂だって存在するよね
私たちは何かを成し遂げようと走り続けながらも、きっと出会ってしまう没落のような空虚さ、その間にいるというか…
私は一見そういうものを凄く残忍だと感じていたんだけど、ニーチェの言葉や『木蓮後記』に触れてみて
なんか、そこまで悲観的には思わなくなったかも
没落を人間が愛らしくなるための要素として捉えるなんて、斬新でなんか理解できるし
木蓮が散る瞬間までも美しさを求めるなと、愛した程に醜く苦しむものなんだなんて、ああ、なんかわかる気がする

良いとは言えない側面とも一生懸命向き合って、乗り越えてきたからこそ、今の唯一君にしかないオーラを纏う、そんなヒョンジンになれたんだよね?
自分の不完全だった瞬間も、心酔してしまっていた瞬間も、いつも包み隠さず私たちに教えてくれるところが好きだ
あまりにも滑らかで整った筆跡だけが残っている絵画は、実は注視してみると意外に面白くなかったりする
何度も塗り、消して、絵の具を積み重ねてみたりもして、そんな痕跡が残っている画面に私は一層惹かれる、まるでヒョンジンみたいな



日本語訳:manna
原文:
- ELLE Korea No.379 2024年5月号 誌面掲載
- 복효근 시인 『목련후기』(https://www.idaegu.com/news/articleView.html?idxno=255037)

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