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『パリピ孔明』1巻を読んでみました

この漫画を読んだら、いつのまにか世界史(中国史)、漢文の勉強になっていました。

今回紹介するのは、転生ものの作品でアニメ化もされた『パリピ孔明』です。三国志×クラブミュージックという異色の組み合わせが話題となった本作、どちらのジャンルにも疎い自分がついていけるかな、、と不安に読み進めましたが前知識いらずで、中国の三国時代をいつのまにか勉強できている作品となっておりました。

漫画の主役は、三国志に出てくる名軍司「諸葛亮孔明」。五丈原の戦いで死期を迎えた彼は、なぜか現代日本に転生して渋谷の街に降り立ちます。そこで保護してくれたクラブシンガーの英子と彼女の歌声に出会い、孔明の二度目の人生が幕を開けます。孔明の新たな目的は、英子の軍師となり、彼女を天下一のシンガーにすることでした。

1巻では、こんな勉強ができました。(以下、内容のネタバレを含みます)

①三国志

本作の主役である諸葛亮孔明は、三国志に出てくる人物の中でも切れ者として人気ということは知っています。ただし、三国志がどういう話で、諸葛亮孔明が何をしたかまでは私はよく分かっていません。『パリピ孔明』という作品をきっかけに少し調べてみました。

三国志は、三国という名の通り「魏・呉・蜀」の三つの国が支配権を奪い合った時代(西暦180年ごろ~280年ごろ)を描いた歴史書です。中国の歴史の中の、漢と晋の間の時代です。世界史を履修していた方はおそらく勉強した記憶があるのではないでしょうか。
漢時代の末期、悪徳な役人によって漢王朝は腐敗していました。そんな時代の中、張角という人物が漢王朝を倒すために黄巾の乱を起こします。これをきっかけに王朝の力は弱まっていく中、各地に英雄が現れ三つの国が建国されます。曹操率いる「魏」、孫権率いる「呉」、劉備率いる「蜀」です。
諸葛亮孔明は「蜀」の軍師として活躍した人物で、赤壁の戦いなどで策によって蜀軍に勝利をもたらすエピソードが有名です。

②赤壁の戦い

現代の日本に転生した孔明ですが、生活するにもお金がありません。そこで英子のつてでクラブのバーテンダーのバイトに応募します。オーナーとの初面接を控えていながら余裕の態度を見せており、英子が心配すると「赤壁の戦い」の時に比べれば大したことないと緊張しない理由を伝えるのでした。

赤壁の戦いは、漢時代の末期(西暦208年)に長江の赤壁において起こった曹操軍と孫権・劉備連合軍の間の戦いです。諸葛亮孔明による、3日で10万本の矢を集めたという逸話や、祈祷により風を起こしたという逸話が残る戦いで、それにより兵の人数に数万も差があったにもかかわらず、孫権・劉備連合国軍が曹操軍を撃破。孔明を名軍司と呼ばせる象徴的な戦です。

③三顧の礼

もう歌手でやっていくことを諦めようと思っている、そんな思いを孔明に語る英子。そんな彼女の歌に救われた孔明は、「私があなたの軍師になります」と伝えます。孔明は英子の歌を計3回聞き、そのたび心を震わせました。
志ある人物のこれに応えぬは不義理と、三顧の礼を引き合いに出して、英子の歌手になるという夢の道のりを死力を尽くして助けていくことを誓うのでした。

三顧の礼は、劉備が諸葛亮孔明を軍師に招いた際話が元になった故事成語の一つ。礼儀を尽くして優れた人材をまねくことという意味で使われます。
「劉備」は20歳近く年が下で、かつ、その時は無名であった「諸葛亮」に対し、呼び寄せるのではなく会いに行きました。
しかし、一度目は不在、二度目も不在。
またいつ帰ってくるかは不明なため、次の日程の予定を立てることすらできないと留守を頼まれていた人物にいわれたのでした。
そのような中でも三度目の訪問をおこなった際は「諸葛亮」が昼寝中であり、周りの者が起こそうとしたのですが、劉備は諸葛亮が目覚めるまで待っていたそうです。
諸葛亮は、無名の私にそこまでの行動をおこなってくれた劉備に感動し、生涯仕えることを決意したのでした。
三顧の礼は、漢文の問題文としても出題された記憶があり、内容を知っていると知らないでは大違いと思います。

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