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十日目 令和元年五月八日 十三時半頃

 東海道中有松日本橋 満願大成就膝栗毛。十日目 令和元年五月八日 十三時半頃。相模國 箱根宿。箱根八里。

【上段左】八つ手観音。手が八本ある。馬頭観音。

【上段中、右】現代の箱根峠。道路は国道一号線。旧街道はこの道を横切っている。気温は13℃。

【中段左、中】脚気(かっけ)地蔵。親不知地蔵とも。その石碑。昔、大阪の呉服問屋が、行方知れずになった自分の放蕩息子に家財を譲りたいと念願していた。その年老いた商人は息子を探しに旅に出た。箱根峠にさしかかったところ、持病の脚気が出て倒れてしまった。そこに通りがかった若い駕籠かきは介抱の振りをして、短刀で殺して財布を奪った。奪った財布に何か見覚えがある。殺した者の顔をよくよく見ると自分の父親ではないか。己の愚かさを嘆き悲しみ短刀を喉に刺し自害を試みたが死にきれず、苦しみながら山中をさまよい、やがて相果てたと伝わる

【中段右、下段】ここから江戸へ向かう下り坂。挟石坂(はさみいしさか)。石畳になっている。急な下り坂は細心の注意を払わなければならない。ここで足をくじいたら、今までの道程が水疱と帰す。江戸は目の前なのだ。歩く速度はかなり遅くなった。

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