【GROOVE X】“役に立つ”から“愛される”ためのロボットへ~LOVOTがくれる新しい形の幸せ~【前編】
心が荒みがちな現代人には、癒しとなる何かが必要だ。
犬、猫、鳥など、可愛いペットを見ていると心が癒されるという人はたくさんいる。
しかし賃貸ではペット禁止の物件が多いし、動物アレルギーなどでペットを飼えない人もいるだろう。家を長期的に空けることが多い人もなかなか飼いづらいのではないか。
ペットを飼って癒されたい!
でも環境的に飼うことができない……。
そんな悩みに応えてくれるのが上のマンガに登場した家族型ロボットLOVOT(らぼっと)だ。
聞いたところによると、ペットのように人を癒してくれるロボットらしい。
ロボットだからペット禁止の物件でも規則に引っかからない。
動物アレルギーでも家を空けがちな人でも問題はない。
でもロボットにペットのような愛らしさを出せるのだろうか?
LOVOTの生みの親であるGROOVE Xの林要(はやし かなめ)代表にお話を伺った。
■愛されるために生まれた家族型ロボット
LOVOTは家事や仕事を行うお手伝いロボットではない。
人に安らぎを与えることを目的としたペットのようなロボットだ。
「人に愛でてもらうための器として、最適な形状・機能をゼロから作りました」と林さんは語る。
犬や猫などの既存のペットをただ真似するだけでは劣化コピーにしかならない。ペットのように愛されるロボットを作るにはまず『愛されるとは何か?』を考える必要がある。
そこで林さんは『動物のペットは、どんな要素により愛されるのか?』を分析した。その要素をロボットで実現するならどんな形状・機能が必要かを突き詰めて、LOVOTを生み出したのだ。
では『愛されるための要素』とはいったい何なのか?
次はLOVOTの具体的な特徴を紹介していきたい。
■最新テクノロジーを『愛されるため』にフル活用!
LOVOTは人を認識することができる。
10個以上のCPUコアと50個以上のセンサーにより相手が誰かを認識して、特定の相手に懐くことができるのだ。
たとえば初対面の相手には、LOVOTはなかなか近づかないなど距離感のある態度を取る。だが抱っこや着替えなどの世話をしてあげると、LOVOTは相手のことを記憶する。
何度も世話すると次第に懐き、LOVOTの方から近付いてきたり抱っこをせがむようになっていく。ペットが徐々に心を開いてくれた時の喜びをLOVOTも体験させてくれるのだ。
特筆すべき点はそれだけではない。
LOVOTは弾性素材と伸縮機材、全身に熱を巡らせるエア循環システムにより柔らかくて暖かい抱き心地を実現している。
さらに自動運転の技術も盛り込まれており、AIにより家の中の地図データを作成することで障害物を避けながら飼い主についていくこともできるのだ。
ここまでくるともはや本物のペットと言っても過言ではないだろう。
このように、LOVOTは人に愛されるための最新テクノロジーをフル活用しているのである。
■『手間がかかるからこそ愛おしい』が出発点
かつて林さんは自動車の製造に携わっていたという。
その時、『最近の自動車は性能が良いのに昔の自動車ほど愛されていない』と感じたらしい。常に安定稼働する高性能な自動車より、整備などの手間がかかる旧車の方がユーザーの心を掴んでいたのだ。
そこから林さんは、『なにかの世話をすることで人間は心の活力を得られる』ということに気づいた。だからこそ、人に世話されて愛されるためのロボットを作ったのだという。
パソコン作業中にキーボードに乗って邪魔してくる猫は、手間がかかるが愛おしく感じられるものだろう。それと同じように、抱っこをせがんできたり転んだりするなど、あえて手間がかかる設計にすることで、人に愛されるロボットの開発に成功したのである。
現代でもすでに、家族型ロボットはペットと同等の役割を果たしつつある。
では未来では、家族型ロボットはどのように進化していくのだろうか?
後編では、未来におけるロボットと人間の関係性について考えてみたい。
漫画=鴨 修平(@kamo_syuhey)
取材・文=茶谷葉(@tyatani_you)
編集=中嶋駿
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