車椅子で役者をやるもの。(seen13 緊張と緩和)
勢いというものは凄いもの。
先日のインプロ(即興劇)のワークショップを受けてから翌月には新たな団体のワークがあると連絡を受け前回と同様、車椅子でも参加可能か確認をして頂き、問題ないとの連絡を受け参加する事になった。今回のワークショップは「初心者コース」と「経験者コース」の2コース。
ここでふと考える。
前回のワークで「車椅子でもやれるんじゃね?」と思ったのは確かだ。だが、芝居の経験と言われると15歳〜22歳まで。指導は28歳の時に少しの期間。ラジオはこの時点で約1年。車椅子でやったのは先月のワークでやったのみ。俺は経験者なんだろうか?ブランクもあり過ぎるしましてや車椅子で「はい。経験者です」と経験者コースに参加する人達の前で言える程の厚かましさは持てなかった。申し込み時、声をかけて頂いたはせなかさんから「経験者コース受けないの?受けようよ」と言われたが、「とりあえず初心者コースしてみてからで考えていいですか?」と答えた。
正直言うと厚かましい気持ちというより無様に恥をかくのが嫌だったのだ。
そしてワークが始まった。前回と同様の内容。前回より気持ち的に余裕が出来ていた。なんだな物足りない。前回より初心者の方が多いようだ。なんだか物足りない。そして初心者コースが終わった。
そして帰る準備をし始めた。声が掛かった。
「残りますよね?」
この掛け声を待っていた。恥ずかしい話しだが自分から「経験者コースもやります」とは言えなかった。やりたい気持ちと自信があるとは違う。やりたい気持ちは形に見えるくらいあったが自信はなかったのだ。だからその言葉が嬉しかった。声をかけてくれた方に深い意味はなかったのかもしれないが自信がないくせに残ってやりたかった自分には「経験者」と認められたんだとそれと同意に聞こえ嬉しかった。
「やっていいんだ」
「経験者コース」はほぼ即興でストーリーをつくるものだった。芝居だ。芝居だった。即興劇劇団主催のワークだったので、俺も観た舞台のあるシーンを即興でやらされた。そして観客側。またやる。
「緊張と緩和」
これだ。この感触。この空気感。
ワークであったがシーンであったが確かに芝居をやっている。
めちゃくちゃ楽しかった。観てる人が笑ってる。一緒に芝居してる人が笑っている。自分も笑っていた。
「おかえりなさい、俺」
車椅子の役者、演出家として活動していく事で観る側だけでなく演る側のバリアも崩していきたい。活動にご支援の程宜しくお願い致します‼️