車椅子で役者をやるもの。(seen12 不安と緊張)
事業所運営もいよいよ忙しくなってきたりラジオの収録放送も絶好調な時期。ラジオは俺に沢山の友人や縁を与えてくれた。しかし一番の収穫は「自分で放送内容を決め発信する」事が出来た事。これは演劇演出舞台構成に似ていた。「何をしよう。どうすればリスナーに楽しんでもらえるか?どんなコーナーを組み込もうか」など無限大な楽しさ。本番をやってまた次の企画を考える。まさに30分間の舞台。ゲストは共演者。自分を出してるようで実は演じてる。自己アピールの仕方の訓練にもなった。このラジオ収録放送はこの時点での先に繋がるステップとしては上出来であった。
「絶対に舞台復帰する」の言葉はしっかり口にした。
そんなある日、またはせなかさんから連絡を頂いた。インプロ(即興劇)のワークショップがあるが参加しないかとのお誘いであった。俺は主宰者が車椅子でも問題ないと判断されるのであれば是非にと答えた。
「問題ありません」
こちらが断る理由なんてない。やっときた。ワークショップではあるが芝居が出来る。この瞬間はただただ興奮した。車椅子になってから初めての演劇。
しかし、そのワークショップの日が近づいてくるにつれて少しづつ不安が出てきた。
「どんな人が来るんだろ」「車椅子?やれるの?」「周りはどんな風に俺の事を見るんだろう」
やりたい気持ちは凄くある。だけど実際、その日が近づいてくるに連れて不安な気持ちが大きくなってきていた。「やりたい」と決めてる気持ちとリアルにその時が迫ってきて出てきた「周りはどう俺を見るんだろう」と不安な気持ちのアンバランス。
そんなアンバランスな感情を繰り返しながらそのワークショップの日が来た。
俺はよく外交的に見られるが本当は人一倍人見知りだし緊張するタイプ。知らない人ばかりのところだと以上に無口になる。挙句見た目が厳つい方なので、余計に1人になりやすい。そして挨拶以外特に誰と話す事もなくワークがスタートした。
自己紹介から始まりいよいよ2人1組になり実践。マイムからテーマを決めてのショートストーリー。兎に角、周りに引けを取りたくなく必死にお題をやった。多分、劇団でやってた数倍のパワーを使った。車椅子だからと相手に感じさせてなるものかと必死にやった。幾度のエチュードを繰り返す中、気がつけば「こうやってみよう」「これしたら面白いかな」と芝居を楽しんでいた。
やれるんじゃね、俺。
最初に思っていた不安が吹き飛んでた。
車椅子の役者、演出家として活動していく事で観る側だけでなく演る側のバリアも崩していきたい。活動にご支援の程宜しくお願い致します‼️