月の住処
アノマメは自信を持っていた。
考えてみたら全部「自分のこと」に、自分のことになっていた。今までのことが全部「自分のつくったこと」になっていた。ちょっと怖いくらい。他の関わる人(先に向かうアノマメと同行する者)からすると、アノマメの確信に近い決断と行動は未知のことだけど、ある種の確信をもって、すすめていく。こうなるはず。
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「…泣き出すと、うち、止まんなくなるから」
「手、痛なるから」
マンションの出入り口のガラス張りをバンバン(平手で一発一発)叩き始めるので、間に入り、自分を叩かせる(胸辺り)と、少し叩いてから抱きついてくるので、そのままこちらも手をまわす。うん、うん…
みーちゃん、少し太ったかな。全体的にマルッとして(身長もちょっと低くなったように感じる)、日本人形みたい。前髪を眉の上何センチかでパツンと揃えて、白のノースリーブのワンピース、腰のところを細いベルトでしぼった、わりとフォーマルな格好。
俺がこのマンションの上階の女性に、会って気持ちを伝えようかというところ、みーちゃんが出てきたのかな。マンションの内側から、出入り口、階段登ったところで会って、「いってきたらぁ?」って、京都弁の「あ」の母音の間のびする、みーちゃんらしい感じ。
(気持ち、ため込んでるよりその方がええよ?いいんじゃない?)
うん、みんな、疲れてるんだよな。気持ち押し付けにいったってと思ってると、みーちゃんがそうなって、抱きしめる資格なんてないけど、だからギュッとはしないけど、手を後ろに添えるように包んで(ノースリーブの二の腕に触れるくらい、肩の後ろ)。
さっきドラマの撮影であったけど、みーちゃん紫のコスチューム着て、みんな戦隊ものの、ノースリーブに肘隠れるくらいの手袋したような格好で、6人6色くらいの、みーちゃんドラマでちゃんと役者としてメインどころ張れるようになって、えらいな。
みーちゃんは話しかけてきてくれたのかな。とにかくそこで二、三会話してくれて、そうやって仕事増えても変わらず接してくれて、いい子だな。何にもないけど……でも、みーちゃんだって大変なんだ、俺はどうしたらいいんだろう。
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…我ら全員掃除員
そーうそーうそうじいん
梯子が高く高く伸びて
(辺りの建物よりもずっと高く、街並みから抜けてる)
拍子猛る
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…ありがとう、YASHA。朝、人間やめて、びっくりするくらいすっきりしたよ。自由になれた。
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ケルベロスに「そんなに力があるように見えんがな、おまえはどうなんだ?」と言われ……
このゲーム、攻略本見ると、『ケルベロス』人型化して身体が屈強の、苔の生えたような肩から腕にかけての模様、青味がかった……
この眼鏡かけた前髪ワサワサむいてる前方流れのおっさんの顔は何だろうと思ったら、こいつがラスボスというか元凶の科学者か何かなんだな。
……地中からボコボコ、ドロッとした液体が湧いて(チョコレートブラウンくらいの色)、敵に変わる(顔で出てきて別の敵にか)。こいつの次がラスト手前のボスで、長い髪がチェーンになった振り向き片目の凶々しい悪魔巨人で、子供のころはこのゲーム、攻略本なしでクリアしたんだっけ。かなり難しいのに……深く暗い石造りのラストダンジョン回廊横スクロール(左から右)……
悪魔でも人間でもどっちでもいいよ。外せるんなら外したい(枷になってる柄ならさ)。縛られるのはうんざりだ。
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……麻奈さんから透明ビニールの封書が届く(横長の、真ん中に宛名シール、中にチラシかな)。ライブ?イベントがあって、それに出るのかな?あれ?麻奈って住所、電話番号書いてあったっけ?(いいの?俺に知られて)0044‐?…
04っていうのは、市外局番?でいいのかな?
「あ、はい…」
男性の40代から50代くらいの方が電話に出て、
「用件は?」
「あ、あの、イベントのチケットを…」
2回、昼夜であるのかな。どっちにしよう、早い方?両方?どっちにしても当日そこに行けば、麻奈さんに会えるのか。待ち伏せとか嫌だけど、ていうか送られてきてるんだもんな。ライブイベントに参加するんだろうか。ソロ、歌でか、バンドとかかな。でも何でこんなの送ってきたのか…あ、原稿送ったからか、俺の書いた原稿読んでくれて、そのお返し?麻奈さんの電話番号書いてあったらしちゃっていいのかな、住所まであったら…何か思ってくれたんだろうか、俺の原稿読んで…
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……おじさんなのであった(しかし女の子が描いたのではなく)
遊吉さんの漫画。少女が描いたような夜空を自室窓から見上げて(2階木造アパート)の歌、
しかしそれは……
……って。で、それ言ってる自画?顔は一つ目だったりして、いい感覚してるなやっぱり。これ余白に描いとこう……このページ欄外狭いな。あ、自画以外のキャラも一つ目、別にいたりして……
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……直接電話かけて「会えますか」って言ったら、「はい」って言ってくれるんだろうか、麻奈さん。
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目が通路になって……あっちに送られる?
(斜めの管の芯棒の、透明の面のテーブルの上に目が付いている)
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『破滅のセックス』ってタイトルでバンドメンバーがバタッと倒れたり、おばあさんが色々やってくれるけどもう駄目だとか、しんどくなるのは当たり前だよな。精力だってエネルギーだし、無限じゃない。
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