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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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(19) 通勤時間が爆長くなったので毎日本を一冊ずつ読むことにした

 通勤時間を利用した読書の記録です。100冊突入!ありがとうございます! iPhone版のnoteアプリ、下書きにはいいけど投稿までこれではできないな。と思う、パソコン勢。

93. ウサ太夫

 Kindleストアでセールになっていて購入。かわいかった。職場の人たちで好きそうだなぁ〜と思う人が何人か思い浮かんだ。(みんな美大出身だ)
 可愛いんだけどちょっと毒気がある、シュールなんだけど親しみやすさがある。っていう感じで、一周まわってファン多いだろうなと思うやつ。シルバニアファミリーの小さい人形買ってTwitterに写真アップロードしてそう。(偏見)

94. 新版 「生きるに値しない命」とは誰のことか ナチス安楽死思想の原典からの考察

 中公選書の新刊。ものすごい本を読んだ。これは読んでよかった。
 前半はナチスドイツが参考にした、『生きるに値しない命を終わらせる行為の解禁』という論考の全訳。後半は翻訳者ふたりによるその解説と考察。お恥ずかしい話ではあるがわたしは『生きるに値しない〜』を読んだことがなかったので、はじめて通して読んだ。マジでとんでもないことがとんでもなくない(一見そのまま読んでしまうと「いいんじゃん?」と言ってしまいそうになるような)テンションで書いてあって恐ろしく感じた。「生きようとする意思」や「死への意思」を全く表明できない、治癒不可能な知的障がい者を安楽死させるの、仕方ないんじゃない? だって今、国の危機だし。親御さん達からもそう頼まれることがあるんですよ。それなら本人は生きていても仕方ないから殺すのって、いいことでしょう?って、今言われても全くおかしくないし、肯んずる人もたくさんいそうだ。
 あと、橋田壽賀子氏が安楽死を希望すると言って論争を呼んだという話、マジで不勉強でわたしはこの本を読んで初めて知ったんだけど、そこに対する反論がきっちり書かれていたところにも心が動かされた。たしかにわたしも「早く死にたい、身体が動かなくなったら安楽死させてほしい」って何の気無しに言っていたけど、それは能力主義による差別だというところが実にグサッッときた。能力主義自体はビジネスの場や学校などでも普通に使われていることだけど、「役立たずは死ね」に繋がってしまうことって意識しないと分からないもんだな、人間の集団が社会であるはずなのに、その社会を良くするために構成員を殺すって、たしかに意味不明だよな。と思った。
 新型コロナウイルス関連のトリアージの話がきっちり出てきたのもかっこよかった。「老人になりたての者として…」というような一文があったと思ったんだけど、知識をアップデートしつつ昔から現在にかけて変わらない論を繋いでいく、まさにわたしの思う「大人の知」の仕事を見せていただいた。わたしもこんな風な大人(老人?)になりてえーーー。読めてよかったです。

95. アル中ワンダーランド

 アル中本、まあまあ読んできた気がするけど、その中でもトップクラスに怖かった。自分の意思と関係なく店をはしごしてケータイや財布をなくし、兄弟に怒られて、イベントでおっぱいを出す……。通底していたのは「しらふの自分は面白くない」「もっと面白いものを作らなきゃ/面白いことを言わなきゃいけない」という徹底した自分への厳しさで、やっぱテキトーに自分を許して生きなきゃあかんのや!と思った。ちょっと違うかもしれないけど、「本当の自分はもっと成功しているはず」「今の自分は本当の自分じゃない」みたいなところを読んで、「加藤智大のマインドやんけ…」と思った。(殺人の本を読みすぎなのである)まんきつさんはベクトルが自分へ向かったけれど、心の中にある破壊衝動というか、ヤケというか、復讐(といえるのか?)みたいな気持ちの大きさは凄まじいものだったんじゃなかろうか。どうかスリップなさらないことを祈っている。またどこかの飲み屋でうっかりお会いしてしまったら4杯目で羽交い締めにしなければならんと思った。巻末の吉本ばなな氏との対談もけっこうスピなことが書いてあって面白かった。

96. 3000日以上、毎日スープを作り続けた有賀さんのがんばらないのにおいしいスープ

 最近、朝は重たい内容の本を(一日一冊と言っているが実際は数日かけて)読んで、夜はレシピ本とか軽い漫画とかを読むようにしている。というわけでお腹が空いたタイミングで読んだ有賀薫さんのスープ本。有賀さんの本はもう何冊か読んだことがある。
 有賀さんの味付けは(ご自身でも書いている通り)薄味なのと、素材をごろんと使うものが多くて、食材を細かくして食べたいわたしはこのままレシピ通りに作ったことってほぼないんだけど、それでも読んでてほっこりする。季節の野菜は旬に大きく買ってずーっと使うのがいいのは本当にそう。いまわたしは農家から買ったカボチャをどうしてくれようか悩んでいるよ……。ミルクパンスープは何度も目にしたことがあるけどやったことないので、今度パンと牛乳があったらやってみたい。


97〜99. ツレがうつになりまして。/その後のツレがうつになりまして。/7年目のツレがうつになりまして。

 ずっと機会があれば読もうと思っていた『ツレうつ』。ちょうど本を持ってくるのを忘れたのでKindleで購入。この著者の漫画は友達と読書リレーをしていたときに宝塚がテーマになったものを読んだ以来だった。素朴で(だけど)読みやすい漫画。
 自分に抑うつ的な症状が出ていたときと似た感じがすごくたくさん書かれていて、あー!わかるわかる!と思うところが多かった。わたしがメンタルおかしくなって病院にかかった時は「このまま行くとうつ病になるというような、入口の手前」と主治医に言われたから厳密にはわたしはうつ病は罹患してないけど、こう共通した症状があると、あれは本当にうつの入口だったんだなぁと分かる。(おかげさまで今は安定した生活を送っています。)3冊のシリーズ全て読むと、このご夫婦ふたりがより身近に感じられて楽しかった。いい漫画だね。
 にしても本当に、パートナーがいるのってこういう時に寄りかかれて便利なんだなぁ!(悪い解釈をしている人)人に寄りかかるためにパートナー選びをしようとすると、足元を掬われますよ。


100. 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

 「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)の人は津軽弁を話さない」という臨床発達心理士の妻の発言を訝しく思った著者が、それをテーマに研究していくうちに、どんどん大きなテーマを扱うようになって……。という、軽い文体で書かれているけど、バリバリの研究の話! 超面白かった。他地域でも相関性があるのか、などなどさまざまな分岐した小テーマを進めていく中で、専門領域の近い先生方が「社会的なコミュニケーションに障害が出るのがASDなので、そうなるのは当たり前」と研究を聞いてコメントするくせに、なぜか同テーマの先行研究はないんですよねぇ!というところがマジで面白かった。研究者の皮肉だ!(笑) やれ統計とって…… などの卒論を抱える予定の大学生は読んだら絶対に楽しいし勉強になるのではないか。

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