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思春期のこどもにも、その親にもひびく絵本『Mama,Do You Love Me?』by Barbara M.Joosse

私が最近、何度も読み返している絵本を紹介させてください。

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こどもは、園児が全部で16人というとっても小さなプリスクール(日本の幼稚園年少、年中さんにあたります)に通いました。

そこで主任の先生が、園で行われた母の日のイベントで読んでくれた本が、この『Mama, Do You Love Me?』 です。

主任の先生 Mrs. L  は、成人した3人の子供のお母さんで、その先生が大好きな本だと紹介してくれました。読み始める前に、

「子供たちが小さいときに、たくさん読んであげたわ。今でも、読むと涙が出てしまうの、、。」

そうして、読み始めたMrs.L は、やはり最後の方では声が震えて、涙を流していました。


どこか懐かしい、北極圏に住む先住民族調の絵で描かれた母娘の話です。子供が母親に、「わたしのこと、どれだけ愛してる?」ときいて、それをお母さんが一つ一つ丁寧に答えていく形で物語は進んでいきます。

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さらに、そのあと子供は、「もしこんな悪さをしたら、それでもお母さん、私のこと好き?」と、いろんな失敗や、いたずらを例にだして聞きます。お母さんはその一つ一つにしっかり子供と向き合って、そして子供を愛していると伝えます。

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どんどん子供のイマジネーションが広がって、例えばなしもスケールが大きくなっていきます。そこで、最後のお母さんへのこどものチャレンジが、

こども:
「もし、わたしがすごくいじわるなしろくまになって、鋭く光る歯で、お母さんをテントにおいやって、お母さんが泣いちゃったらどうする?」

お母さん:
「そうしたら、きっとすごく驚くし、とても怖いと思うわ。」

『Mama, Do You Love Me? 』より

そして、ここがとても心に刺さるのです。

But still, inside the bear, you would be you, and I would love you.
でも、しろくまの中にいるのはあなたでしょう、私はあなたを愛してるわ。

『Mama, Do You Love Me?』より引用

絵本の中では、するどい爪を持つしろくまの手をとって、しろくまの体を持ち上げるお母さんと、そのお母さんを人形を抱えた子供が、しろくまの下から顔を出して見上げる絵が描かれています。

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こどもがまだ3,4歳くらいの、ただただ可愛いばかりだったころ。少し色調の暗い絵にあまり引き込まれませんでしたし、子供がどんな恐ろしい姿になっても、子供を愛する気持ちは全く変わるはずがないと、Mrs.Lが涙するほどに心を揺さぶられませんでした。こどももあまり興味を示しませんでした。なのでしばらくこの絵本のことを、忘れていました。

しかし、子供が思春期に差し掛かり、ただかわいいばかりのこどもではなく、挑発的な態度で親の我慢を試すようになってきて、急にまたこの絵本が読みたくなりました。

そして、この絵本が今までと違った風に感じられるようになったのです。

思春期の子供は、絵本の中の鋭く光る歯を持つしろくまのように、時に親に襲いかかるのかも知れません。それは、もちろん怖く、泣きたいほど大変なことでしょう。 

でも、その鋭い爪と歯をもつしろくまの中には、私たちの大切な愛しい我が子が隠れているのです。そして、その子供は親に抱きあげられるのを待っています。

体がどんなに大きくなっても、その中には「私の事愛してる?」と、いつも親に確かめたくて仕方がない、親のことが大好きな小さな子供がいるのだと、しみじみと感じました。

以前は色調の暗い絵だと感じていましたが、今は感情表現が抑えられた民族調の絵が、とても暖かく、心にしみいります。 

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繊細さんで、日々たくさんのことで心を痛めているわが子が、昨晩も自分が友達にかけた言葉が、友達を傷つけてしまったのではと、自分のことを責めていました。

こどもを膝にのせて、こどもの話を聞きました。そして、こどもに

「あなたがどんな失敗をしても、ママとパパはあなたを愛してるよ」

と伝え、この絵本の話をしました。 そうして、こどもも

「なんだか涙が出るね。」

と、何か心に触れるものがあったようでした。

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これからも、時々この絵本を読み返して、この大きな体の中には、親に愛されたくて一生懸命な、ちいさな子供がかくれていることを、忘れないようにしたいなと思いました。そして、こどもに「愛してる」というメッセージはを、伝え続けなくてはと思っています。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

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