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Scratchで「絵がニガテ」を克服してみた。
突然ですが、私はとんでもなく絵が下手です。
どれくらい下手かというと、小学生時代に写生大会で描いた松の木の絵が、上下逆さまに飾られていたくらいといえば大体お分かりいただけるでしょうか。ちなみに、絵の裏に正しい向きで名前を書いていたので、当時の担任の先生は気を利かせて逆さまに飾ってくれたことになります。
そして、そのことに気付いたのはたった一人、参観日で学校に来た私の母親だけでした。(もっとも、母に「これ逆さまちゃう?」と聞かれた私は、恥ずかしいやら何やらで「逆さまちゃう!これで合ってるねん!」と謎の強がりをしてしまったのですが。)母はすごい。
そのことがあって以来、絵を描くことはトラウマに近く、「私はあまりにも絵が下手なんだ・・・」という呪縛を20年近くも背負って生きてきました。
絵しりとりなんかは、順番が回ってくるたびに散々笑われるものなので、あれは新手の拷問だとさえ思っています。
そんな私ですが、この度Scratchという神ソフトに出会ったことにより、「絵がニガテ」を克服することができたのです。四半世紀以上も苦しみ続けた歴史に終止符が打たれたのです。
私ほどのド下手さまでは行かなくとも、「私も絵下手なんだよね~」とか、「うちの子も絵が苦手で・・・」という方はたっっっっっくさんいらっしゃることでしょう。そんな方に届けば幸いです。
・・・
さて、まずは私の現在の画力を皆さんにお見せしたいと思います。今回は、誰もが大好きなあの世界的キャラクターのお猫様を描いてみました。街中でよく焼き立てのポップコーンを進めてくるあの方です。
いかがでしょうか。大人の事情によりモザイク加工を施しましたが、もはやそれも必要かどうか微妙なクオリティです。こんなのにポップコーンを勧められたら、それは十中八九毒入りです。
ちなみに、この方一人では寂しいかなと思い、ボーイフレンド猫様の描きましたが、こっちはより一層悲惨です(懲りない&めげない)
ポップコーンのお方は、リボンというチャームポイントがあるのでまだかろうじて認識できますが、ボーイフレンドの方はもう無理です。絵しりとりでこれを描かれたら怒り狂うレベルです。もはや恐怖。モザイクなんか掛けるだけムダでした。ごめんなさい。
・・・
さてみなさん、Scratchというものはご存じでしょうか?(突然)
Scratchとは、MIT(マサチューセッツ工科大学)で開発された子ども向けのプログラミング言語のこと。特別な知識がなくても直観的に操作ができ、楽しみながらプログラミングが学べる便利なツールです。
とは言っても、ここでScratchの説明をこれ以上詳しくしてしまうと、本題から外れすぎてしますので、「ご存じでないよ~」という方は、ちらっと公式サイトでも覗いてみていただけると幸いです。
(Scratch公式サイト「Scratchについて」→https://scratch.mit.edu/about)
さて、今回着目したいのが、こちらのお猫さん。
この猫さん、お名前をScratchキャットといいます。Scratchのロゴやアイコンにも使用されており、Scratchのマスコットキャラクター的立ち位置におわす猫さんです。
そしてこのお猫さん、なんとカスタマイズが可能なんです。色を変更したり、線や丸、四角などの図形を追加したり、文字を入れることができたりします。
そう、このカスタマイズ機能こそが、私の「絵がニガテ」を克服してくれる神機能だったのです。
どういうことか?
百聞は一見に如かず。
早速、Scratchを開いてカスタマイズを行っていきましょう。
スタート画面はこんな感じです。
まずは、色を変更することから始めることにします。
すごく白くなりました。ここまでの所要時間は2秒くらいです。
続いてはお耳のリボンです。ペンツールを使って描写を試みます。
海外のグミみたいなリボンが出来上がりました。これではいけません。世界的お猫様のリボンは、グミなんかじゃないのですから。
考えます。考えて考えて考えまくります。
すると、リボンがいくつもの丸や四角が組み合わさってできているということに気づきました。これは新しい発見です。
これに気付いた私は、水を得た魚です。Scratchには、丸や四角を描写するツールがあるのです。嬉々としてそれを使います。
不恰好ですが、ここからが腕の見せ所です。サイズを調整したりなんだりして、それっぽくします。
そして完成したリボンがこちらです。
それっぽい!!!どこからどう見てもリボンです。
Adobeのソフトを使ったことのある方は、この画面に既視感を抱かれるのではないでしょうか。そうなんです。Scratchのカスタマイズの操作は、illustratorとよく似ているんです。illustratorでよく使う一部の機能が、操作が単純になってScratchで使えるみたいなイメージです。
これは直観的に使えて分かりやすい。普段からillustratorをちょこちょこ触る人ならすぐに使いこなせるでしょうし、そうでない人やお子さまでも、何度も触っているうちに慣れて使いこなせるようになるはずです。
ここら辺から、自分の才能がグングン芽生えていくのを感じ始めます。見るものの捉え方が変わってくるんです。
絵を描くときは、リボン=リボンでしかなくて、リボンを描くためにはリボンを描くしかないとばかり思っていました。輪郭の線でしか捉えられていなかったというところでしょうか。(何せ絵音痴なもので、これすら上手く表現できません。どうか汲み取ってください。)
でも、描く前によくよく観察してみると、リボンはさまざまな図形に分解することができ、その分解された図形ひとつなら、なんとか上手く描けるのです。
昔、「デッサンをする前には対象をめっちゃ見る」と言っていた美大出身の友人のドヤ顔が脳裏に蘇ります。私はもう美大生なのかもしれません。(違います)
・・・
そうこうしている内に、あっという間にカスタマイズが完了しました。
(リボン以降の工程は、大人の事情により割愛)
出来上がったカスタマイズ猫さんがこちらです。(どーーーん!)
(※大人の事情により、強めのモザイク処理を施しております。)
いかがでしょうか。少々足は長すぎる気もしますが、どこからどう見ても、かの有名な世界的お猫様なのではないでしょうか。
比べるとその差は一目瞭然です。右側の猫様がつくるポップコーンは、さぞ美味しいことでしょう。
調子に乗った私は、ボーイフレンドもカスタマイズで作ってみました。
いかがでしょうか。やっぱり足は長いですが、これならかのボーイフレンドに見えます。比べるまでもないのですが、一応見比べておきましょう。
比べると悲惨さがより一層増して見えますね。
でも、右側のボーイフレンドなら、絵しりとりで描いても笑われることはないでしょうし、むしろ分かりやすさのあまり感謝されることでしょう。少なくとも、「絵が下手」と言われたり、間違っても逆さまに飾られたりはしないはず。
もちろん、上手にカスタマイズができるようになったからと言って、紙とペンを使った私の画力が向上したわけではないですし、相変わらず松の絵を描いたら上下を間違われるでしょう。それでもいいんです。Scratchを使えば、人並みに描けるという事実があるから。(正確にはカスタマイズであって、一から描いた訳ではないけれど、私にとっては大きすぎる成長なのです。)
・・・
私が小学生の頃は、Scratchはありませんでした。絵を描くための手段と言えば、画用紙に絵の具や色鉛筆、クレヨンで描くこと。友達に絵を見られることが本当に恥ずかしかった私にとって、図工の時間や美術の時間は、とにかく地獄でした。その思いは積もり積もって、いつしかトラウマになりました。大人になってからは、下手も突き詰めれば面白いと捉えられるようになりましたが、トラウマや羞恥心はずっと心の底にあるままです。
多様性の時代となった今。
人の生き方がさまざまであると認められるのと並行して、様々な技術が発達しています。絵を描く手段だって、たくさん開発されました。
紙とペンではうまくいかなくても、Scratchを使えば上手に描けるという人もいるでしょう。illustratorを使えば素敵な作品を作れるという人もいるはずです。どれも、絵を描くという目的は達成されています。
何事も、目的を達成するためのルートは一通りではありません。
百人いれば百通りのルートができるのです。もしかしたら、それ以上かも。
ひとつのルートが閉ざされたからといって、必ずしも目的が達成できなくなるということにはならないし、何にも恥ずかしいことなんてない。
もし自分のこどもが絵がニガテって泣くようなことがあったら、そんな風に伝えられる親でありたいな、なんて思います。
追伸
もしかしたら、私がScratchのカスタマイズで身につけた能力である「メッチャカンサツスル」と「ズケイニブンカイスル」は、俗に言う「絵が上手い人」になるための大いなる武器なのかもしれない、と思いました。
この武器を手に、毎日毎日地道に努力を積み重ねていけば、もしかしたら絵が少しくらいは上手くなるかも・・・?なんて淡い期待を寄せつつ。
まぁ、飽き性の私にそれが出来るかと言われれば・・・。
黙ってScratchやりまーす!
更に追記
「観察は分析です。分析は分解して分類する事です。それを組み立てるのがプログラム。」という素敵なコメントをいただきました。
今回の記事の内容は、プログラミングの学習にもつながるものですね。
これからも、楽しくプログラミングを学ぶ方法について、もっともっと勉強していきたいと思います。ありがとうございました。
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