見出し画像

カタツムリは右巻き?左巻き?: カタツムリの苦悩

カタツムリの殻の巻き方はその種で概ね決まっていることをご存じでしょうか?多くのカタツムリは右巻きです。カタツムリの殻の巻き方には深い意味があったことを解説します。(吉野賢一)

カタツムリ:陸生の貝の仲間で殻を持つものをカタツムリ(蝸牛)、持たないものをナメクジと呼びますが分類学的な定義はとくにありません。基本的に貝の仲間(軟体動物)はエラ呼吸ですが、カタツムリ(ナメクジも)は肺呼吸なので大雨だと溺れます。雨のカタツムリを見て「喜んで動き回っている~」とはしゃぐ子どもには「安全な場所に大急ぎで避難しているのだよ」と教えてあげましょう。(カタツムリに確認することが必要です)

カタツムリの殻の巻き方:カタツムリを殻の頂を上にして置き(普通に置き)中心から「殻はどうやって成長したのかな~」と外側になぞって区別できます。あるいは普通に置き、横から見て「殻の口は左右のどっちにあるのかな~」で右(左)に口があれば右(左)巻きです。殻の巻き方は遺伝しますから右巻きの両親からは右巻きの個体、左巻きの両親からは左巻きの個体が生まれます。

カタツムリの生殖:カタツムリは有性生殖です。雌雄同体なので両親は必要ですが、一方がお父さんになればもう一方がお母さんになれます。自家受精(自分の精子と卵で受精)も可能ですが、効率よくカタツムリを繁殖させたければ2個体での飼育をお勧めします。ただしその際は殻の巻き方には注意が必要です。殻の巻く方向によって生殖器の位置が異なるため、巻き方が違うと交尾ができません。「おれの両親、巻き方が違うんだよね~」という個体は存在しません。

カタツムリの天敵:人は野菜を食べなくて良い」で登場したマイマイカブリは右巻き、左巻き関係なくカタツムリを食べます。一方、セダカヘビは右巻きのカタツムリしか食べません(食べられません)。

セダカヘビ:このヘビの特徴は「下顎の歯の本数が違う」ことです。左側よりも右側の歯の数が多いのです。セダカヘビの左右非対称な歯列は右巻きのカタツムリを効率よく食べるのに役立っていて、そのために「右利き」に進化したと考えられています。ちなみにこのヘビに左巻きのカタツムリをやると食べるのに非常に手間取るそうです。詳細は細将貴氏の記事を(下記)。

カタツムリの苦悩:子孫を残すためには「皆と同じ巻き方」でなくてはならない。生き残るためには「自分だけ違う巻き方」が有利。カタツムリは進化の過程で「殻の巻き方どうしようかな~」と苦悩し過ぎて「のろのろ」になったのかもしれませんね。(カタツムリに確認することが必要です)

左右非対称の歯列:ヒトの歯は上下にも、左右にも同じ本数だけ並んでいます。一方、歯の本数が上下で違う動物はたくさんいますが(イヌ、ネコ、 ウサギなど、https://www.jda.or.jp/park/function/animalteeth03.html)、 左右で非対称な歯列をもつ動物はセダカヘビくらいです(私の知る限り)。


全記事を無料で公開しています。面白いと思っていただけた方は、サポートしていただけると嬉しいです。マナビ研究室の活動に使用させていただきます。