知恵と胆力、そして地域愛。

昨日キャッシュレスの話題を書いた続き、というか、
もともとはこの記事を取り上げようと思って書き始めたものでした。

飛騨信用組合が仕掛け役となって、
飛騨高山地域で利用されている地域通貨「さるぼぼコイン」。

正直、こういう地域通貨っていろいろありますが、
あまり流行っている、ちゃんと使われているものを見たイメージがなかったので、この記事は少々意外でした。

「イケてない」地域通貨って、
使える場所が少ないからあんまりチャージする意義を感じない、
そうすると利用者が増えないから利用できる店舗もなかなか増えない、
という悪循環をたどってるイメージがあったので、
「さるぼぼコイン」が高山市の中心地では30~40%ほどのシェアを占めるというのは驚きですね…。

商店での決済だけでなく、
税金の支払いや、地域情報まで配信できるようになっているのは、
今話題になっている「スーパーアプリ」的な側面も感じます。

信用組合が手掛ける決済サービスということで、地域の商店はじめとした事業者には顔が利いて、導入の促進という点ではプラスに働いた部分もあるのでしょうし、
一般ユーザー向けには、先述のような機能を盛り込むことで、単に「決済の利便性」「オトク感」だけではない様々なところからユーザーを獲得し、定着させていく。
そんな地道な循環を回していったんだろうな、ということが伺えます。

記事の最後に、成功の陰にあったものとして
知恵と胆力、なにより地域愛
ということが書かれていますが、まさにその通りだなあと。
地域でのお金の「漏れバケツ」状態を解消したいという強い地域愛、
数年かけてでもじっくり普及させていこうという胆力、
そしていかに使ってもらうかという様々な知恵。
そう簡単に真似できるものではなさそうだなあ、うちの地域ではここまでできるだろうか…と考えてしまいました。


飛騨信組さん、実は仙台での前々職時代から名前はお聞きしていて。
飛騨地域で地場のNPOと組んで、地域中小企業での実践型インターンシップや都市部社会人の副業プログラムを手がけようとされていたのが飛騨信組さんでした。

信組さんも、取引先の企業が縮めば自分たちの経営に直接響いてくるわけですから、
金融機関といえど、単に金融機能を果たすだけでなく、地元中小企業の経営を上向かせていくことも、もはや自らの使命といっていい。
そのために、地域企業が新たな収益源を生むための新規事業開発や、
それに必要な人材の確保支援も自ら行う。

ただ単に金融業の領域に留まるのではなく、
もう一段視座を上げて、地域経済の発展に資するための組合として働く、ということをしっかり意識されて、必要な取り組みをされているのだなあ、とその先見性に目を見張った覚えがあります。

これもまた、
己は地域のためにこそ!という地域愛、
一見畑違いに見える領域にも踏み込んでいく胆力、
そして地域を俯瞰的に捉え必要な策を編み出していく知恵。
それらのコンビネーションがなせる業なのではないでしょうか。

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