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「夢」の持つ美しさは、どこにあるか?

今日は配信でこちらの舞台を観劇。

原作の舞台は1950年代のアメリカ、
片田舎の炭鉱町で、ロケットを打ち上げる夢を持つ若者たちを描いた物語。

夢を追う若者の明るさ、ポップさが目立つ中で、
栗原英雄さんや朴璐美さんなど、大人キャストの重厚な歌が印象的で、ひときわ引き立って見える舞台でした。
(特に朴璐美さんがめっちゃよかった…!)


炭鉱の町に生きる若者たちの、夢と葛藤。
その舞台設定とストーリーは、
半年前に見た「フラガール」を強く思い出させるものがありました。

どちらも「感動の物語」、若者が夢を追うという方向性は同じでも、
そのどんな部分を切り取るか、という点には、
両作品で大きな違いがあったように思います。
作品の背景に否応なくシンクロする部分を感じさせられるからこそ、
その違いというものが、特に強く印象に残りました。

*以後、作品に関するネタバレがあります*


「October Sky」では、
主人公ホーマーは、炭鉱で働く父と対立するも、
母や学校の先生、町で働く機械工など、多くの人から物心両面で支えられ、夢に向かって進んでいく。
そして劇の最後では、見事に全米科学コンテストで優勝という成果を上げて、故郷へ凱旋。
祝福のロケット打ち上げに、最後まで反目していたホーマーの父ジョンも姿を見せ、親子の雪解けをも感じさせる大団円を見せています。
主人公たちが追い続けたひとつの夢は叶い、大きな「成功」と「達成」を感じさせるラストでした。

一方、舞台「フラガール」で、
フラガールを目指す主人公紀美子は、母に夢を否定され、周りの人にも反対され、理解者も少ないまま、家を出てまで夢を追い続ける決断をする。
そして劇は、ハワイアンセンターが無事オープンへとこぎつけた場面で終幕を迎えます。
様々な葛藤や対立を経て迎えたオープンは、文字通り、彼女たちにとってはまだ「始まり」でしかない。
多くの苦しみや悲しみ、苦難の道のりはまだ続くかもしれないけれど、
一筋の希望や未来を信じて、これからも進み続けていく、
そんな予感、余韻を残しながら、舞台の幕は下りていく。


「夢が叶う」物語と、「これから夢を叶えていく」物語。
夢は叶うからこそ美しいのか、
それとも夢を追い続けるその過程こそが美しいのか。


これは日米の文化差か、それとも単に作品性の違いなのか、
私にも確信めいたものは何もありませんが、
いずれにせよ、そのどちらに「美しさ」を感じるのか、
これは人によっても違いがあるものだと思いますし、
個々の価値観、育ってきた背景みたいなものによっても、感じるものはきっと違うのだろうなあと思います。

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