【音楽サブスクって稼げるの?】 #5 サブスクで稼いでいくための音楽活動とは
タメになる音楽情報を発信中のポッドキャスト「アーティストのミカタ」では、 全5回にわたる大型企画を進行中です!
今、アーティストが最も気になるポイントのひとつである
「サブスクって稼げるの?」
という疑問の答えに様々な観点から迫ります。
企画の最終回である第5回目の今回は、
*結局、サブスクで稼げるの?
*サブスクで稼ぐためにはどういった音楽活動をしていけば良いの?
という点などについて取り上げました。
noteでは、ポッドキャストの内容を文字に起こしてお届けしていきます。
↓前回の記事はこちら↓
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【参加者プロフィール】
中野…ポッドキャスト番組「アーティストのミカタ」進行役。
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中野:こんにちは!
ポッドキャスト「アーティストのミカタ」進行役の中野です。
沢井:サックスプレイヤーでプロデューサーの沢井です。
中野:「アーティストのミカタ」は、その名通り、音楽活動をする上でためになる情報や知識をアーティスト向けにわかりやすく発信していく番組です。
日本を代表するサックスプレイヤーでありながら、数々の有名アーティストのプロデュース、また音楽学校の講師も務められるなどさまざまな角度から音楽と向き合っていらっしゃる沢井原兒先生に、今アーティストが知っておくべき知識をピックアップして解説していただきます。
さまざまな形で音楽活動をすることができる今だからこそ、アーティスト自身が音楽ビジネス知識を身につけることでもっと自由に音楽を楽しんでいきましょう。
今回もよろしくお願いします!
さて、現在この番組は、アーティストがよく抱く「サブスクは稼げるの?」という疑問に答えるために、5回にわたる企画を進行しています。
いよいよ今回は最終回です。
「サブスクは稼げるのか?」という問いの答えとして、番組では「稼げます!」という方向でお話をしていてるのですが、最終的にどうしたら稼げるのかということをこれまでの4回の内容を踏まえながら結論づけていただこうと思います。
そして今回も素敵なゲストの方にお越しいただいています。
ピアニストのMinkさんです。
よろしくお願いします。
Mink:よろしくお願いします!
沢井:今回がこの企画の最後ということなんですが、ここまできてなんとなくわかってきた?
Mink:そうですね、今まで自分にとって必要な音楽ビジネス知識をどれだけ知らなかったのかということがよくわかって良い機会になったと思っています。
沢井:なるほど。「サブスクは稼げるのか?」ということについてどう?
ここまでの話をきいて稼げそうな気がしてきましたか?
Mink:そうですね、「思っていたより稼げるじゃん!」と思いました。
沢井:今の日本の音楽シーンでは、サブスクはまだまだ主流ではないんだよね。
でもアメリカの音楽売上はサブスクが約8割を占めていて、その結果音楽市場の売上も増えているんだよ。
だから日本もそういう状態になれば、日本の音楽経済も良い方向に変わっていくと思う。
そして、日本でサブスクが普及していくまでの間の活動をどうするかというところでいうと、ハイブリッドで活動していくということが大切になってくる。
要するにCDとか物販とかサブスクとかを掛け合わせて、アーティストの経済を考えていくのが良いんじゃないかなと思うんだよ。
Mink:はい。
沢井:CDについて言うと、オンラインで買えるとはいえ、日本でもCDショップは少なくなってきてるんだよね。
そういうところから考えると、これからCDの売り上げはどんどん減っていくと思う。
その下がったCD売上を、サブスクの売上でカバーしていけるかどうかというところを考えた時に、インディペンデントアーティストとして個人で活動していく場合と、事務所やレコード会社と契約して活動していく場合とでは、ちょっと違ってくると思うんだよ。
そのあたりの活動方法について、Minkはどう考えてる?
独立して自分やっていこうと思っているのか、それともどこかに入ってやっていこうと思っているのか。
Mink:うーん、今のところ自分でやっていこうと思っています。
沢井:うん、自分でやって売れるのが1番だと思うよ。
Mink:1番ですか!
沢井:うん。でも自分で売れるには、個人でやっていくとはいえ、周りに優秀なブレインがいないとなかなか難しいと思うけどね。
優秀なブレインというのは何かというと、例えば「どうやったらサブスクでいっぱい聴いてもらえるか」というようなところをしっかり戦略的に考えて実行に移すためにサポートしてくれる人とかだね。
やっぱりたくさん聴いてもらえないとお金は入ってこないわけだよね。
例えば、一般的な仕事をする時にもらえるのと同じくらいのお金として、月20万円を稼ぐことを目標にする。
1再生=1円として考えると、1月で20万回再生されるにはどうしたら良いかということを考えればいい。
例えば自分で10曲入りのアルバムを2枚作ったとすると、配信されている自分の楽曲は20曲になるよね。
そうすると20万再生ということは、1曲1万回再生される必要があって、1日あたりで考えると300回再生が必要だよね。
つまり、自分の曲が20曲あれば、毎日1曲につき300回誰かが聴いてくれると生活できるんだよ。
Mink:そう考えると意外とできそうな感じがしますね!
沢井:そう。だからMinkの熱狂的なファンを300人作って、その300人のファンに「必ず1日1回全曲聴いてね」と言えば20万再生いくってことだね。
Mink:またそこが難しいですよね(笑)
沢井:本当にメジャーなアーティストは1億回再生超えてるからね。
ジャズのアーティストでも1000万再生くらいされいてる人も結構いるよ。
それで、サブスクでたくさん聴いてもらうために今何が大事かというと、自分の曲をキュレーターに推薦してもらって、プレイリストに載ること。
そうするとどんどん広がっていくんだよ。
ニュージーランド出身のアーティストでグラミー賞をとったLorde(ロード)は、たまたまFacebookの初代CEOのSean Parker(ショーン・パーカー)のプレイリストに載って認知が広がったことがきっかけで一気にブレイクしたんだよ。
Mink:へー!そうなんですね!
沢井:そうやって誰か人気の人のプレイリストに載ると拡散されてバズるんだよ。
バズってクチコミで広がっていくと、すごくいい効果が現れてくる。
だからいかに、自分の身内や応援してくれるプロデューサー、キュレーターを味方にするかということが大切だよね。
そういうことをしていけば、どんどん世の中に広がっていくことに繋がるよ。
Mink:なるほど、そうなんですね!
そういう広がり方もあるんですね。
日本のアーティストで言うと、HIP LAND MUSIC所属のThe fin.は、Spotifyのプレイリストに載ったことがきっかけで中国の音楽ファンがみつけて、中国のサブスクリプションサービスですごく流行ったんだよ。
それで、大体中国の5000人〜6000人が入るような会場でコンサートができるようになっているからね。
Mink:すごいですね!
沢井:そういうバズり方をして、中国で流行ることも実際にあるわけだよね。
今は、楽曲を配信したら世界中で聴くことができるわけだから、そういう意味で言うと海外にもアピールできる音楽コンテンツを作っていくのが良いんじゃないかと思うよ。
Mink:なるほど!
沢井:世界で聴かれるようになれば、絶対音楽で生活できるようになるからね。
サブスクリプションサービスにも、Apple MusicとかSpotifyとか色々なDSP(※)があるよね。
大手で言うとDeezerっていうフランス発祥のサービスもあるし、それからApple MusicとかSpotifyとかAmazon Musicとかね、そのあたりと中国大手のテンセントミュージックで広がれば十分だよね。
あとYouTubeもあるけど、YouTubeで再生された場合の収益は、サブスクリプションの1/10って言われているし、収益を得るためにはクリアしなければいけない条件があるからね。
収益を得られる状態になるまで、時間とコンテンツの量が必要になってくる。
そういう意味で言うとアグリゲーター(※)を通じて、色々なサブスクリプションサービスに配信するのが良いのかと思う。
Mink:なるほど!
あまり世界に向けた活動を考えたことがなかったんですが、サブスクだと世界中で聴かれるから見つけてもらえる可能性があるんですもんね!
沢井:そうだよ。
Minkはピアニストでインストだから、海外でも十分売れる可能性はあると思うよ!
Mink:期待大ですね!面白いです。
沢井:だからそういうふうに、もっと目を外に向けていくことが大事だと思う。
1再生で入ってくるお金が安いからとか、そういう視点ばかりで評価しないで、「世界で聴いてもらえるチャンスがある」というところを考えていくべきだよね。
みんなに聞いてもらえるような戦略を立てていけば、十分に食べていけるようになるんじゃないかと思うよ。
それから、私が昔から思ってるのは、そういう配信している音楽とかCDというのは、自分のライブに動員するためのプロモーションのツールだと思ってるの。
やっぱり音楽をやっている人にとっては、自分のライブにお客さんが来てもらう方が良いわけだよね。
Mink:確かに。
沢井:ライブに来てもらって、グッズとかも買ってもらって、そこから収益を得て活動していくっていうのが健全なんじゃないかなと思うけどね。
Mink:そうですね。
沢井:そう考えると、ライブ活動で収益を得て、なおかつサブスクで聴いてもらった分、お金が入ってくれば御の字だと思うんだよね。
Mink:確かにそうですね!
沢井:だから今の音楽活動のやり方としたら、ハイブリッドでやっていかなきゃいけないと思うけど、あと10年くらいしたら多分日本も海外と同じような状況になると思うよ。
それで、10年したらVRの時代になると思うので、また全然違う音楽の流通経路が出てくるんじゃないかと思うよ。
Mink:VR…!
沢井:VRとかメタバースとか、要するに三次元の音楽コンテンツがどんどん増えてくるってことだよね。
Mink:なるほど!
沢井:うん。あとNFTね。
簡単に説明すると、替えのきかない音楽データに権利を持たせて、誰かに買ってもらうというような仕組みで、そういう時代がくると思うんだよ。
Mink:そういう時代が来るんですか…!
沢井:きます!
Mink:ちょっと寂しいような、ワクワクするようなですね。
沢井:でも、200年前には今のような音楽の環境っていうのは無かったんだからね。
そういう意味で言うと、将来的にはいろんな可能性が十分あると思うけどね。
Mink:そうですね、考え方一つ変えるだけで全然違いますね!
沢井:そうだね、だから、これまで解説してきたことを総合すると、「サブスクで稼ぐことはできる」と言うことです。
無理矢理こじつけてる感じだけど(笑)
それを、今回の結論とします。
中野:はい、ありがとうございます!
最後に「稼げる」と明言していただいたので大分希望が見えたかなと思います。
全編を通して、これからストリーミングが普及していくことで、聴かれ方も変わっていくだろうし、沢井先生のお話にもあったように蓄積されていた昔の曲がいきなりヒットしたり、テレビだけでなくアプリなどでも、アーティストは知らないけど曲だけ知ってるという状態から広がっていったりすることもあると思うので、可能性は広がっているなと思いました。
今回は5回にわたってお送りしてきましたが、この5回を聴くだけでもかなり音楽活動に関する考え方が変わった方もいらっしゃるのではないかと思っています。
この番組では今後もアーティストのためになるような情報をアーティスト目線でお伝えしていくので、これからも楽しみにして頂ければと思います。
今回は、「サブスクは稼げるの?」というテーマでお送りしてきました。
沢井先生、Minkさん、長い間ありがとうございました!
次回もお楽しみに!
沢井:お疲れ様でした。
Mink:ありがとうございました!
〜今回のポイント〜
・アメリカでは音楽売上の葯8割をサブスクリプションが占めており、アメリカの音楽市場全体の売上も増えている
・国内でサブスクリプションサービスが普及していけば、日本の音楽経済も良い方向に変わっていくと考えられる
・日本でサブスクリプションサービスが普及するまでは、CDや物販、サブスクなどさまざまな手段を掛け合わせたハイブリッドな音楽活動をしていくべき
・日本でもCD売上は今後下がっていくと考えられ、そうなった場合、下がった売上分をサブスクリプションサービスの収益でカバーしていく必要があるが、個人での活動をしていくか組織に所属して活動していくかで考え方が変わってくる
・個人で音楽活動をしていく場合、「サブスクリプションでたくさん聴いてもらうためにどうするか」ということについて戦略的に考えていく必要がある
・サブスクリプションサービスでたくさん聴いてもらうために大切なのは、人気のあるプレイリストに追加されること
・サブスクリプションサービスの大きな特徴は、世界中の人に楽曲を聴いてもらえる可能性があることで、その点から考えると海外にアピールできる音楽コンテンツを作ることが大切
・サブスクリプションサービスについて、再生回数に対する収益の低さだけで判断せず、世界に向けて配信できるという部分にメリットを見出して活動していくことが必要
・今後、VRやメタバースなどの新しいコンテンツやNFTをはじめとする今までに無かったシステムによって音楽シーンに新たな時代が到来することが予想される
・アーティストを取り巻く環境の変化や、サブスクの特徴など、これまでに解説してきた内容を踏まえ総合的に考えると「サブスクで稼ぐことはできる」
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