男のプライドと新しいケーキ屋さん。
こちらの記事は、今朝書いた記事の続きのような記事になります。
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父を連れて、父の喪服用の靴を買いに行って来た。
父は今回、彼が約十年程前に脳梗塞で倒れて以来、おそらく初めてスーツに袖を通したのだと思う。
喪服だけど。
今回喪服を着るにあたって、右半身に麻痺があり不自由を抱える父に家族は皆こういった。
「背広着るのでもさ、麻痺もあるのだし、足元はスニーカーでもいいんじゃない?葬儀は家族葬なんだし、誰も気にしないよ?」
けれど父は頑として首を縦には振らず、新しい、喪服に合う靴を買いに行く!といって聞かなかった。
企業戦士として戦っていた頃の男のプライドが、背広を着るのに足元はスニーカーだなんて、許さないんじゃないのかなあ…………?と、私はそんな父の様子を横で見て感じていた。
喪服とはいえ紳士服のAOKIにて、新しい背広を店員さんに見立てていただき、それを身にまとった父の表情はキラキラと輝き、とても嬉しそうだった。
やっぱり背広を着ると未だに、スイッチオン!になるのか父は目の色が変わり、表情がキリッとなった。
そのような父がいる一方で、
「最初っからプライドなんて0人間。すべてをさらけ出しまくる心の露出狂」そんな娘である私は心の中で、そのようなことを考えていた。
その後、袖の長さがしっくりと来なくって、サイズを変えていただいた紳士服のAOKIでは、こんなことも思った。
と。
私の父は昔っから、気が短い人だった。
その上体が不自由になってからは特に、自分の思い通りにいかない事があると、そのモヤモヤを言葉にはすることが出来ないので、かんしゃくのような態度で表したりするときもある。
そのような父の対応を自身も病を抱えながら、ずっとしてくれていた、生粋の献身的な人。それが私の母。
よくがんばってくれていたよなあ……と、
今になってしみじみと感じるようになった。
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そのような出来事があった後に実家へと戻り、ひと休みしていたら、実家の庭で90代ではあるけれど元気に生活を送る父方のばあちゃんが、誰かと話をする声が聴こえた。
ばあちゃんは少々耳が遠いので、ばあちゃんの会話のサポートしようと私は庭へ出て行った。
ばあちゃんがお話していたのは、実家のすぐ近くに今後建築予定だという、新しいケーキ屋さんのオーナーさんご夫妻だった。年齢は恐らく私より少し下くらい、30代中盤くらいだろうか?
これから新築を立てる、しかも店舗を構える、ということでご挨拶に来てくださったのだった。
……………フレッシュ!!!✨
と私は思って、「完成を楽しみにしてますね!オープンしたら、ばあちゃんとぜひ行かせていただきますね😊」という会話をした。
とても感じの良いご夫妻だったし、うちのばあちゃんが会話が聞き取れずに「え?!何ですか??!」みたいになっていても、怪訝な表情ひとつ見せずにお話してくださっていたそのご夫妻に私は、良い印象を抱いたのだった。
新しいケーキ屋さんには、コーヒーとケーキと共にくつろげるような喫茶スペースも出来る、と聞いたばあちゃんはとても喜んでいた。
お店が完成したら、早速ばあちゃんと一緒に訪れてみたいと思った。
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ここまで読んでくださってありがとうございました。
記事を読んでいただきありがとうございます☺️これからも真摯に文章を書くことを追求して行きます。よろしくお願いいたします!