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詩集・小瓶の蝙蝠

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2016年7月の記事一覧

幸福論

幸福論

喪失の痛み

理不尽な悲しみ

やり場のないイライラ

孤独な待ちぼうけ

突き刺す意味のない言葉

不安な未来

寂しすぎる復讐心

愛のない抱擁

劣等感の塊り

さよならのない別れ

価値観の違う家族会議

迷い込んだ抜け道のない迷路

死体は語らず

生きた屍たちは平気で嘘をつく

かばんに詰めた夢 

それは、もう無い

明日があたりまえに来るという事

死という事実を突きつけられて

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ネット心中

ネット心中

火を見に行こう オレンジ色の月

今朝発生した山火事は 夜になっても燃え続け

暗闇を怪しく深紅に染めた 風が強さを増して

ひた向きなあなたのように 真っ直ぐ燃え続けた

私燃えた あなた冷めた 君泣いた

時間が違う 遠くに居たら 夢だけになってしまった

小さいころは 何にだってなれる気がした

おとなになっても その癖は抜けていない

明日私は 風になる 風になって そっとあなたに触れる

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感覚的好感度思考

感覚的好感度思考

近付くと死にたくなる 遠ざかると不安になる

色めくと本来の意味を失う 危機感は足りない

腕のしなやかさとか 鎖骨のあたりの感じとか

瞳の輝き具合だとか そういうのは本当は知らない

触れた腕の感触だとか 些細な事を愉しんでいるだけ

恋ではない何かを ずっと独りよがりの感覚で

求め続けているから 終わりのない迷路は続く

たまったものじゃない そんな風に思われると

どこかで死んどけばよか

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負の連鎖

負の連鎖

屍は今夜 ある種の困惑をもって 闇に消える

焦りを通り越した 疑惑の魂たちは 何を見て真実を問うのか

生きることが喜びなら 死もまた悦楽の境地と言えよう

あの日生きていた 無実の魂たちは 肉体無き現在

僅かなときめきさえも 持つことを許されず

少女の心で そこら辺を 漂っているのです

括り付けられた 時限爆弾の本当の意味を知らず

さあ お逝きなさいと 放り出された 数々の人生

自分

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掃除神話

掃除神話

想像力低下の結果うみ出される 疑似体験類似空間は

まったくの欠落品で しっぽを持った人間のようだ

モップは反衛生の欠陥商品で 日本人なら雑巾がけだろ

こんちきしょー 私はベタつきを許せません

困惑した 異星人たちは 今夜軌道修正をして 還る

月が大きいので 今夜はぐっすり眠れるんだろうな

浅い夢を見たのは 限界がそろそろ近付いてきたからだ

本来の目的は 結構どこにでもありふれた バカ

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無垢な少女の思い込み

無垢な少女の思い込み

無垢な少女の思い込み 多々ある連鎖の修羅場

そういった類のものを寄せ集めると 白い貴婦人になる

それはとうとう この世の果ての 人畜無害な蜃気楼

泡になった人魚たちと 騒ごう おどろ ぷかぷか

 

魂は叫べずに 似たり寄ったりの 日々に祝杯

あっちは高くてこっちは白い 花はきっとどこにでも咲く

どんな奴にも平等に なけなしの愛くれる

季節をまたいでしたたかに咲く それは誰にでもでき

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銀河系ララバイ

銀河系ララバイ

ろくでもない男が わめき散らす女を好きなように

私は夜咲く花のまわりを舞う 蝶たちの虜だ

老いぼれた 心だけ少年の じいさんが囁いた

そこの少女たちは アイスキャンデー一つとっても 猥褻にできる

魅力的なところは その猥褻さに 毒が無いところだ

毒に侵されると 少女はたちまち おんなになる

ティーカップには アールグレイの残り香

少年のじいさんは 探検に出かけて 帰って来ないといった

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漂流する死体

漂流する死体

六月が来るとそれは憂鬱の痛みって事 体がおしえてくれる

誕生日が二週間続いて そしてあなたの居ない空間は

漂流する死体を どこかに隠して 存在し続ける

新しく始まった命よりも 滅んでしまった肉体の比率が大きくて

私の周りには 死が纏わりついているんじゃないかって 不安になる

暗くした浴室に 乳白色のお湯を張ったバスタブ

私は生ぬるいお湯の中で 膝を抱えて無になる

羊水の感じを思い浮か

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死因報告書

死因報告書

北のほうの海には厳しさの中に 母の持つ寂しさがある

うれしいと かなしいと さびしいと いらないは おなじ

あのひ 増水した川に飛び込んだ 十七歳の少女は 

時が止まったまま そこで浮遊している 

甘い時間はない きっとそんなの ありふれた出来事で

死をもって 物語の作成など 面白くないね 

てなこと 君は言うんだろうな わらいながら

だったらいっそ 生きてみればいい 死ぬ勢いで

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くず人間のぐだぐだ

くず人間のぐだぐだ

世間体なんていいのです ただのんびり生きれれば

そんな事は言っても まあ結構焦っているんです

それがうまく表現できないから 私はくずなんです

くずにも くずなりの 朝起きてからの日常とかありまして

午前四時に眠りに就いて 午後六時に起床するなんて

そんな事は もうしません しませんから

だから 掃除しろなんて言わないで

しようって思ったら ひろくんはいつも意地悪だから 

そのタイミ

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夏のおもいで

夏のおもいで

寝冷えした夏まで待てずに 小さいころ 走って 走って

まだ青いヤマモモの実をかじった

それはとてつもなく酸っぱくて かなしくて

ただそれだけの感情で

あのムカデの遊具のある公園で 一人夜に泣いた

月がとても綺麗で 知りもしない 私と同じように考える

世界中の誰かも きっと感動して泣くのかな 

稲光が奇妙で 空の上には誰かが住んでる

そんな事も考えてみる いい加減だな

飛行機に乗っ

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ねこのみずうみ

ねこのみずうみ

焼け焦げたドルフィンのいた 砂漠の片隅で 煙草を吸った

僕たちは灼熱の湖の中 溺れきれずに ちょっとだけ歌った

雨はあらかじめ決められた範囲を被い 

昨日の海の底で あなたたちの還るのを待っている

わたしはあんたを食い物にして ちょっとした優越感に浸ってる

猫は帰る場所をなくして 小鳥になった

小さい女の子は 魔法の薬を飲んで女になった

小さい男の子は めぐすりの木を見つけて 魔法を

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わたしがおとこだったら…

わたしがおとこだったら…

わたしがもしおとこだったとしたら 戦場カメラマンになるとかいって

危ない場所でびびりながら 命の滅びる毎日を見ていたかもしれない

わたしがもしおとこだったとしたら 自堕落な生活に絶望して

自殺していたかもしれない

わたしがもしおとこだったとしたら すべて捨てて

世界を放浪しながら 朽ち果てて行ったかもしれない

わたしがもしおとこだったとしたら かわいくなりたくて

女になったかもしれな

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