ネット心中

火を見に行こう　オレンジ色の月

今朝発生した山火事は　夜になっても燃え続け

暗闇を怪しく深紅に染めた　風が強さを増して

ひた向きなあなたのように　真っ直ぐ燃え続けた

私燃えた　あなた冷めた　君泣いた

時間が違う　遠くに居たら　夢だけになってしまった

小さいころは　何にだってなれる気がした

おとなになっても　その癖は抜けていない

明日私は　風になる　風になって　そっとあなたに触れる

今夜私は　月になる　月になって　柔らかくあなたを照らす

昨日私は　炎だった　灼熱の体温で　あなたは燃え尽きた

溶けたその後に　小さなガラス玉　あなたはちょっと輝き続けてる

私は微笑して　さよならも言わずに　飛び立った

朝が来て　炎は燻り赤い空気に　紅色の太陽

世界はどんより　沈みそう　私は危機感を脱した　子猫のよう

三人で　話そう　終末世界の御伽話について

三人なら　きっと怖くないよ　今度は生き残れるよ

血吸い虫が　私の血液と魂までも吸い取っていく

ときめく言葉を探したら　それだけで涙が出そう

三つの魂は　それぞれ別の場所で　朝を迎え

別の場所で　別々の言語を操り　別の場所で　夜を淘汰する

開いた光る窓から　飛び出す不安定な言語操作集団

私達は繋がっている　その光る窓の実態不明の蜃気楼で

私達は産み出す　比較的柔らかな　ナイフのような物語

心中しよう　三人でそれぞれ　別の場所で

私達は報われない　何かを求めている

私達は触れ合えない　こんなに通じ合っているのに

朝が来て　夜になったあっちの世界と　昼過ぎの其処で

それぞれの　不安要素解き明かしたら　消える

消える　消える　消えろ

消えろ　は別の言語で　愛してる　になる

そんな簡単な謎　きっとどこにでも　転がってる

今日も寝不足眼で　触れられない　あなたたちを想う