見出し画像

負の連鎖

屍は今夜 ある種の困惑をもって 闇に消える

焦りを通り越した 疑惑の魂たちは 何を見て真実を問うのか

生きることが喜びなら 死もまた悦楽の境地と言えよう

あの日生きていた 無実の魂たちは 肉体無き現在

僅かなときめきさえも 持つことを許されず

少女の心で そこら辺を 漂っているのです

括り付けられた 時限爆弾の本当の意味を知らず

さあ お逝きなさいと 放り出された 数々の人生

自分の意志を持たない 小さな少女たちは

淡い恋の喜びも知らぬうち 切り裂き 弾け飛ぶ痛みをもって

その肉体を 否定的な最終手段で 滅ぼされたのです

憎しみが何を創造しよう 悲しみが何を浄化しよう

本当に必要なのは 怒りですか? 諦めですか?

戦争は 私たちに 何をもたらしてくれるのですか

お金ですか 石油ですか 領地ですか 人材ですか

戦争の中で 過ごした子供たちは きっと多くを語りません

負の連鎖を どこでどうやって 止めればいいのでしょうか

きっとその無垢な心の隅っこで もうすでに 復讐心が芽生え

同じ感覚で 美しい太陽や 切ない月夜を 見る事は出来ないのです

すべてを許します 

あの優しくて厳しかった お母さんを奪った 憎い国の人たちを

すべて水に流しましょう

一緒に成長するはずだった 妹を奪った 爆弾の存在

ありがとう 

私に命の尊さを教えてくれた 戦争

そんな人間がいますか いないでしょう?

戦争は 憎しみを産んで 憎しみは 復讐心を燃やし

そして戦争に帰還する これっぽっちも進歩がないまま

人間はそうやって ずっと暮らしてきた

手段を選ばない 人間の価値なんて 虫けら同然

あんたは明日死ぬ運命 今日どんなに悩んでいようが

どんなに幸せだっただろうが 全くもって意味がない

それが戦争に踊らされる 私たちの行く末

ドラマティックであればある程 衆生の関心を引き

魅力的な戦争は 美化され 少女は英雄になる

ポエティックな犠牲者たちは 日夜マスメディアを賑わし

同情と非常が入り混じった 失態をも儚い夢物語に昇華する

今夜寝そべって部屋でテレビを見る筈だった 若者は

もう死んだ

明日学校の宿題を提出するはずだった 中学生は

もう死んだ

三ヶ月後やっと家のローンの支払いを終えて

ちょっと楽になるはずだった おっさんも

もう死んだ

日常の当たり前が それを成さなくなる それが戦争

感覚でもあり 状態でもある 戦争

たった今 どこかで 誰かが 搾取されていく

淘汰されていく エンドレスに

明日は我が身 戦争はあんたの横で 待っている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?