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夏の暑さと欲と情

夏。ギラギラと照りつける太陽と流れ落ちる汗。

肌に纏わり付く熱と湿度。
心地よいとは思わない。しかし、不快とも違う。
気怠さは不埒な感情を纏って本能に忍び寄る。

頭上からの熱光、足下からの熱蒸。
照りつけられ、煽られ、焼かれ
体はただの肉塊のように感じる。

冬の寒さは、人肌を、人の温もりを欲しくなる。
安らぎと癒やしを与えてくれる、人肌の温かさと心地よさ。

夏の暑さは、安らぎと癒やしではなく、ただの欲を求めたくなる。
体の熱、肌の湿度、滴る汗。
内側から溢れ出る業の行き着く先は、不浄な快楽。

ただ溺れたい。
理性も道徳心も忘れ、感情のままに。
官能の世界に揺蕩う男と女。

その場だけの、見せかけの、つかの間の愛でいい。
汚くても、狡くても、嘘だらけでも。
現実の自分を深く沈めれば
熱く静かなもう一つの違う現実の自分になれる。

熱に浮かされた情事のあとに残るのは
真夏の夜の夢。
ゆらゆら揺れる真昼の蜃気楼。


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