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地方の中小零細3代目はつらいよ。その7 裁判

さあサブタイトルが物々しくなってまいりました。

入社して最初の株主総会が終わると、一通の郵便が会社に届きました。配達証明で届いたそれはなんと裁判所からでした!!!

今までそんなものも見たこともなく、裁判なんでドラマやニュースの中の話だと思っていた私は焦りました。社長であるお父さんも当然焦りました。

しかし、こういう事態に備えて我々は顧問弁護士と契約をしている!すぐに思いつき、早速相談に行きました。(この時の私の行動・決断スピードは今よりも早いかもしれません。問題があるとスグに相談していたので、これ系の問題はこの先生っていうのが決まっていたからでしょう。)

届いた訴状の内容は、もちろん大叔父が原告で「株券を発行せよ」というものでした。どういうことかというと、株主総会の前後で大叔父は株を(高値で)買えと再三主張してきました。我々は拒み続けてきましたが、時々脅しをかけるように「よからぬ第三者に売る」とも言ってくるようになっていました。おそらくその脅しの第2歩。実際に株をすぐに動かせるように株を現物として発行しろと言ってきたんだと思います。

当時は株券など一切発行していませんでしたが、会社の登記上は株券発行会社となっていました。これに関しては争っても意味がないし、発行する義務がある。ということで社長が裁判所へ出廷はしましたが、何もなくあっさりと終わりました。判決もあっさりと。

ただ、この判決どおりやってしまうと相手の思うまま。ここでケンカの仕方を弁護士の先生から教わります。まず、相手は高齢、そしてこっちは若い。「時間」の余裕は圧倒的にこちらが有利。基本姿勢は相手が死ぬのを待ちながら戦う。これでした。裁判所の判決を受けて「株券を発行せよ!」と言われましたが、とりあえず何か言われるまで何もしない。これで訴状が届いてから半年間稼ぎました。

訴状が届いて何もしないでいると、相手側の弁護士から催促の書面が届きます。想定通りです。この間に我々は対策を考えていました。「株券を発行しても自由に売買できなければ問題はない。」そう考えていましたが、実は大問題がありました。登記上当社の株式には譲渡制限がついていませんでした・・・会社の定款には譲渡を制限するような文言があるのですが、何せ古い定款。会社法が新しくなった時に適した文言に変えなかったため、譲渡制限があるという登記をしていませんでした。フザケンナヨと心の中でおじいちゃんを恨みながらどうするか悩みました。いろんな司法書士さんをハシゴして相談しましたが、結果はみんなダメ。登記している以上はムリムリ。との結論。

しかし、ここはベテラン弁護士。さらなる時間稼ぎをするしかないと考え、発行する株式に「譲渡制限がある」文言をこっそり書き加えてしまう方法を考えつきます。本当に時間稼ぎです。反発必至、また訴えられたら負ける。わかっていてやりました。結果はやはりまた訴状が届きました。「譲渡制限の文言のない株券を発行せい」と。

さあどうなるんでしょうか。続きます。

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