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感想なんて、本気でかいてどうするの?

某ドラマを出演者目当てで1クール見終わったのだが、一晩たってモヤモヤが噴出してきた。

○○っていいものよ~の価値観の押し付け


ツッコミどころが異様に多く、書き出していたらキリがないのだが、
わたしが一番モヤモヤしているのは、このドラマはひたすらに世代間ギャップを理解しきれていない上の世代による価値観の押し付けドラマなのでは?という点である。

(制作陣の)上の世代が、自分たちが経験した、もしくは憧れていたことを経験できていない世代に対して「かわいそう」という気持ちを持っているのではないか。という疑惑がはれないまま最終回となってしまった。

本気の恋もできないないなんてかわいそう!
27歳にもなって恋愛経験ゼロなんてありえない。
恋人になったらアクセサリーをプレゼント。
スルかしないかって超大事!
仕事がうまくいかなくても大丈夫!男の人が癒してくれる!
夜中までゲームしてるような男はロクな夫になれないに決まってる
女のストレス解消は学生時代の友達と赤裸々トークにカラオケだよね
プロポーズは高級ホテルでフレンチ食べながら。
人前で愛を叫んでこそ愛してる証拠☆

クリスマスはプリンスホテルでディナー、プレゼントはティファニーのオープンハートのネックレスが鉄板!を経験した・憧れた世代の人が思いつく「これが嬉しいはず」の連続攻撃に、そもそもその価値観がない世代は共感ができないし、その価値観が「あった」ことを知っている世代は古いなと感じてしまう。

時代のアイコン代わりにされた重いテーマたち

そして、その間に挟まれる「ちゃんとイマドキ事情も理解してるわよ!まかせて!」といわんばかりの裏テーマたち。

たくさんリサーチしたと豪語なさっているだけあって、レス夫婦、パパ活、毒親、親ガチャ、セクシャルマイノリティー、(他、呼び方がわからないがインスタで架空の彼氏自慢など)と1つのテーマで1本ドラマができるはずのテーマたちが、現代を象徴するアイコンかのようにぽいぽい入れられている。
例えば「アッシー君」をだすとバブル期っぽくなるみたいな感じで、「今っぽい」からとあれこれ詰め込んでいるように感じてしまう。

一つひとつのテーマは非常に重いし、もちろん「令和っぽい」というものでもなく、問題は以前からあったものたちなので、これらの問題の扱いの軽さにもびっくりさせられる。
「毒親だってみんな理由があるし、頑張って生きてる!いつかは分かり合える!」ときっと本気で思ってるんだろうなぁ。毒親扱いなのは母親だけなのも気になった。

熱い思い VS フィクションでも失えない冷静さ

どの問題に対しても、そこにある根深い問題はスルーして、「いろいろあるけど、裸の心でぶつかり合えば大丈夫!頑張って前向きに生きなくちゃ!」という根拠もない励ましが根底に刷り込まれており、見ている側のモヤモヤを増幅させていく。

一方、そんな熱い思いとは裏腹に「恋する気持ち☆があれば少々のことには目をつぶっちゃう♪」というテンションのない人たちにとっては、主人公たちの「コンプライアンス」とか「セキュリティ」「ハラスメント」などの問題が先に目についてしまい、キャラクターのこころの動きへ感情移入しきれない。

心が動くものがみんな同じとは限らない

余談だが、いがみ合っていた同僚同士が日夜協力してプレゼンを大成功させるCMを見て、中間管理職の夫は「こういうのに憧れるのは自分らの世代までで、若い子たちにこれを(現場で)求めるのはもう難しいんだよね」といっていたのを思い出す。

自分たちが「これが素敵」「感動的」と思っていることを、全員が同じように感じているとは限らないのだ。
だから他のことでも「こんなに素敵なことがあるのにどうしてしないの?」と説得しようとしても「そもそも全然素敵だと思ってませんけど?」となってしまい噛み合っていないのに、「素敵と思っていない」ことが理解できない(もしくは理解しようとしない)人たちが残念ながらいる。
自分の経験と価値観にのみ照らし合わせて、「わかった気になる」って怖いことだと思う。自分では気づけないからなおさら怖い。

たくさん楽しませてもらいました

こんなに書いておいて今さらだけど、俳優陣の演技は素晴らしかったし、映像もめちゃくちゃ綺麗だったし、音楽もよかった。オフショット満載の公式SNSにも楽しませてもらった。コラボして本当にお皿売るのも面白いと思ったし、現場の雰囲気もよさそうで見ていてほほえましかった。

そして制作陣の熱意も感じ取れた。
きっと悪気なし100%なのだろう。
帰省の時しか会わないのに「あんた彼氏いんの?まぁおらんの!?もったいない~仕事や勉強ばっかりしてちゃだめよっ!恋愛はいいわよぉ~若い時ならではなのよ~」と語りだすおばちゃんを、うまくかわせないこちらが悪いのか。

なんだか、そちらが狙ったように熱中できなくてごめんなさいの気持ちである。


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