こんぷらいん

弁護士 10年目

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最近の記事

Linkedinなどの公開情報を用いた人事向けAIサービス作成における注意点

LinkedInのようなソーシャルメディアで公開されている情報を用いてAIの機械学習を行う場合、日本の個人情報保護法(以下「法」)に基づき、以下の点に注意する必要があります。それぞれの観点から、法の条文を引用しつつ解説します。 1. 利用目的の明確化と通知・公表(法第17条、第18条) 注意点: 個人情報を取り扱う際には、その利用目的をできる限り特定しなければなりません。また、その利用目的を本人に通知または公表する必要があります。これにはAIの機械学習を目的として個人情報

    • 世界におけるAI安全性研究機関とりまとめ

      このNoteでは、AIについて、以下の機関の動きについてまとめたりしています。 日本AI安全性機関 AISI Japan - AI Safety Institute US(米国) U.S. Artificial Intelligence Safety Institute | NIST UK(イギリス) Introducing the AI Safety Institute - GOV.UK (www.gov.uk) EU AI Office European AI O

      • ハラスメントトレーニングvol7:なぜハラスメントは罰せられるのか

        ハラスメントトレーニングを行っていると、しばしば次のような意見が寄せられます。 「ダメな奴にダメと言って何が悪いんですか?」 「無能を雇った人事が悪いんでしょ」 というものです。このような発言は一見合理的に思えるかもしれませんが、実際には職場の健全な環境を損ない、生産性を低下させ、さらには法的なリスクを引き起こすことがあります。以下では、このような考え方がいかに問題であり、どのように改善すべきかについて詳述します。 1. 罵倒は効果がない:コミュニケーションのコストと成果

        • ハラスメントトレーニング vol.6:部下から”ハラスメントですよ”と指摘された場合

          1. はじめに マネージャーとして部下を指導する際、指導とハラスメントの線引きは極めて重要です。適切な指導は部下の成長を促し、職場全体の生産性を向上させる一方で、誤った対応はハラスメントとみなされ、信頼関係の損失や法的問題に発展する可能性があります。この研修では、正しい指導を行ったにもかかわらず、部下から”ハラスメントですよ”と指摘を受けた場合に、どのように対応していくべきかを学びます 事例 ”あなたはマネージャーです。ある部下の業務遂行やコミュニケーションに問題がある

        Linkedinなどの公開情報を用いた人事向けAIサービス作成における注意点

          カリフォルニア州がAI規正法を独自に制定した戦略的背景と法律の概要

          カリフォルニア州では、現在「最先端AIモデルの安全で安心なイノベーション法(SB 1047)」というAI規制法案が進められています。 この法案は、特に大量の計算力を必要とする「フロンティアAIモデル」と呼ばれる高度なAIシステムの開発と運用を対象としています。 法案では、AIモデルをトレーニングする前に、サイバーセキュリティ対策や緊急停止機能(「キルスイッチ」)の導入が義務付けられており、安全性を確保するための様々なプロトコルが設けられていますさらに、年次監査の実施とAI

          カリフォルニア州がAI規正法を独自に制定した戦略的背景と法律の概要

          (推敲中)カリフォルニア州におけるAI規制法案和訳

          原文(英語)はこちら:SB 1047: Safe and Secure Innovation for Frontier Artificial Intelligence Models Act. | Digital Democracy (calmatters.org) カリフォルニア州は、以下の通り制定する。 第1条 本法は、安全で確実なAIモデル関連法として知られ、利用することができる。 第2条 立法府は、以下のすべてを認定し、宣言する。 (a) カリフォルニア州は、大小さま

          (推敲中)カリフォルニア州におけるAI規制法案和訳

          ハラスメントトレーニングvol. 5:セクシャルハラスメントの事例

          セクシャルハラスメントの事例と適切な対応セクシャルハラスメントは、職場での人間関係を損なうだけでなく、当事者の心身にも大きな負担を与える深刻な問題です。今回の記事では、具体的な事例をもとに、セクシャルハラスメントがどのように発生し、どのような行動が問題視されるのか、また適切な対応策について解説します。 事例1: LINEでのやり取りと風俗の話題事例詳細: 上司であるあなたは、出張に行くたびに、部下にお土産を買っていた。 お土産交換等を通じて、ある部下(女性)仲が良くなっ

          ハラスメントトレーニングvol. 5:セクシャルハラスメントの事例

          ハラスメントトレーニング vol4:パワーハラスメントの具体事例

          ハラスメントに関する事例解説:マネージャーとしての対応とリスク管理 ハラスメントは、職場環境において重大な問題であり、マネージャーの対応次第では職場の士気や業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。本記事では、具体的な事例を基に、ハラスメントリスクをどのように軽減し、適切な対応を取るべきかを解説します。特に、事実確認やコミュニケーションの重要性を強調しながら、マネージャーとしての責任と役割について深く掘り下げます。 1. 事例①:部下のコミュニケーション問題に対する適切な

          ハラスメントトレーニング vol4:パワーハラスメントの具体事例

          スタンフォード大学によるAI規正法に関する提言

          先日、スタンフォード大学のメンバーがEU AI規正法に関して分析を行いました。 スタンフォード大学のメンバーはAI規制に関するルールの提言を行うなど、AI規正法の在り方についてコメントを出し続けています。 今回は、スタンフォード大学によるEUのAI規正法に対する分析結果を、要約しました。 このスタンフォード大学のメンバーの見解は、今後米国におけるAI規制のルールや消費者保護の考え方に大きく影響を与える可能性があり、特に汎用モデル・基礎モデルのAI開発に大きな影響を与えること

          スタンフォード大学によるAI規正法に関する提言

          マネジャーのためのハラスメントトレーニングvol.3 ハラスメントが発生する最大の原因

          ハラスメントが発生する職場において、最も大きな原因の一つは、「マネージャー自身が自分の行為がハラスメントに該当することに気づいていないこと」です。多くのマネージャーは、自分が行っている行動や発言が部下に与える影響に無頓着であるか、あるいは無自覚のまま行動しています。これが、意図せずともハラスメントを生み出す要因となっているのです。本記事では、マネージャーがハラスメントに気づけない原因と、その対処法について詳しく解説します。 1. 自己認識の欠如 マネージャーがハラスメント

          マネジャーのためのハラスメントトレーニングvol.3 ハラスメントが発生する最大の原因

          マネジャーのためのハラスメントトレーニングvol.2 パワハラにグレーゾーンは存在しない。

          ハラスメント問題は、現代の職場環境において避けて通れない課題です。特にパワーハラスメント(以下、パワハラ)は、企業内での人間関係や職場文化に大きな影響を及ぼす重大な問題です。しかし、一部のマネージャーや管理職、一般社員の間ですら、「パワハラにはグレーゾーンがある」という意見が根強く存在しています。この意見は、パワハラに対する正確な認識を曖昧にし、企業内での適切な対応を遅らせる要因となりかねません。 この記事では、パワハラにはグレーゾーンが存在しないことを強調し、マネージャー

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          マネジャーのためのハラスメントトレーニングvol.1 ハラスメントとは

          皆さん、本日は「ハラスメントとは」というテーマでお話しします。まず、ハラスメントの基本的な定義と、パワーハラスメント(パワハラ)、セクシュアルハラスメント(セクハラ)に焦点を当て、その詳細と影響について学びます。 1. ハラスメントの定義 ハラスメントとは、他者に不快感や精神的・身体的な苦痛を与える行為を指します。職場においては、業務に関連する様々な形態のハラスメントが存在し、それが職場環境を悪化させ、従業員のモチベーションや業務のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことが問題

          マネジャーのためのハラスメントトレーニングvol.1 ハラスメントとは

          マネジャーのためのハラスメントトレーニングvol.0 今回の目的

          今回のハラスメントトレーニングの目的 ハラスメントはNGです。 多くのマネジャーの方は、会社からそのような指示を受けているのではないでしょうか。 しかし、一方で、こういった疑問をお持ちではないでしょうか。 ”何がハラスメントで何がハラスメントではないのかわからない” ”自分の行動がハラスメントになるのかわからない” ”ハラスメントと指摘された場合、どう判断すればよいかわからない。” そういった声を多く聞きます。 今回のトレーニングシリーズは、上記のような疑問を解決しなが

          マネジャーのためのハラスメントトレーニングvol.0 今回の目的

          【EUのAI規正法”規則”翻訳ファイルダウンロード可】AI規制法規則が重要な理由

          EU AI規正法規則の翻訳が完了いたしました。 細かい表現の見直しを進め、PDFデータを有料にはなりますが、皆様に配布させていただきます。 EU規正法はGDPRと同じ道をたどります。 おそらく5年後~10年後、この法律に従わず、世の中に発売されるAIはなくなると考えております。 それゆえ、今の時点から、AI規正法を理解し、会社の未来を守っていただければと思います。 転売以外であればファイルの利用は自由です(社内での共有等) また、本記事は定期的にUpdateいたします(翻

          ¥5,000

          【EUのAI規正法”規則”翻訳ファイルダウンロード可】AI規制法規則が重要な理由

          【EUのAI規正法翻訳ファイルダウンロード可】EUのAI規正法を今の時点から把握しておく重要性について。

          EU AI規正法の翻訳が完了いたしました。 細かい表現の見直しを進め、PDFデータを有料にはなりますが、皆様に配布させていただきます。 この法律はおそらくGDPRと同じ道をたどります。 おそらく5年後~10年後、この法律に従わず、世の中に発売されるAIはなくなると考えております。 それゆえ、今の時点から、AI規正法を理解し、会社の未来を守っていただければと思います。 転売以外であればファイルの利用は自由です(社内での共有等) また、本記事は定期的にUpdateいたします(

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          【EUのAI規正法翻訳ファイルダウンロード可】EUのAI規正法を今の時点から把握しておく重要性について。

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          AI時代のITセキュリティ市場:統合プラットフォームへの進化と主要ベンダーの戦略

          AIとジェネレーティブAIの台頭により、ITセキュリティ市場ではポイントソリューションから統合プラットフォームへのシフトが進んでいます。主要ベンダーは、より包括的で効率的なセキュリティ対策を提供するために、買収や提携を通じてプラットフォームの構築を進めています。 CISOやセキュリティ担当者は、進化する攻撃手法に対応するために新たな課題に直面しています。AIを活用したランサムウェアやディープフェイクの登場により、従来のセキュリティ対策では不十分となりつつあります。一方で、S

          AI時代のITセキュリティ市場:統合プラットフォームへの進化と主要ベンダーの戦略