こんぷらいん

弁護士 10年目

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最近の記事

OracleとSalesforceに対するオランダ控訴裁判所の判決:GDPR関連のクッキーケース

本件は、クッキーを通じたユーザー情報の収集がGDPRに違反するか、そしてウェブサイト運営者の行為について両社が責任を負うべきかを問うものです。 オランダの控訴裁判所は、OracleとSalesforceがGDPR(一般データ保護規則)に違反しているとして、これに不利な判決を下しました。この判決により、2020年に始まった訴訟が今後も継続されることが確定しました。 背景と争点 この訴訟の背景には、OracleとSalesforceが第三者クッキーを使用して、ユーザーの行動

    • EUのAI規正法およびAI規正法規則の翻訳を終えて(メモ)

      今後のSTEP ①翻訳の見直し 規正法は以下と比較して表現がおかしいところがないかをチェック 000826706.pdf (soumu.go.jp) ②有料の記事の作成 PDF版の翻訳をUpload(社内利用自由) ③Udemy用のトレーニングスライド作成 ④Udemy用のトレーニング動画撮影 ⑤全体的な記事の見直し 解説の見直し サムネの作成(白地+文字)

      • 逐条解説 EUのAI規正法53条、54条条、規則58条~61条)

        第5章 イノベーション支援措置 第53条 AI規制のサンドボックス 1. AI規制のサンドボックス設置: 欧州データ保護監督機関および各加盟国の管轄当局が設置するAI規制サンドボックスは、革新的なAIシステムの開発、試験、および検証を行うための管理された環境を提供します。これにより、サンドボックス内での直接的な監督および指導の下で、本規則および関連するEUおよび加盟国の法律の遵守が確保されます。 2. データ保護当局の関与: 加盟国は、AI規制サンドボックスが個人データ

        • 逐条解説 EUのAI規正法(データおよび文書へのアクセス52条、規則50条~57条)

          第4章 特定のAIシステムに対する透明性義務 第52条 特定のAIシステムに対する透明性義務 AIシステムとの対話の通知: プロバイダは、AIシステムが自然人と対話する際、自然人がAIシステムであることを認識できるように設計・開発しなければならない。ただし、状況や使用文脈から明らかな場合や、犯罪検知や防止、捜査、起訴に法律で認められた場合はこの義務は適用されない。 感情認識システムおよびバイオメトリクス分類システムの通知: 使用者は、感情認識システムやバイオメトリク

        OracleとSalesforceに対するオランダ控訴裁判所の判決:GDPR関連のクッキーケース

          逐条解説 EUのAI規正法(規則84条~94条)

          第84条 ユニオンAIテスト支援機構 1. 設立 欧州委員会は、AI分野における特定の業務を実施するため、1つ以上のユニオンAIテスト支援機構を指定します。この機構は、規則(EU)2019/1020第21条6項に記載された業務を担当します。 2. 独立した技術的助言 ユニオンAIテスト支援機構は、理事会、欧州委員会、または市場監視当局の要請に応じて、独立した技術的または科学的な助言も提供します。これにより、規則の効果的な実施を支援します。 第4項 救済措置 第85

          逐条解説 EUのAI規正法(規則84条~94条)

          逐条解説EUのAI規正法83条~85条

          第83条 すでに市場に投入され、または使用されているAIシステム 第1項:大規模ITシステムの適用除外 本規則は、附属書IXに掲げる法律により設立された大規模ITシステムの構成要素であり、本規則の適用日から12か月以前に上市または運用が開始されたAIシステムについては、当該法律による置き換えまたは改正によりAIシステムまたはその設計や目的に著しい変更が生じた場合を除き、適用されません。これにより、既存の大規模ITシステムは、現行法に基づく評価を受けることになります。 第

          逐条解説EUのAI規正法83条~85条

          逐条解説 EUのAI規正法(69, 70, 73,74条)

          第IX章 行動規範 第69条 行動規範 1. 自発的な適用の奨励 欧州委員会および加盟国は、高リスクAIシステム以外のAIシステムに対して、タイトルIII第2章で規定された要件を自発的に適用するための行動規範の作成を奨励し、促進します。この行動規範は、システムの意図された目的に照らして適切な技術仕様および解決策に基づいています。 2. 特定の目的に基づく行動規範の奨励 委員会および理事会は、環境の持続可能性、障害者のアクセシビリティ、AIシステムの設計および開発への利害

          逐条解説 EUのAI規正法(69, 70, 73,74条)

          逐条解説 EUのAI規正法(1条~4条、規則1条~4条)

          第1章 総則 第1条 主題 本規則は以下の事項を規定する: (a) EU域内における人工知能システム(「AIシステム」)の上市、使用開始および使用に関する調和された規則; (a) 特定の人工知能業務の禁止; (b) リスクの高いAIシステムに対する特定の要件と、そのようなシステムの運営者に対する義務; (c) 自然人との対話を目的とするAIシステム、感情認識システム、バイオメトリクス分類システム、画像、音声、映像コンテンツの生成または操作に使用されるAIシステムに関する調和さ

          逐条解説 EUのAI規正法(1条~4条、規則1条~4条)

          逐条解説 EUのAI規正法(データおよび文書へのアクセス64条~68条、規則78条~83条)

          法解説 第64条: データおよび文書へのアクセス 第1項: 訓練、検証、試験データへのアクセス 市場監視当局は、プロバイダが使用する訓練、検証、および試験データセットへの完全なアクセスを、APIや遠隔アクセスを可能にする技術的手段を通じて認められます。 第2項: ソースコードへのアクセス 市場監視当局は、必要に応じて、ハイリスクAIシステムの要件適合性を評価するため、合理的な要請があればAIシステムのソースコードへのアクセスも認められます。 第3項: 文書へのアク

          逐条解説 EUのAI規正法(データおよび文書へのアクセス64条~68条、規則78条~83条)

          米国の多数の自動車ディーラーがサイバー攻撃を受けた件について解説

          2024年初頭、米国の多数の自動車ディーラーが大規模なサイバー攻撃に見舞われました。今回の攻撃は、販売管理システムや顧客データベースに深刻な影響を及ぼし、業務停止や顧客対応の遅延を引き起こしました。 攻撃の概要と影響 攻撃はランサムウェアの一種であると推測され、被害を受けたディーラーのITシステムは一時的に停止しました。多くのディーラーは顧客データへの不正アクセスやデータの暗号化を受け、通常業務に戻るためには専門家の協力が必要となりました​ (CarExpert)​​ (

          米国の多数の自動車ディーラーがサイバー攻撃を受けた件について解説

          逐条解説 EUのAI規正法(第三者機関等 法59条~63条、規則70条~77条)

          第2章 管轄官庁 第59条 国内官庁の指定 国内管轄当局の設置: 各加盟国は、この規則の適用および実施を確保するために、国内管轄当局を設置または指定しなければならない。これらの当局は、その活動および業務の客観性および公平性を保護するように組織される必要があります。 国内監督当局の指名: 各加盟国は、国内管轄当局の中から国内監督当局を指名しなければならない。ただし、組織上および管理上の理由がある場合、複数の当局を指定することができます。 指定理由の通知: 各加盟国

          逐条解説 EUのAI規正法(第三者機関等 法59条~63条、規則70条~77条)

          逐条解説 EUのAI規正法(第三者機関等 法55条~58条、規則62条~69条)

          法の解説第55条: 小規模事業者および利用者に対する措置 欧州連合(EU)加盟国は、小規模事業者および利用者に対して以下の措置を講じることが求められています。 AI規制のサンドボックスへの優先アクセス: 小規模事業者および新興企業が適格条件を満たす場合、AI規制のサンドボックスに優先的にアクセスできるようにする措置を講じます。これにより、これらの企業は規制環境下でのAI技術の実験やテストを行いやすくなります。 啓発活動の組織: 小規模事業者および利用者のニーズに合わ

          逐条解説 EUのAI規正法(第三者機関等 法55条~58条、規則62条~69条)

          Chied AI Officerという仕事

          EUのAI規正法の翻訳もひと段落(あと30条)したので、なぜここまで早急にEUのAI規正法の翻訳を進めているかをお伝えします、 簡単にいうと ①10年後、Chief AI Office (CAIO)という職が誕生します。 ②現在使用されているAI(Chat GPTを含む)は、なくなっています。 ③10年後のAIのリードを日本が担いたいため になります。 10年後にChief AI Officer(CAIO)という職が生まれる可能性は高いと考えられます。これは、人工知能(A

          Chied AI Officerという仕事

          逐条解説 EUのAI規正法(第三者機関等 法47条~51条、規則46条~49条)

          法の解説 第46条 認証機関の情報義務 1. 通知機関への通知事項 認証機関は、以下の情報を通知機関に報告しなければなりません: (a) EU技術文書審査証明書とその補足、及び附属書VIIの要求事項に従って発行された品質マネジメントシステム承認。 (b) 同じく附属書VIIの要求事項に従って発行されたEU技術文書審査証明書や品質マネジメントシステム承認の拒否、制限、一時停止、取消し。 (c) 届出の範囲や条件に影響を与える状況。 (d) 市場監視当局から受けた情報

          逐条解説 EUのAI規正法(第三者機関等 法47条~51条、規則46条~49条)

          逐条解説 EUのAI規正法(第三者機関等 法40条~46条、規則32条~39条)

          第40条 整合規格 欧州連合の官報に引用文献が掲載されている整合規格に適合している高リスクAIシステムは、その整合規格が当該要件を網羅している限りにおいて、本規則の第2章に定める要件に適合しているものと推定されます。この整合規格は、規制の要件を満たすための基準として機能し、システムの安全性と信頼性を確保するための手段として重要です。 第41条 共通仕様 整合規格が存在しない場合や不十分な場合、または特定の安全性や基本的権利の懸念に対処する必要があると欧州委員会が判断した

          逐条解説 EUのAI規正法(第三者機関等 法40条~46条、規則32条~39条)

          逐条解説 EUのAI規正法(第三者機関等 法34条~39条、規則32条~39条)

          第34条 認証機関の子会社および認証機関の下請け業務 外注と子会社の管理 認証機関が適合性評価に関連する業務を外注する場合や子会社に依頼する場合、その外注先や子会社が第33条に規定される要件を満たしていることを確認し、通知機関にその旨を通知する義務があります。また、認証機関は、外注先や子会社が行う業務について全責任を負わなければなりません。さらに、これらの活動は事業者の同意が得られた場合にのみ実施されます。認証機関は、下請業者や子会社の資格評価およびそれらによって実施される

          逐条解説 EUのAI規正法(第三者機関等 法34条~39条、規則32条~39条)