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アジア系アーティストが熱い!(前編)

日本時間の4月17日、コーチェラ・フェスティバルがアメリカで開催され、宇多田ヒカルがパフォーマンスを披露し話題になった。しかしその一方で、彼女が参加した88risingって一体何者?となった人が多いと思う。そこで今回は88risingを含め、私がオススメするアジア系アーティストを紹介したい。

まず、88risingはグループ名でもアーティスト名でもない。
日系アメリカ人であるショーン・ミヤシロがアメリカを拠点として立ち上げた音楽レーベル、もしくはメディアプラットフォームのことである。彼がYoutubeやSNSなどで才能溢れる音楽を投稿しているアジアの若者たちを見つけ出し、彼らを集めて2015年に創業した。アジア出身アーティストのマネジメント・コンテンツ制作・ディストリビューションを幅広く手掛けカンパニーである。
私が初めて88risingを知ったのはレーベルの顔であるJojiがきっかけだった。彼は兵庫県で高校まで過ごし、18歳からアメリカに渡った。2017年に88risingのYoutubeアカウント上にJojiとして、初めてのシングル「I don't wanna waste of time」がアップロードされた。自ら楽曲を手がける彼が作り出す音楽はダークな世界観がある一方で、繊細で甘い声が特徴的で聴いているとすぐに引き込まれた。「Will he」でMVが初めて配信されたが、どことなく不穏な雰囲気でミステリアスな印象。それとJojiの深く心を震わす声がMVの世界観に引き摺り込まれ、目と耳が釘付けになった。そのほかに好きなのが「SLOW DANCING IN THE DARK」だ。彼のうっとりとずっしりとした声がAメロからサビにかけて心地よいサウンドが脳を溶かし始め、サビで海の深いところに沈んでいくような感覚に陥り、そのまま彼の世界観に溺れていく。

それからというものの彼のようなアーティストが他にもいるかもと気になり始め、アジア系アーティストを調べ漁るようになった。
その中で見つけたのがkeshiだ。彼は88rising所属アーティストではないものの、2021年に開催された88rising主催の「HEAD IN THE CLOUDS」に出演したり、88risingのYoutubeアカウント上にたびたびソロライブ動画が配信されたりするなど、親交が深い。

keshi

本名はCasey Luong(ケイシー・ルオン)。彼はアメリカのテキサス州ヒューストン出身で、両親がベトナム人のもとで育った。音楽制作と看護師という二足のわらじを履きながら活動していたが、2017年にシングル「over u」を配信。彼が作り出す曲は常にどこか物哀しい印象がある。ダウンテンポのメロウなリズムと彼の感情のこもった歌声が恋や愛の辛く苦しい部分を体現していると感じた。また、歌詞もほろ苦い失恋を表現するのがとてもうまく、調べてみると全て彼の実体験から生み出されているとのこと。だから曲に共感し、彼の歌声が染みてくるのだろう。「lilke I need u」は音数が非常に少ない中で、彼のファルセットが耳に心地よく、冒頭の歌詞で「Baby,I call in the dead of night(真夜中に君に電話する)But you don't need me like I need you(でも、僕は君を必要としてるけど君は僕を必要としていない)」なんて最近の自分に刺さりまくって溶けた。

そして2022年にデビューアルバムである「GABRIEL」をリリース。その前にすでにリリースしたシングル曲「TOUCH」も収録されている。特にこの「TOUCH」は、体の関係だけなのに相手にそれ以上求めてしまう複雑な恋愛関係を綴った曲で、コーラス後の最初のフレーズに彼の感情のこもった歌声にグッとくる。そして、「Give me comfort,give me warning」の歌詞でcomfortの後は、少し一息入れてから歌っているので、彼の切実な願いというか想いが歌に乗っかているのが耳からでもよく分かる。そして、彼の魅力を最大限感じられるのがYoutube上にアップされているアコースティックライブ動画だ。keshiの歌声は音数が少ないほど全身で感じることができて、聴いている人の過去の体験や気持ちにシンクロする。どのくらいシンクロするか、シン・エヴァンゲリオン劇場版で碇シンジがエヴァンゲリオン初号機に再び起動させた時くらいシンクロする。


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