見出し画像

新生活の「期待と不安」を解除するパスワードとは

”If you don't change your life, you are gonna end up a lonely guy.
―映画『イエスマン』より”


4月1日。新生活をスタートさせる人も多いだろう。

かく言う僕も、4月1日からシェアオフィスに移転することになり、新しい場所で4月をスタートさせることになった。仕事内容は変わらないのだけど、今までと違う街に、今までと違う環境に、期待と不安が交錯する。


新しい環境が始まる度に思い出すのは、大学2年生の年末、ある夜の新百合ヶ丘駅のホームのことだ。

当時、実家から大学に通っていた僕は、毎日片道1時間以上かけて通学をしていた。大学にはクラスがなかったから、大学で出来た友人といえばサークルの人たちだった。

ただ多くの友人は「一人暮らし組」で、サークル以外の時間も宅飲みとかで集まっていて、彼らだけがどんどん仲が良くなっていく。僕のような実家組は彼らほどサークルには馴染めず、なんとなく遠巻きに彼らを見ていた。

しかしひょんなことから次期委員長から次期副委員長に任命され、来年から役割と責任が求められる立場になることが決まっていた。今の僕にサークルを楽しく出来るだろか? そんな期待と不安があった。
でも物理的な距離の遠さがあって、そこまでサークルに力を入れられそうにない。


そんなことを考えていた時だった。

「ルームシェアしない?」

寒空の下、新百合ヶ丘のホームで電車を待つ僕に、同じサークルの彼が唐突に提案をしてきた。サークル中にはあまり話すことはなくて、ただ帰り道が同じだったから時々一緒に帰っていた。彼の実家は僕よりも家が遠くて、2時間以上かけて通っていたらしい。

「いいね!」

即答した。深く考えもせず、とっさに快諾していた。

電車の中ではどうやってルームシェアを始めるかで盛り上がった。
「今から家具家電を買うのは面倒だから、すでに一人暮らしをしている奴を誘おう」「ひとり一部屋は欲しいな、3LDKにしよう」「大学の近くだとサークルのたまり場になりそうだから、ちょっと遠くにしようぜ」
今まで帰り道で一番話しが盛り上がったかもしれない。期待も不安もひっくるめて、何かとてつもなく楽しい予感に満ち溢れていた。


実際にそれから始めて、合計5年間ルームシェアをしていた。毎日が楽しく、毎日が学びだった。今ではすっかり家族同然の関係になっている。あの時の「YES!」は僕にとっての最良の選択だったと言っても過言ではない。

ところで「”YES"は幸運のパスワード」だと言い切る映画がある。ジム・キャリー主演の「イエスマン」だ。

さえない男性が「全てのことに”イエス”と答える」というルールを試したところ、次々と幸運が訪れるというハートフルコメディである。


深く考えて答えを出すことも大事だけど、自分の直感を信じてみても良い。もしあの時、家に帰って答えを出していたら。色々と面倒になってルームシェアをしなかったかもしれない。

新しい環境に飛び込むには、勇気がいる。反射的にでも「イエス」と答えることは、思考を停止させて、行動に移せる魔法の言葉だ。そして行動をしていれば、どこかで人生が好転していく。

ただ本当に大切なことは「イエス」と答えることではない。「イエス」と答えるだけの人間になってしまっては、いずれ誰からも相手にされなくなることは映画でも証明されている。人生を開く本当のパスワードは、「イエス」だけでは足りないのだ。

期待も不安も全てを解除して、人生に幸運をもたらすパスワード。

一体なんだろう・・・。そんなことを考えていたら、あっという間に新しいシェアオフィスに到着してしまった。

受付には朝から元気いっぱいのスタッフが声をかけてくれる。なんて楽しそうに仕事をしているんだろう。彼女の表情は期待に満ちていて、不安は全く感じさせない。

ふと、壁に飾られたシェアオフィスのキーメッセージに目がいった。ここでなら頑張れそうだ。

Do what you love


編集:アカ ヨシロウ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?