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面接の密かな楽しみ

スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの相談面接には、ママに連れられて乳幼児の弟や妹が一緒に来ることがあります。

『スクールカウンセラーの相談』なんて、まだまだちっちゃな彼らにはさっぱり、何のことやら。
だけど、ちゃんとちっちゃくっても、感じとっている。考えている。

「いらっしゃい。お部屋にどうぞ」
声をかけても、ドアからこっちに入ろうせず、ママの後ろに隠れているちっちゃな人。
そんな時は無理強いせずに、まずはママと立ち話。
ちっちゃな人は、大好きなママがスクールカウンセラーと話しているのを眺めている。
ママの声や表情がリラックスして話しているのが確認できると、ちっちゃな人は動き出す。
『この人恐い人じゃなさそうだ。ママの味方かな?』

まだまだ。
ここで焦ってはまだ早い。
チラッと横目でこちらを眺めているちっちゃな人。
ママとのおしゃべりの中で、ちっちゃな人達にも触れていく。

「よくわかってるねぇ。妹ちゃんの代わりにお兄ちゃんは、『お菓子食べたい』って言うてくれたんだねぇ。ママ、優しいお兄ちゃんだねぇ」

『えっ?僕のこと?』
ちっちゃな人はスクールカウンセラーに視線を落とす。
そこですかさず、ママもちっちゃな人に語りかけた!ナイス☆

「そうなんですか!そんなこと考えてくれていたんですねぇ。優しい兄ちゃんなんて。すごいすご~い」
ちっちゃい人はママに頭を撫でてもらって、まんざらでもない表情に。

その後暫くの間、ママと上のお子さんのことを話していると、少しづつ退屈になって来た様子。
ちっちゃな人はソファーの上で跳びはねた!
ここでぐっと堪えて考える。。。

『これは注意をするタイミングか?それとももう少し様子を観てみるか?』

横目で観察しながら。ママと話をしていると、
キャッキャ、キャッキャとちっちゃな人達は飛び跳ねて、次の瞬間ぶつかった。
「わぁ~ん。ママあぁ」と泣き出すちっちゃな人。

ぶつけた頭をママの腕にすり寄せながら泣いている。
ママが「痛かったねぇ」と頭をさすると、徐々に泣き声が変わっていく。

もう『痛い』は飛んでいった。
だけど、スクールカウンセラーとおしゃべりしているママに甘えるのを我慢して頑張ってくれていたちっちゃな人は、ママに構って欲しくて泣いている様子。

「痛かったねぇ。けどもう泣き止んだんだ!すごいねぇ」

声をかけるとケロッと、持ってきた荷物からおもちゃを出して遊びだした。その切り替えを見て、すかさず声をかける。
「上手に待ってくれてありがとね。ママともう少しお話しするね」
ちっちゃな人は得意げに頷いた。

面接の時間が終わって。
「ありがとう。上手に待っててくれたおかげでママと先生、しっかりお話し出来たよ。ありがとね」

褒められたことに驚いたちっちゃな人はママの顔を見る。
『ママが元気になっている!』
安心したように、カウンセラーに目を戻し、「うん」とにっこり大きく頷いた。

面接室で、繰り広げられるちっちゃなお客さん達とのやり取り。
面接に来てくれたママさん達が子ども達との関わり方の参考にしてもられるといいなぁと、相談の内容だけでなく、ちっちゃな人との関わりも大切にしている。

相談の本題は上のお子さんについてだけれども、帰り際
「そんな風に子どもと接したら良いんですねぇ。子どもに意見聞いたらいいんだぁ。やってみよ~」
とつぶやくママの手を握り、誇らしい表情で部屋を後にしていくちっちゃな人。まるでカウンセラーに目配せするように。。。

たまに来てくれるちっちゃな人達の成長も、私の密かな楽しみ。
彼らはちゃんと分かっている。
彼らはママを一生懸命守っている。
ちっちゃな人達の『おっきな愛』

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